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超地球救済戦記!断罪王Ω〈オメガ〉~戦争もやめねぇ!環境破壊もやめねぇ!バカで愚かな人類は身長170センチ以下の無職童貞ニートの俺が全員滅亡させる‼~

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第十三話 断罪王 対 銀装天使アルマロス!親が子供に作ったこと、育ててきたことを恩着せがましく説教してんじゃねぇよ!子供は生まれてくる環境も親も選べねぇんだぜ!

東京都に着いた断罪王をアルマロス・タミエル・サルタエルの三体の銀装天使が待ち構えていた。
 アルマロス・サルタエル・タミエルの三体の銀装天使が断罪王を囲んだ瞬間、断罪王の足元になにやら魔法陣のようなものが浮かび上がり、その魔法陣から出現した光の檻が断罪王の動きを封じてしまう。
 「なるほど…国界議事堂を破壊しにきた俺の動きをとめるつもりか…だが…」
 しかし次の瞬間、石川マサヒロの目の前は真っ暗になってしまう。
 気がつけば石川マサヒロは人間の姿に戻っている。そして隣には石川マサヒロの理想の美少女メシアが立っていた。
 「メシアッ!これは一体どういうことだ?」
 「石川マサヒロ、これはまだあなたが完全な神ではなく人間である証拠です」
 「なるほど…そう言われてみれば、のども乾くし、腹も減る…ククク…つまりエネルギー切れということだな…」
 「そういうことです、どこかで休息をとりましょう」
 俺は渋々、メシアの意見に賛成することにした。
 疲労により身体が元の人間のサイズに戻ってしまったが、そのおかげでアルマロスが作り出した光の檻の柵と柵の間を通り抜け、全裸のまま光の檻から脱出することに成功した。
 「ククク…今頃、銀装天使の奴らは大慌てだろうな…」
 「石川マサヒロ…笑っている場合ではありません。今このタイミングで命を失えば断罪王もおしまいです」
 「うるさい!そんなことはわかってる…」
 メシアに激怒する俺の目の前には懐かしい人間、学生時代に俺の愛の告白を断ったミサキがメイド服姿で立っていた。
 「石川マサヒロ君…?」
 「そんなミサキ…お前…実家を出ていいたのか…?」 
 「そんなの当たり前でしょ?私もう二十二歳だよ、まぁ、就職活動には失敗しちゃったんだけどね…そんで今もこうしてメイド服着てビラ配ってるってわけ。ところで石川マサヒロ君はなにやってるの?」
 「俺は…」
 ふと横を見るといつの間にかメシアの姿が消えていた。
                *
 目を開けると見知らぬ天井が見える。
 「ここは…どこだ?」
 「あら、やっと起きたのね石川マサヒロ君」
 「ミサキ…?ここは一体どこなんだ?」
 「ここは私の家だよ。ほら、石川マサヒロ君が全裸のまま私の家でいきなり気を失うもんだから、こうして家まで連れてきたってわけ」
 「すまんな…なんかいろいろ…」
 「今、カレー、ご飯にかけて暖めるね、具はないんだけど…」
 テーブルに置かれた具無しカレーライスから就職活動に失敗してメイドカフェでアルバイトをして生計を立てているミサキの苦労が伝わってくる。
 「ごめんね…こんなものしか出せなくて」
 「いや…俺の方こそいろいろごめん…俺は君の…」
 君の実家ごと君の家族を断罪王で踏み殺したなどと言えるわけもなく、俺は全裸の状態で具なしカレーライスを食べ続けた。
 「うん、意外といける」
 「そうでしょそうでしょ!一人暮らしてると実家に住んでいたころに比べて苦労も多いんだけど、一人暮らしならではの発見もいろいろ多いんだから!」
 ミサキは笑っていた。でも、その笑顔が心の底からの笑顔じゃないことぐらい今の俺に
は終末黙示録の力の影響でお見通しだった。それでも俺は全裸のままであえて聞く。
 「どうして家出たんだ?」
 「私…実はアイドル目指してるんだよね…でもお母さんに反対されちゃってさ、それで口喧嘩した勢いで家出してそのまま東京都に来たんだ。でもどこのオーディション受けても落選続きでね…なんかもう疲れちゃうよね」
 「いや、立派だよミサキちゃんは…俺なんか高校卒業してからずっと家に引きこもってた…」
 「そっか…なんかさ、歌の歌詞で人生色々ってあったじゃない?」
 「うんうん…」
 「子供のころはその歌詞の意味よくわからなかったけど、大人になってみるとなんか色々しっくりくるのよね」
 「そうだな…ミサキのこと見てると本当にそう思う」
 「なによ!自分は親離れもできないひきこもり君のくせに~!ごめん…言い過ぎた…怒ってるかな?」
 「いや…怒ってないわけじゃないけど…別にそんなに気にしてないよ…」
 「そっか…よかった!でも、本当に大変よ一人暮らしって、生きていくのがこんなに大変だなんてどうして学校じゃ教えてくれないんだろうね」
 「うん、その通りだよね、学校の科目に人生っていう教科を付け足したほうが絶対にいい」
 「そうそう!その通りよ!よし!あしたはバイト休みだし、今日は朝まで飲もう!」
 ミサキは座っていた椅子から急に立ちあがると冷蔵庫から缶ビールを二本出して、勢いよくテーブルに置いた。
 「ほい、それでは…久々の再会を祝って乾杯~!」 
 全裸の俺は自分の分の缶ビールをもってミサキが突き出してきた缶ビールに軽くぶつける。
 「乾杯」
 「ぷは~っ!本当、辛いときはビールが一番!これも東京都で一人暮らしするようになってからわかったことなんだけどね」
 「そっか…うん、なんか苦いね…」
 「もしかして石川マサヒロ君ビール初めて?」
 「うん…でもなんか喉乾いてたから多分、大丈夫…」
 「そうそう、どんなにダメな時でも表向きは大丈夫って思ったり、言ったりできるのがこの社会では結構重要だったりするんだから」
 「なんか嫌だね…そういうの…聞いてるだけでこっちがつらくなってくる…」 
 「ダメだね~石川マサヒロ君は!そんなんじゃ何年経っても社会復帰できないぞ~」
 「ハハ…返す言葉がありません…」
 そう呟いた俺にミサキは自分の顔を全裸の俺の顔に近づけて笑顔で一言。
 「ならさ、私が石川マサヒロ君の社会復帰を手伝ってあげるよ」
 「酒…飲みすぎだよ」
 「まだビール一杯目なんですけど」
 よく見るとミサキはTシャツの下にブラジャーを付けていなかった。
 「今、おっぱい見てたでしょ」 
 「いや…どうして見る必要があるんですかね…」
 次の瞬間、俺の唇はミサキの唇に塞がれていた。
 とてもうれしかったけれど…俺はミサキの両肩に両手を置いて、自分の顔からミサキの顔を離した。
 「ごめん…嫌だった?」
 「いや…うれしかったけど…ほら、ミサキアイドルになるのが夢なんだろ?だったらもうちょっと自分の体は大事にしたほうがいいと思う…」
 「この臆病者!引きこもり!童貞!」
 ミサキはそう俺を罵倒すると、ビール缶を一気飲みした。  
 「ごめん…さっきのは私が悪かったかも…」
 ミサキは急に泣き始めた。目もとを拭うミサキの右手首にはリストカットの跡と思われる傷があった。この子の親を殺してしまったという罪悪感が今更ながら俺自身を追い詰めてくる。
 そしてテレビニュースでは茨城県つくば市の人面恐竜と巨大タケヒコの一部が県外へと移動を開始したことを緊急速報で報じていた。
 もっと早くミサキと再会できていればきっとこんなことにはならなかっただろう。しかし俺が断罪王になっていなければミサキと再会することもきっと出来ていなかったはずなのだ。
 俺はなにも考えずに缶ビールを一気飲みするとミサキの作ってくれた具無しカレー食った。
 アルコールの影響で睡魔に襲われた全裸の俺は具無しカレーを食べ終わるとそのまま近くにあったクッションに横になって寝てしまった。

 次回予告
第十四話 パワハラで会社から自殺者が出ていることを知っていながら、自分の子供に社会参加を一般常識として強制してんじゃねぇよ!自分の子供が会社に就職して出勤してパワハラ受けた後に自殺して骨になって帰宅してくるのが一般常識なわけねぇだろ!
 
 

 
後書き
次回もお楽しみに! 
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