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おぢばにおかえり

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第七十話 詰所はお家その十二

「そんなお姫様とかね」
「違いますか」
「全然よ、庶民も庶民も」
 本当にそうです。
「そんなね」
「お姫様みたいなことは」
「一切ないから」
 このことは自覚しています。
「それこそ全くよ」
「僕にとってはそうですが」
「新一君だけがそう見てるだけでしょ」
 こう言いました。
「勝手に」
「僕の主観ですか」
「そうとしか思えないわ」
 私にとってはです。
「本当にね」
「僕にとってはってことでいいですよね」
「あくまでそう言うの」
「本当に僕か見ればそうですから」
 だからだというのです。
「こう言います」
「そうなのね」
「あと食べたらすぐに戻りますか?」
 私にそれからのことも聞いてきました。
「詰所に」
「ええ、事務所にいないとね」
 今はお時間を頂いたけれどです。
「それが私のひのきしんだから」
「それで、ですね」
「食べたらね」
 もうすぐにです。
「詰所に戻るわ」
「じゃあ僕も」
「いや、歩いて行けるし」
 私は新一君にそれは断りました。
「今は一緒だけれど」
「いえいえ、お家まで送るのが礼儀ですし」
 新一君は楽しそうな声で言ってきました。
「ですから」
「それでなの」
「女の人一人にしたら駄目ですし」
「おぢばは治安悪くないしそれにお昼だし」
「それも礼儀じゃないですか、僕も先輩と一緒にいたいですし」
「だからなの」
「はい、食べた後は詰所まで送らせてもらいます」
 こう私に言うのでした。 
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