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イベリス

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第五十五話 速水の食事その五

「いいので」
「そちらで食べることもですね」
「小山さんもされてみて下さい」
「そうします」
 咲は目を輝かせて答えた。
「お母さんにもお話してみます」
「そうされて下さい」
「お母さんサラダや野菜炒めや煮物は好きなんですが」
「お酢に漬けることはですか」
「言われてみればしないです」
「そうですか」
「お酢自体は使うんですが」
 調理にというのだ。
「ですが」
「お野菜を漬けることはですね」
「しないです」
「それはお嫌いではなくおそらく」
「知らないんですね」
「そうだと思います、ですがザワークラフト等は」
 速水はまたこの食べものの話をした、ドイツでは非常にポピュラーな食べものでありよく食べられている。
「欧州ではよく食べて船乗りもです」
「食べていたんですか」
「クック船長の航海でもです」
「食べていたんですか」
「かつての航海では壊血病が問題でした」
 速水はこのことも話した。
「長い船旅の中でビタミンが不足して」
「それで、ですか」
「多くの船乗りが壊血病になってです」 
 そうしてというのだ。
「命を落としています」
「大変だったんですね」
「それでクック船長も考えまして」
「ザワークラフトですか」
「何を食べればいいかと思案して」
 ここでは経験論イギリスのそれが役に立ったという、クックはイギリス出身であるのでそこから考えたのであろう。
「果物、柑橘類とです」
「ザワークラフトですか」
「色々考えて調べて」 
 そしてというのだ。
「見出したそうです」
「それで柑橘類にですね」
「ザワークラフトを入れて」
 そしてというのだ。
「そのうえで、です」
「航海をして」
「壊血病は出なかったんですか」
「そうでした」
「それは凄いですね」
「こうしたお話は日本でもありました」
「日本にも壊血病あったんですか?」
 咲は首を傾げさせて尋ねた。
「そうなんですか?」
「いえ、脚気です」
 この病気だとだ、速水は答えた。
「脚気でそうなりました」
「脚気ですか」
「白米ばかり食べていて」
 そうしていてというのだ。
「江戸時代から江戸や大坂では脚気が多くです」
「それで、ですか」
「問題になっていまして」
 そしてというのだ。
「ずっと原因を調べられていて」
「そんなことがあったんですね」
「海軍でも問題になっていまして」
「白米ばかり食べていたからですか」
「兵士の人達がなり」
 そうしてというのだ。
「士官の人達はパンを食べていてならないので」
「そこで、ですか」
「試しに麦飯にしますと」
 それならというのだ。
「なくなりました」
「そうですか」
「はい、壊血病と脚気の違いはありますが」 
 それでというのだ。 
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