レーヴァティン
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第二百五十三話 蝦夷が収まりその四
「ああした奴はだ」
「出す訳にはいかないな」
「如何に政治力がありだ」
「為政者としては善政を敷こうともだな」
「流れる血が多くだ」
宮中のそれがというのだ。
「そして無闇に残虐だからな」
「手足を切り酒が入った壺に入れたな」
幸正は則天武后の有名な逸話を話した。
「自身の政敵を」
「自分の前の皇后に皇帝の他の寵妃をな」
「そうしたというな」
「俺は外道にはそうする」
残虐とされる刑罰を厭わないというのだ。
「だから呂后がした人豚もだ」
「行ったな」
手足を切断し目をくり抜き耳を聞こえなくし口を薬で焼いて喋らなくすることである、呂后はこの様にして自身と息子の地位を脅かした夫の劉邦の寵妃を殺したのだ。
「そうしたな」
「外道をな、厠には放り込まなかったが」
呂后がそうした様にだ、当時厠で豚を飼っていて呂后はそこに人豚にした己の敵を放り込んで人豚と呼んだのだ。
「しかしな」
「その様にしたことは事実だな」
「外道はな、外道にはそうするが」
「しかしだな」
「敵であってもだ」
そうであってもというのだ。
「そうしたことはだ」
「しないな」
「するのは外道だけだ」
あくまでというのだ。
「罪があろうともな」
「外道でないとだな」
「するものか」
一切と言うのだった。
「俺はな」
「それが人の道だな」
「そう考えている」
まさにというのだ。
「俺はな、例え則天武后が男でもだ」
「そうした輩は許さないな」
「同じだ、性別に関わらずだ」
「出させないな」
「そうしていく」
「女性が実は残虐ということはですね」
紅葉が言ってきた。
「偏見ですね」
「男もな」
「残虐な人は残虐ですね」
「実際に俺は残虐な処刑を躊躇しないな」
「人の道を踏み外しているのなら」
「そうした罪を犯した奴にはだ」
それこそというのだ。
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