| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ハッピークローバー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二十四話 あえて聞いたその一

                第二十四話  あえて聞いた
 かな恵はまた弟の部屋の前を通った時に怪しい声を聞いた、最後は満足した様な息でがさごそと音がした。
 こうしたことはしょっちゅうだ、そして。
 母に言われて手伝いで家の掃除をしているとだった。
「明男のベッドの下にね」
「あら、またなの」
「そうした漫画があったのよ」
「そうなのね」
 母はリビングで二人でいる時に話してきたかな恵に応えた。
「そうなのね」
「そうなのねってそれで終わりなのね」
「だってあの子も中学生よ」
 あっさりとした口調での返事だった。
「だったらね」
「それならなの」
「そうした本も持っててね」
 そうしてというのだ。
「そうしたこともよ」
「するの」
「ゴミ箱見てもわかるでしょ」
 彼の部屋のそれをというのだ。
「かな恵ちゃんと捨ててるわね」
「それもお掃除だからね」
「あの子が自分でお掃除しないならよ」
「私達がお掃除するから」
「だったらわかるでしょ」
「ティッシュ増えたわ」
 中学校になって暫くしてから明らかにそうなっていた。
「それもかなりね」
「あのね、あの子も男の子よ」
「それならなのね」
「そうしたこともね」
 それこそというのだ。
「普通でね」
「それでなのね」
「そうしたこともね」
「普通なのね」
「そうよ、だからあんたも一々よ」
「思わなくていいのね」
「大体男の子にそうした感情がなかったら」
 そうであったならというのだ。
「人類は滅ぶわよ」
「滅ぶって」
「当たり前でしょ、子孫が出来ないのよ」
 だからだというのだ。
「そうなるからよ」
「滅ぶのね」
「江戸時代でも大名のお家が何故滅ぶか」
「やらかしてよりもよね」
「跡継ぎがいなくて、でしょ」
「それはそうね」
「蒲生氏郷さんの家もそうなったのよ」
 織田信長の家臣として頭角を表わし大名となっている、江戸時代にもまだその家はあって続くと思われたが。
「跡継ぎがいなくてね」
「滅んだのね」
「そうよ、徳川家だってでしょ」
「跡継ぎがいて」
「その跡継ぎの為に御三家もあったじゃない」
「若し本家がなくなっても将軍を出せる様に」
「それで吉宗さんが将軍になったでしょ」 
 時代劇で有名な彼がというのだ。
「だからよ」
「男の子にそうした感情がなかったら」
「ひいては男の人にね」
「志尊が出来なくて」
「人類は滅ぶわよ」 
 そうなるというのだ。
「結果としてね」
「そうなのね」
「だからよ」
「明男もなのね」
「そうしたことをしないとかえってね」
 むしろその方がというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧