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イベリス

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第五十八話 東京の紫陽花その一

                第五十八話  東京の紫陽花
 アルバイト先の店に入るとすぐに大きな花瓶の中のア自裁を見た、それで咲は受付にいた先輩に尋ねた。
「紫陽花ですか」
「ええ、店長さんが頂いたの」
 先輩は咲にこう答えた。
「お客様から」
「それで飾ってるんですね」
「そうよ。うちのお店いつもお花飾ってるわね」
「そうですね、私も花瓶のお水換えてます」
 咲の仕事の一つである。
「お仕事の時は」
「店長さんがよく頂くからよ」
「それで飾ってるんですね」
「しかも店長さんお花お好きなの」
 速水地震の好みもあるというのだ。
「それでなのよ」
「飾ってるんですね、いつも」
「そうしてるの」
「そうですか」
「それでね」
 先輩はさらに話した。
「桃や梅、薔薇に菊にね」
「この紫陽花もですね」
「後百合や菖蒲、菫もお好きなのよ」
「色々なお花お好きなんですね」
「勿論桜もお好きで」
 日本を代表するこの花もというのだ。
「よくお花見に行かれるそうよ」
「桜の季節にはですか」
「そうなの、靖国神社とかのね」
「あそこの桜いいですよね」
「あの桜の木は英霊の魂でもあるって言われて」
 それでというのだ。
「行かれてるのよ」
「毎年ですか」
「そうされてるのよ、勿論他の場所の桜もね」 
「見に行かれてるんですね」
「そうされてるの」 
 こう咲に話した。
「あの人はね」
「本当に桜がお好きなんですね
「そうよ。あと最近マーガレットがお好きで」
「あのお花ですか」
「この前お話されていたわ」
「マーガレットもお好きですか」
 咲はその話を聞いて応えた。
「そうですか」
「実はお花は何でもお好きみたいね」
「お花ならですか」
「牡丹を見て貂蝉のお花とも言われていたわ」
「ああ、三国志の」
「あの人は架空の人物だけれど」
 ただしモデルになった人物はいたそうだ、呂布は董卓の愛妾の様な人物と関係が出来てそうしてr董卓に関係が露見することを恐れていたらしい。
「何でも牡丹はね」
「貂蝉のお花ですか」
「そうらしくて」
「牡丹を見て言われていたんですね」
「他にもひがねしを虞美人草と言われたわ」
「ひなげしってそうも呼ぶんですよね」
 咲もこのことは知っていた。
「項羽の奥さんで」
「項羽が死ぬ前に自害したでしょ」
「それであのお花になったんですよね」
「そう言われてるのよ」
「そうですよね」
「夏目漱石の小説にもなってるわ」 
 先輩はこのことも話した。
「そうした題名の作品もあるの」
「漱石も色々書いてるんですね」
「ええ。あの人結構ロマンチストだから」
 月が奇麗ですねという言葉をアイラブユーと言ったのも漱石だ、そうした恋愛を書くことも得意であったのだ。
「題名もね」
「そうしたのがあるんですね」
「あと椿もお好きね」 
 この花もというのだ。 
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