八条学園騒動記

「不満なんですね」
「勇敢さがないからのう」
「攻める時は」
「護る時は勇敢であるがな」
「そう言われると連合軍って基本他の国で戦う軍隊じゃないですね」
「全くな、その証拠にいつも市民を護ると言っておるな」
「ええ、決まり文句ですね」
　まさにと答えた。
「連合軍の」
「これは中央政府軍だけでなくじゃ」
「各国軍もですか」
「左様、侵略なぞ全くであるな」
「そんなのする必要ないですから」　
　これも連合の考えである。
「資源も土地も開拓、開発で」
「手に入るのう」
「はい」
　まさにと答えた。
「連合では、しかも自分で稼ぐなら兎も角」
「他の国から攻めて奪うのはじゃな」
「野蛮ですよ」　
　一言で言い切った。
「まさに」
「そう考えておるからじゃな」
「はい、連合ではです」
　まさにというのだ。
「侵略はです」
「せぬな」
「発想にないです」
「だから攻めることは考えておらんな」
「エウロパ戦役でも要塞のある星系と賠償金は手に入れましたが」
「他の領土なりは貰わんかったのう」
「必要ないですから」
　全くと言うのだった。
「ですから」
「それで、であるな」
「はい、もうです」
「他の国は攻めずな」
「むしろ他の国が攻めてくれば」
　その時にというのだ。
「全力で戦って」
「市民と領土を護るな」
「そうします、というか護ることが軍隊の仕事なんじゃ」
　野上君は首を傾げさせて博士に問うた。
「違います？」
「侵略に使う場合もある」
「ですからそれは」
「連合にはないのう」
「全く」
「それが戦術にも完全に出てじゃ」
　それでというのだ。
「市民に危害が及ばないならな」
「連合軍は損害を出さない様にしますか」
「間違いなくな」
「それでそれが普通かというと」
「見敵必殺がな」
「軍隊ですか」
「連合軍は敵は退けばいいと思っておる」
　博士は彼等のこのことを話した。