リュカ伝の外伝
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聖母たちの子守歌
前書き
今回珍しく長編。
入院中にプロットを考えました。
時期のずれたイベントになってますが、
その辺はご容赦下さい。
(グランバニア城・国王政務室)
ウルフSIDE
何時もの様に国王決裁が必要な書類を持ってリュカさんの下へ赴いてると、何か良い事があったのかリュリュさんがリュカさんの執務室へ入って行くのが見えた。
俺には全く気付いて無い様子だったので、俺も悟られない様にリュリュさんの後に続いて入室をする。
部屋の主はこちらに一度だけ視線を動かして存在を確認すると、また手元の資料に視線を移す。
俺はリュリュさんの真後ろに居たので、彼女からは自分しか注目されてないと思ってるだろう……だって未だに俺の存在に気付いて無いし。
「お父さん、ハッピーバレンタイン! だからお父さんに私からエロエロなプレゼントっ!」
そう言って前屈みになると、ミニスカートを捲し上げて両手でパンツを脱ぐバカ娘。
以前の紐パンではないが、今日のは黒のシースルー……大事な部分はしっかり布で覆われてるが、脱げば意味ない丸出し娘。
俺は前屈みでパンツを脱ぐ女の真後ろに居たので、どっちの穴も丸見え。
相変わらずのツルツルなので、これは天然なのかもしれない。
因みにコイツの妹の一人は密林状態だ……母方の遺伝だとしたらビアンカさんも妖精の森レベルだろう。
パンツを脱ぎ終えたバカ女は、ほぼ一日中密着していた内側部分を見せる様に父親に差し出し……
「これと、これの中身……どっちがいい?」
と、馬鹿の追加注文な台詞。
「同じ物を今朝お嫁さんから貰ったから要らない」
「えー、今朝貰ったんじゃ、温もり的なモノが薄いでしょ。私のは濃いわよ」
濃淡じゃねーよ、解れよいい加減に!
「僕には用途が無いから要らない。本当に欲しがってる奴にあげなよ」
「お父さんへのプレゼントなのにぃ~」
これさえ無ければ最高に良い女なんだけどなぁ。
「だから僕は要らない。欲しだろう後ろの奴にあげれば?」
「後ろ?」
別に汚れた布きれなんぞ要らないが、脱ぐ時にもっと観察できる様に上半身を傾けてた俺に譲渡を促す父親……どっちも馬鹿だ。(俺もか?)
「げっ! いつの間に居たのウルポン!?」
「お前と同時に入って来たよ」
慌てて俺に向き返り、スカートの裾を押さえる美女……バ~カ(笑)
「最低~……後ろから見てんじゃないわよ!」
「お前が勝手に脱ぎだしたんだろ」
理不尽なクレームを突っぱねて、手に携えた書類を馬鹿娘の横を通り過ぎて上司に手渡す。
俺もリュカさんも何時もと同じ様に……というか全く興味を示さず、無言のまま政務を続ける。
隣では慌ててパンツを履き直している女が……
このシーンだけを何も知らない奴が見たら、誤解するだろう……
美女との情事に耽っていたところ、空気を読まない部下が入室してきて、気まずいながら服を着直してる現場!
だが登場人物の事を知っていれば、そんな誤解は生まれないだろう。
「つーか、居るなら居るって言いなさいよ」
「……居るよ。俺はここに居るよ」
「言うのが遅いのよバ~カ!」
「でもリュカさんはちゃんと気付いていたから」
室内の沈黙に堪えきれなかったリュリュさん。
理不尽なクレームは尚も続く。
でも紳士な俺は、優しく対応してみせる。
「お前になんかあげないわよ!」
「要らねーよ! ティミーさんじゃあるまいし……」
「なんも知らないのねアンタ」
「その代わりリュリュさんと違って変態じゃないぜ」
「ムカつくガキね!」
「なんも知らないもんで……」
「じゃぁ教えてあげる。ティミー君はね、もうアミーちゃんじゃなきゃムラムラしないのよ」
「ストレートに変態チックな事実を言うな(笑)」
「人の息子を変態に仕立てるな!」
書類に承認のサインをしていたリュカさんが、終わったと同時に軽く怒る。
そうやってリュカさんもポピー姉さんも、アイツばっかり贔屓するからボンボンって呼ばれるんだ。
「え~……絶対言うよぉ~。『興味を失った女のパンツより、アミーの使用済みオムツを被った方が興奮する』って感じの事」
「言いそ~。『僕はアミーのオムツを替えてる時が最高にビンビンになってるんだ!』とかさ(笑)」
「うわぁ~、もうヤバいって! アミーちゃん、まだ処女だよね?(笑)」
「流石にティミーさんのは、まだ挿入らないだろう……ただ後ろは伸縮性が良いからなぁ(笑)」
珍しくリュリュさんと会話が弾む。
「不愉快だな」
リュリュさんとの会話が弾んだのはいいが、リュカさんが少々機嫌を悪くしている。
俺は流石に言い過ぎたと思ったんだが、ティミーさんの事を悪く言っても許されると思い込んでるリュリュさんは気にもしない。それどころか……
「じゃぁ賭ける?」
「賭け?」
何を言い出すんだこの女?
「私が先刻と同じように目の前でパンツを脱いで、ティミー君にプレゼントしたら何と言うか」
「……何を賭けるんだい?」
本気で息子で賭けをする気か?
「私が勝ったら、先刻のパンツの中身を貰ってもらう」
「ふむ……………じゃぁ僕が勝ったら、今後一切お前から性的に誘わない」
この女が少しでも利口なら、この賭けの分の悪さに気付くはずだ。
もしリュカさんが負けても、中身を貰うだけで使用するか否かはリュカさんの一存だ。
例えるのなら、リンゴを貰っても所有するだけで食べないという選択肢もある。
腐るまで放置だし、他者に譲渡するのも所有者の権利だ。
ただ気になったのは、リュカさんがこの賭けを受けるか否かを一瞬迷った様に見えた事だ。
リュカさんの勝ち内容が何であれ、リュリュさんの勝ち内容の頭の悪さに、即答で賭けを受けても良いはずなんだけど……何で『ふむ』なんて言って迷ったんだ?
「賭け……成立ね!(ドヤ顔)」
あぁ……やっぱり利口じゃ無かった。
いや……もしかしたら、リュリュさんに分の悪さを気付かせない為の演技だったのかもしれない。そんな必要は無い気がするけども……
・
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(グランバニア城・外務大臣政務室前)
みんな暇なのか、俺達が揃ってティミーさんの執務室へ向かってるのを見て、何か面白い事が起きると予想し付いてきた。
なお、いの一番に付いてきたのは上級メイドのジョディーだ……目聡いというか何というか(笑)
件の部屋前まで着き、リュリュさんが扉を開けようとドアノブを少し回した瞬間……
「ちょっと待て」
と言ってリュリュさんの手首を掴み制止させる。
「忘れるところだった……勝敗の判定を明確にしよう!」
そういう事か!
流石はリュカさんだ……賭けに負けても構わないが、ほぼ確実に勝てる状況にするらしい。
「ティミーがリュリュの脱ぎたてパンツを受け取るか否かで、こんな賭けは出来ない。何故なら、この賭けに至る経緯が『今のティミーは愛娘のオムツじゃないと性的興奮をしない』って事だったからな。だからティミーが『リュリュのパンツを受け取るくらいなら、アミーのオムツに頬ずりする』的な事を言わなければ、賭けとしてお前の勝ちを認める事は出来ない」
おやおや……リュリュさんは自分が勝つ為の条件が厳しくなったぞ(笑)
ここで賭けを止めれば、まだ及第点の利口さだ。
だがリュリュさんは勝った時のリターンの大きさ(彼女の思い込み)に、賭けを止める事は出来ないだろう。その程度の利口さだ。
「い、良いわよ……ハイリスク・ハイリターンね」
ハイリスク・超ローリターンだ。
いい加減気付けバカ!
賭けが成立した事を目配せで確認し合うと、リュリュさんは自分の職場である外務大臣執務室へと入っていく。中での遣り取りが確認できる様に、扉を少しだけ開けたまま……
勿論確認できるのは音と声だけだ。
「ハ、ハ~イ……ティ、ティミー君♥ ハ、ハッピー・バレンタイン!」
そうぎこちなく言うと、先刻と同じようにパンツを脱ぐリュリュさん。
何度も言うが音と声だけで室内の様子を確認してる。
「……それは?」
「も~う……今見てたでしょ♥ ワ・タ・シの脱ぎたてパンティーよ。ティミー君は超絶変態シスコン野郎だから、これをア・ゲ・ル♥」
一秒ごとに頭が悪くなっていくなぁ、あの女。
「……要らない」
「な、何でかなぁ~? お兄ちゃん、私のパンツ大好きでしょぉ。脱ぎたてだから温もりも満載よぉ」
リュリュさんなりの最大限の煽りだろう……自分のパンツを拒否する理由を言わせる。
「……………」
「や、やっぱりぃ……ア、アミーちゃんのオムツが良いのかなぁ?」
リュリュさんが唯一賭けに勝つプロセス……言動を導く事だ。
だが、アレじゃぁダメだろう。
なによりリュカさんは、既に策を張り巡らせ終わってる。
リュリュさんは勿論、勝手に付いてきたギャラリーも気付いて無いだろう。
リュカさんは彼女にワザと執務室のドアノブを少し回させ、中の人物に気付かせた。そして今回の賭け等の事を部屋の前で話し、中の人物に聞かせた。
一般人であれば、扉が閉まっている状態での外の音(逆も然り)は聞こえない。流石に政治の中枢なので、盗み聞きをされては困るからね。だが中の人物は勇者として名を馳せた一流の冒険者だ。
防音設備がそこそこあっても、ドアノブの回される音は聞こえるだろうし、ドアノブが動いたのに入室してくる気配がしなければ、神経を集中して室外の音や声を聞きのがなさい様になるだろう。それが出来なければ、物陰に隠れる敵からの不意打ちに為す術無く散っていただろうから。
「そんなにアミーのオムツに興味があるのなら、今すぐ我が家に行ってみるといい。今頃、お前のパンツの温もり以上のアレが満載だ。僕にはゴミだが、興味のある者にはお宝なんだろ?」
「わ、私にだってゴミよ!」
「そんな事より、このおふざけを裏で仕組んでる扉の向こうの馬鹿者共……入って来なさい!」
「あれぇ、バレてました?」
俺はティミーさんの軽い怒号に、ワザとらしく頭を掻きながら部屋へと入る。
俺の後には、興味本位で見物してたギャラリー群も入って来た。
「あれ、主犯格は?」
今回の件に面白半分で首を突っ込んだ物を前に、ティミーさんが疑問を言った。俺も慌ててギャラリー群を見る。
「あれ、本当だ!? あのオッサン、何所行きやがった?」
気付けば一人だけ居ない。
今回の件の中心人物なのに……
「陛下なら、殿下が『入ってこい』って言われる前に、居なくなってましたわよ」
「止めろよ、基本的に中心人物なんだから」
ジョディーの報告に呆れながら注意する。
「何所に行ったか分かる者は?」
「……ど、何処かまでは分かりかねますが、プライベートエリアの方へと早足に向かったのを自分は見ました!」
警備兵の一人の目撃報告。
「相変わらず狡賢いな」
「まぁ陛下ですから(笑)」
また別の兵士からの一言で、その場に笑いが起きた……まぁただ、ティミーさんと俺は笑ってないけど。
俺にもやっと理解出来た。
圧倒的に有利にも関わらず、リュカさんが『ふむ……』等と言って賭けに躊躇した理由が。
いや躊躇したのでは無いな……ティミーさんから言質を取れるか、頭の中でシミュレートした瞬間だったんだ。
そして予定通り言質を取った。
だから慌ててプライベートエリアに行ったんだ。
声には出してないが、俺の顔もニヤけてるだろう。
だがティミーさんに説教されている他の連中とは笑いの意味が違う。
ウルフSIDE END
(グランバニア城・プライベートエリア・ティミー宅)
アルルSIDE
愛娘にお乳を与え、残った母乳を搾乳機で絞り終えた頃、我が家の玄関をノックする音が聞こえた。
ティミーが帰って来たのかしら……と一瞬思ったが、わざわざノックする意味も無いし、何より反応を待つ必要も無い。なんせここは彼の家なのだから、サッサと入ってくれば良いだけ。
凄く嫌な予感がするが、居留守も出来ない。
一応だがこの国の王太子夫妻の自宅。
門前に警備兵が居り、留守か否かの確認は出来てしまう。
もうほぼ私の予感は確定なのだが、渋々そして嫌々で玄関を開けてみる。
「こんにちわ~。アミー、元気にしてたぁ?」
予感は的中した、と言うより外しようがなかった。
「お、お義父様……どうしてここに!?」
「うん。息子がね『そんなにアミー……(ゴニョゴニョ)に興味があるのなら、今すぐ我が家に行ってみるといい』って言ったからさぁ。僕ぅ興味津々だしぃ!」
「あの野郎、裏切りやがったな!?」
「“裏切り”?」
小声だが思わず叫んでしまう。
私の言葉に不思議そうに首を傾げるお義父様……だが何時も通り、自然に優雅にそして格好良く私の腕から愛娘を受け取る(受け渡した記憶は無いけど)と、我が家のリビングまで入って来た。
「あのお義父様……勝手な事をされると、ホントに冗談では無くマジで非常に困ります」
私はそう言ってアミーを奪還する。勿論、私もお義父様も人間の赤ちゃんを奪い合ってるので、奪われる際に無理な抵抗はしない。一旦奪わせて再度奪還した方が娘が怪我をする心配が減るからだ。
「あはははっ、言葉にしつこいほどのトゲがある(笑)」
私のクレームを一切意に返さず、またもやアミーを奪われた。
本当コイツ何しに来たの?
私達は数度、嫌味を言いながら(嫌味は一方的に私からだが)アミーを奪い合っていた。
そして腹立つ事に、お義父様が私から娘を奪う際、彼の手が私の胸に当たるのだ。勿論、アミーを怪我させない様にしてる為、ワザとでは無い事は解っている……が、それでも腹は立つ。
「あのお義父様……先程からお義父様の手が私の胸に当たってるんですが! 息子の嫁に手を出すのは如何なものかと……」
奪われる事数度目……アプローチを変える為に無駄と承知でお義父様に痴漢行為として指摘する。
「……………」
するとお義父様は私の胸を凝視して、アミーを左腕だけで上手に抱っこすると、徐に空いた右手で私の胸を鷲掴みにした。そして勿論、揉む!
一昔前の私なら大声を張り上げて胸を庇いつつセクハラをするリュカさんを罵っただろう。
だが今は違う。
そんな事をしてもアミーを怖がらせてしまうだけで何一つとして利点は無い。
寧ろ冷静にお義父様を見据えて、隙だらけの左腕からゆっくり安全に愛娘を奪還し、娘の身体で胸を隠す。
そしてお義父様にニッコリと微笑みかける。
大概の男なら顔を引きつらせて大人しくなるのだが、目の前の男は大概外だ。
私の満面の笑顔に……「乳揉みたくなったら、そんな遠回しな事せず、揉む!」と言い切る。
分かってたさ、そんな事は!
だが私を不機嫌にする要因がまた一つ……
それは愛娘が、私に抱っこされてる時よりもお義父様に抱っこされてる時の方が喜んでいる事だ。
基本的に娘はあまり泣かない。
だから私に抱っこされたからと言って、泣き出したりする事は無い。
だが、あからさまにお義父様抱っこされてる時と、私に抱っこされてる時では機嫌の良さが違う。
明確に言うと、お義父様に抱っこされてる時は『キャッキャッ』と笑っており、私が奪い返すと笑顔が消え軽く頬を膨らませる。
だからこの男に愛娘を近付けたくなかったのだ!
女なら、ヘソの緒が付いてる状態の女から、老衰で天に召される直前の女まで誑し込む男。
それも無意識で行う。
それがこのリュケイロム・グランバニアという男なのだ!
「あの、そろそろアミーの食事時間なので出て行ってもらえますか。母乳を与えるので……」
「あははははっ、相変わらずアルルは嘘が下手だなぁ。オッパイは先刻与えた直後だろ? オッパイも張ってないし、揉んだ時も簡単に出なかった」
くっ! 下手に子育て経験があるから、取って付けた嘘じゃ通用しないわ。あの野郎……簡単に言質とらせやがって。
そんなタイミングに……
「ただいまっ!! あ、やっぱりここに居やがった!」
何時もよりも早い時間に、突如として夫が帰って来た。
何やら手には黒い布が……女性の下着か?
「あれぇ、なに早引きしてんだお前?」
「うるさい。主犯が居ないから不思議に思い、早めに帰って来たんだ! 勝手に家に来るな!」
お義父様の主張だと、アナタが行って良いと言ったらしいけども?
「お前言ったじゃん。『アミーに興味があるのなら我が家に行け』って」
「そんな事、言って無い!」
主張の食い違い……
「言ったよぉ『そんなにアミー……(ゴニョゴニョ)に興味があるのなら、今すぐ我が家に行ってみるといい』って!」
「その言葉を濁した部分が重要だ。僕は『そんなにアミーのオムツに興味があるのなら、今すぐ我が家に行ってみるといい』と言ったんだ。『オムツに』興味がある奴と!」
「大して違いは無いじゃん。だってオムツ代えをするのも吝かではないんだし」
なるほど……
何時もの如くリュカさんの強引な解釈の違いだったのね。
「そんな事よりさぁ……如何したのソレ」
「ドレ?」
多分、手に持ってる下着じゃないかしら?
「ソレ……リュリュの下着だろ? 何でブラまで持ってるの?」
「上下でワンセットだからです」
そうだけど、そうじゃない。
っていうか、リュリュの下着だったのね。
相変わらずデカいわね! 何よ“I-70”って!? Iカップ!?
ブラに付いてるタグに驚く。
「でもプレゼントはパンツだけだったんじゃね? しかもお前『要らない』って言ってたんじゃね?」
「言いましたよ。父さんの策略で部屋の外にギャラリーが居る事が分かったので、変な言い掛かりを付けられない様に、あの場では要らないと答えましたよ」
じゃぁ何で持ってるのよ!?
「じゃぁ何で持ってるんだよ!?」
「ギャラリーが居なくなった後に、今後同じように僕を馬鹿にする企画を企てなくする為に、『やっぱり欲しいからよこせ。上下セットで!』と脅して奪ってきました。普段は言わない様な威圧的な口調で言ったので、リュリュもビックリして差し出しましたよ……渋々ですけどね」
「本心は欲しかったんだ」
「要りませんよ、こんな汚れた布なんて! 本来渡したかった相手は父さんでしょうから、周り巡って父さんにあげます」
そう言うとアミーを抱っこしてて両手が塞がってる隙に、父親のポケットに強引にリュリュの下着をねじ込む夫……成長したわぁ。
「あ、こら……僕だって要らん。勝手にポッケに入れるな!」
「はいはい、自由に使って下さい」
夫は妹の下着を父親の服にねじ込むや否や、自然な動作で愛娘を奪い返す。だが……
「い、痛い……痛いよアミー!」
「だぁ! だぁだぁ!」
普段ではあり得ないが、お義父様から夫に移動した途端、実父の顔を手でペチペチと叩き、嫌がる愛娘。
「ほ~ら、嫌われた。妹から下着を奪うなんて変態行為をするから」
そう言うと、これまた自然な動作でアミーを奪い返すリュカさん。
それを悔しそうに見つめる夫……お義父様もポッケの事を忘れてしまった様だ(笑)
「そ、そんな事より……もうそろそろアミーもおねむの時間だと思われる様な気がしないでも無い気がするので、いい加減、今すぐ、速攻で、一瞬のうちに、秒で、帰ってくれませんか。ホント、マジで、切に、心から!」
「夫婦揃って言葉にトゲがあるぅ」
貴方……悪影響なんですよ!
「そっかぁー……もうおねむなのかぁー」
「ええ、だから帰って……そして二度と来ないで下さい」
主張が凄い。
「よ~し、じゃぁリュー君が特別に子守歌を歌ってあげよう! タイトルは“聖母たちのララバイ”だ!」
「止めて下さい。赤ん坊の教育に悪い歌を聴かせないで下さい!」
教育に良さそう感が微塵も感じられないタイトルよね。
「馬鹿者! お前は何時もそうだ……食べ物も食べもしないで批判したり、名曲も聴いても無いのにダメ出しする。上っ面だけで判断するのは良くないゾ」
「で、ですが……子守歌としては不適切だと……」
「タイトルに“ララバイ”って付いてるんだから、不適切なわけ無いだろ!」
そうだろうか?
そんな疑問を指摘しようとしたが、お義父様はハミングで前奏部分を歌い出してしまい、何も言えなくなった。
そして歌詞……
・
・
・
「……や、やっぱり赤子に聞かせる歌じゃねーじゃんか!」
「そうかい? でもアミー寝ちゃったよ。スヤスヤだ」
あの歌でスヤスヤ眠られるのは困る。
「何でだ!?」
「はいはい……アミーちゃんをベビーベッドに誘いましょうねぇ」
子供が馬鹿みたいに大勢居るだけあって、手慣れた手つきで孫をベッドに寝かしつける。
「じゃぁ用が済んだからもう帰る」
「二度と来んな馬鹿!」
「二度と来ないで下さいお義父様」
「嫌われたもんだ(笑) まぁいいや……そんな事より君たち夫婦に耳寄り情報。あの歌でスヤスヤになったて事は、かなり深い眠りについてるよ……久しぶりに夫婦の営みが出来る! 頑張れ(サムズアップ)」
……思わず夫と視線が合う。そして一気に恥ずかしくなった!
「う、うるさい帰れ!」
恥ずかしさのあまり、手近にあったアミーのぬいぐるみをお義父様に向けて投げつける夫……
だが既にリュカさんは出て行っており、“ポフッ”と音を立ててぬいぐるみだけが玄関先に落ちた。
自分で投げたぬいぐるみを回収すると同時に、リュカさんが再突入してこない様に鍵を閉めて、私の傍まで戻ってきて顔を赤らめる夫。
久しぶり……本当に久しぶりの事なので、私の顔も真っ赤になってるだろう。
お互いに何も言えないで居ると、意を決したティミーが私を所謂お姫様抱っこして寝室へと向かった。
そして……
アルルSIDE END
(グランバニア城・プライベートエリア・ティミー宅)
グランバニア城のプライベートエリアに存在する王太子夫婦の自宅では、奥方が妊娠していこう久しぶりの営みに突入していた。
お二人の間には乳飲み子が生まれてとしても、お互いまだ若い男女である。
久しいその感触に、夫も妻も酔いしれていた。
そして夫の逞しいモノが、妻を突き上げてクライマックスに突入する直前……
「ふぎゃぁ……」と、子供部屋からこの男女の愛娘の泣き声が聞こえてくる。
互いに絶望的な表情で見つめ合っていたが、次の瞬間……
「あの野郎、欺しやがったな!」
と旦那様の雄叫び。
まだ旦那様のモノはいきり立っていたが、娘の泣き声に奥様の中から抜き出すと、服も着ないであやしに駆け出す。
奥様も手近にあったブランケットで身体を纏い、子供部屋へ……
夫が泣く娘を抱き上げあやしている姿を眺めながら不安に思う妻。
夫婦の営みが中座して少しの時間が経過したが、全く萎む気配を見せずギンギンな状態で娘を抱っこする夫……
それは旦那様の若さからなる持続力ではあるのだが、妻からは『本当に娘に対して変な気は持っていないのだろうか?』と疑惑を浮かべる要素になっていた。
なお翌日……
王太子殿下はお父上に対し、昨晩欺された事に不平を言いに執務室へ押しかける。
だがお父上の国王陛下は……
「大好きなパパが、他の女にとられる様な気がして、目が覚めちゃったんだよ」
と、ふざけた言い訳で誤魔化す。
だが言われた王太子殿下はニヤけながら嬉しそうに欺され出て行った。
その後ろ姿を見つめ、こちらも不安を募らせるのであった。
因みに、ポケットに入っていた黒の下着セットは、信認厚い部下たる宰相閣下の執務机の引き出し奥に、誰も居ない時間を見計らって隠した事はまだ発覚していない。
今回のテーマソング「待てない」(待つわのリズムで歌ってね)
♪可愛い顔してあの子 かなり変態だねっと♫
♪言われ続けたあの頃 わりとどうでもよかった♫
♪言ったりしたりエロい事 私の貴方への行為♫
♪いつかどこかで 成就するって事は永遠(とわ)の妄想(ゆめ)♫
♪アオカンだって構わない 誰に見られてもいい♫
♪彼の濃いめのエキス 生して中だして♫
♪私待てない いつまでも待てない♫
♪たとえ貴方が実の父親だとしても♫
♪待てない いつまでも待てない♫
♪他の妾(おんな)と同じエロ事する日まで♫
後書き
アルル様……淑女になろうと努力中。
また酷い替え歌を作ってしまった……
感想聞かせて下さい。
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