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第二十五話 満足している姉その一

                第二十五話  満足している姉
 富美子の姉の美奈代は今自宅でワインを飲んでいた、発泡性の赤ワインをがぶがぶと飲みながら言っていた。
「いやあ、満足よ」
「ワイン飲んで?」
「このワインはランブルスコなのよ」
「何それ」
「イタリアのワインよ」
 この国の産だというのだ。
「モデナの方のね」
「そうなの」
「甘いワインでね、私このワイン好きなのよ」
「それでそのワイン飲んでなの」
「今は幸せよ」
 こう言うのだった。
「凄くね」
「それで満足だって言ったのね」
「そうよ、あんたも飲む?」
「飲んでいいの」
「何本もあるから」
 飲みながら言うのだった。
「遠慮は無用よ。二本あげるわ」
「二本もなの」
「そう、五本あるからね」
 見れば一本空けられていて四本はまだだ。
「それだけあげるわ」
「お姉ちゃん三本ね」
「あんた二本。どう?」
「本当にいいの」
 富美子は姉に問うた。
「貰って」
「いいわよ、買った私が言ってるから」 
 だからだというのだ。
「いいのよ」
「遠慮は無用って言ったし」
「だからね」 
 それでというのだ。
「飲んでね」
「それじゃあね」
 富美子は姉の言葉に頷いた、そしてだった。
 テーブルの自分の席で飲んでいる姉の向かい側の席に座った、そうしてコルクを開けて飲みはじめたが。
 一口飲んでだ、驚いて言った。
「このワイン美味しいわね」
「そうでしょ」
「それもかなりね」
 飲みながら言った。
「美味しいわ」
「かなり甘いでしょ」
「それで飲みやすくて」
「泡もいいでしょ」
「それもね」
「おつまみはチーズとサラミあるから」
 その二つがというのだ。
「その二つ食べながらね」
「飲むといいのね」
「ええ、そうしてね」
 妹にその二つを出しつつ話した。
「飲んでいってね」
「それじゃあね」
「今晩はブイヤベースだったしね」
「美味しかったわね」
「あれも好きだったしね」
 ブイヤベースもというのだ。
「それで食後にね」
「このワイン飲んで」
「満足よ、幸せよ」
「そこまで言うの」
「実際にそうだから」
 そう思うからだというのだ。
「本当にね」
「そう言うのね」
「そうよ」
 言いつつグラスに酒を入れてまた飲む。
「最高よ」
「何かね」
 富美子も飲みつつ言った。 
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