ハッピークローバー
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第二十五話 満足している姉その九
「悪事が余計に知られてね」
「本人は全く平気でも」
「嫌われて」
「敵ばかり増えてね」
「よくないわね」
「いざって時にね」
まさにそうした時にというのだ。
「その嫌いな人が一斉に動くから」
「それで報い受けるのね」
「そうよ、しかしね」
「しかし?」
「嫌われる人もいるけれど本当にそこまで嫌われたくはないわね」
美奈代は心から思ってこの言葉を出した。
「どれだけ不幸か」
「嫌われること自体が不幸ね」
「そうよ、好かれる人はそれだけでね」
「幸せなのね」
「それで凄く好かれる人はね」
そうした人はというのだ。
「日頃の行いがね」
「いいのね」
「往々にしてね」
「そういうものなのね」
「いい人だから好かれて」
そしてというのだ。
「何かとよくしてもらってね」
「幸せなのね」
「そういうものよ、世の中って」
「自分で幸せになるものなのね」
「ええ、自分が努力して」
いい性格になることでもというのだ。
「やっぱりね」
「それがなのね」
「大きくて」
それでというのだ。
「幸せは自分からね」
「掴むことなのね」
「自分がよくなれば」
「性格でもね」
「幸せになれるのよ、周りも助けてくれてね」
「そういうことね」
「あとね」
姉はさらに話した。
「何でも結構って思うとね」
「余計いいのね」
「例えばこのクラッカー食べて」
そうしてというのだ。
「美味しいと思えれば幸せでしょ」
「実際このクラッカー美味しいわよ」
富美子は姉と一緒にそのクラッカーを食べながら答えた、軽く塩味が利いていてワインの肴に丁度よかった。
「いいわよ」
「私もそう思うわ、そう思えたらね」
「それならなの」
「幸せなのよ」
「そうなのね」
「そう、それでね」
それでというのだ。
「何でも結構、満足だって思えたら」
「幸せね、それ私も思うわ」
「富美子もなのね」
「何でも不平不満ばかりだとね」
「幸せな筈ないでしょ」
「ええ、不満はね」
「出来る限り持たない様な性格でいられたら」
それならというのだ。
「もうね」
「それでなのね」
「幸せなのよ」
「そういうことね」
「そうよ、飲んだり食べることも美味しいと思えれば勝ちなのよ」
それでというのだ。
「幸せなのよ」
「そういうことね」
「他のことでも喜べたらよ」
「それで幸せで」
「勝ちよ、勝ち組負け組なんて言葉もあったけれどね」
二十一世紀初頭に流行った言葉で今も定着していると言えるであろうか。消える言葉もあれば残る言葉もある。
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