猫は言うことを聞かない
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第一章
猫は言うことを聞かない
OLの周東美咲は大学時代の友人の別の会社で働いている明石好美が家に来た時に一匹の白猫を見せた、そうして満面の笑顔で彼女に言った。
「妹が出来たのよ」
「ニャ~~~ン」
「猫飼いはじめたのね」
「そうなの、ミクっていうの」
名前も紹介した、ミクは紹介されるとだった。
二人を全く気にせず大きく欠伸をして二人の傍にあったソファーの上で丸くなって寝そべりだした。
そのミクを見つつ美咲、茶色の髪の毛をロングにして額を出している童顔で大きな丸い目の小柄な彼女はさらに話した。
「女の子で今三ヶ月なの」
「そうなのね」
好美は美咲の言葉に頷いた、好美は黒髪をおかっぱにしていて切れ長の目で白い顔でホームベース型の顔である。背は美咲より数センチ高い位だ。二人共ラフなシャツにズボンという普段着の状態だ。
「この前家に迎えたの」
「そうなの、保護猫よ」
「そうなのね」
「兄弟皆もらわれていって」
そうしてというのだ。
「うちはお母さんがこの娘がいいって言って」
「それでなのね」
「うちに来たの、いや猫がいるとね」
美咲は笑顔で話した。
「それだけで違うわ」
「可愛い?」
「かなりね、これからはずっと一緒よ」
ソファーの上で丸くなっているミクを見つつ言う、この時美咲はとても幸せそうであった。だが数ヶ月後。
美咲は暫く振りに自宅に来た好美に紅茶を出してからだった。
家の中をとことこ歩いているミクを見つつ話した。
「私達のこと意識してないでしょ」
「もう我関せずね」
「こうなのよ、完全に我が道を往くでね」
それでというのだ。
「家族が声をかけたら鳴いたり尻尾動かして返事してくれるけれど」
「自分のしたいことしてるのね」
「いつもね。ご飯が欲しくなったり遊んで欲しくなったら」
その時はというと。
「私やお父さんお母さんを軽く噛んでよ」
「催促するのね」
「そうしないともっと噛むし」
少し苦笑いになって話した。
「やれやれで応えてるわ」
「そうなのね」
「インスタで写真撮ろうとしたらいつもそうして欲しいってポーズ取らないし」
「人と違って」
「寝てたり遊んだり。リボンとか服とか嫌がるし」
「猫って元々毛皮が服だからね」
「我儘の分こちらに応えて欲しくても」
それでもというのだ。
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