恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百二十二話 闇、近付くのことその九
「だからどうでもいい高校に通って出てな」
「そしてそのうえで、ですね」
「ああ、オロチとして動いてきた」
それが社のしてきたことだ。オロチとしてだ。
「ずっとな。ただな」
「はい、それでもですね」
「その言葉自体はいいな」
フランスの哲学者であり思想家であるその人物が言った言葉をだ。彼等はよしとしていた。そうしてそのうえでこんなことも話すのだった。
「人は文化とか文明を知ってからおかしくなった」
「全くです」
「自然を忘れちまった」
「そしてその自然を害する様になりました」
「それはおかしいんだよ」
社はオロチの立場から話していく。
「それがわかってない奴等だからな」
「はい、ですから」
「滅ぼすべきなんだよ」
「そうして全てを自然に帰すべきです」
「法とか秩序なんてのはいらないんだよ」
自然においてはだ。そうしたものもだというのだ。
「必要なものは何か」
「はい、自然だけです」
「そうだな。自然だけだな」
「別に常世が来てもいいのです」
刹那のその目指すものもいいとしていた。彼等はだ。
「それもまた自然なのですから」
「混沌。それだな」
「はい、そうです」
「その通りだな。ただな」
「はい、ただですね」
「刹那にも邪魔をする奴がいるしな」
「私達と同じく」
四神に三種の神器の者達、それがまさに彼等の敵だった。
その彼等の話についてはだ。社はゲーニッツに尋ねることがあった。
「おい」
「何だ?」
「ああ、あんたあの女の姉貴を殺したな」
「彼女のことですか」
「ああ、そのことだけれどな」
「それが何か」
「そのことで妙な因縁ができてるな」
社が今ゲーニッツに言うことはこのことだった。
「あの女あんたを何としても封じようとしているぜ」
「そうでしょうね。それはわかります」
「けれどそれもなんだな」
「はい、構いません」
狙われていようがだった。ゲーニッツは構わなかった。
それでだ。社にこう言うのだった。
「あの方の相手は私がしましょう」
「元の世界と同じだな」
「その通りです。それもまた楽しみです」
ゲーニッツの言葉は続く。
「この世界でも戦うとは思っていました」
「あの連中が呼び寄せるからだよな」
「あの方々はずっと于吉さん達と因縁があると聞きましたので」
彼等も怪物達のことを意識していた。そのことをだ。
「そうとなれば必ずです」
「あの連中を呼んで俺達と戦ってもらうか」
「そういうことですね」
「因果ってのは世界を超えるんだな」
社はこのことを今実感した。そしてなのだった。
彼もだ。こんなことを言った。
「俺もあれだからな」
「神器の方々と共におられる」
「ああ、あの柔道家いるだろ」
「はい、貴方と同じく大地の力を使われる」
「あいつと戦いたいって思ってるんだよ」
彼は彼でそう思っているのだった。
「それでシェルミーはあの髪が立ってるな」
「あの方とですね」
「戦いたいと思ってるからな」
彼女はそちらだった。
「クリスはあの炎の奴な」
「草薙京、彼ですね」
「面白いよな。因果って世界も超えて俺達を闘わせるからな」
「はい、そしてあのオロチの血を忘れた」
「あいつだな」
「八神庵もまた来ていますし」
「あいつは俺達とつるむ様な奴じゃないな」
社もそのことを実感する。
「絶対にな」
「そうですね。しかし」
「仕掛けるか?あいつにまた」
「いえ、それはもうしません」
それはだというのだ。
「それにレオナですね」
「あいつにも失敗したしな」
「はい、それもありますが」
「あいつは血が暴走したら無差別だからな」
「それでは計算できません」
戦いに関してだ。それならというのだ。
「ですからとてもです」
「そうか。わかったぜ」
「彼については何もしないことです」
また言うゲーニッツだった。
「野獣を飼い慣らすことは難しいものです。しかもそれが狂気のものなら」
「無理だと思った方がいいな」
「そうした野獣は殺すしかありません」
実に淡々とだ。ゲーニッツは言うのだった。
「そういうことです」
「よし、じゃあここはあいつも他の奴等もまとめてな」
「全て。消し去りましょう」
こんなことを話していた彼等だった。そのうえで連合軍の陣地に近付く。
だがそれはだ。陣地から離れた場所の仮面の男に見られていた。
紅い鬼を思わせる仮面を着け白い服を着ている。その彼が彼等を見てだ。
「間に合ったか。それではだ」
こう呟いてだ。彼は連合軍の陣に向かう。空では一つの黄色い星がその瞬きを強めていた。
第百二十二話 完
2011・11・8
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