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レーヴァティン

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第二百五十話 軌道に乗るまでその二

「考えてみたら天守閣はいらないわね」
「本来はな」
「塔が幾つもあればね」 
 物見のそれがだ。
「それで足りるよ」
「そうだ、しかしな」
「日本のお城ならっていうのね」
「天守閣がないとだ」
 今自分達が見ているそれがというのだ。
「やはりな」
「絵にならないわね」
「見栄えもな」 
 これもというのだ。
「何でも必要でな」
「お城にもだね」
「必要でな」
 その為にというのだ。
「こうしてだ」
「天守閣も築かせたわね」
「これだけのものをな、またこれはこれでだ」
 天守閣は考えてみるといらないかも知れないがというのだ、逆に攻められる時は砲撃等の恰好の的になったりもすることが懸念されることもあってだ。
「倉庫にもなりやはり物見に使える」
「だからいいわね」
「あってもな、そう言うお前はいらないと思うか」
「そんな筈ないだろ」
 桜子は笑って応えた。
「あたしだってな」
「天守閣はいると思うな」
「その見栄えだよ」
 このことから言うのだった。
「今さっきあんたが言ったな」
「それだな」
「もう日本のお城ならね」
「天守閣がないとな」
「絵にならないさ、それがあったらね」
「絵になってな」
「お城って感じがしてね」
 日本のそれでというのだ。
「だからね」
「いいな」
「実際にね」
 こう言うのだった。
「あっていいわ、五稜郭もいいけれど」
「あちらは西の浮島の城だ」
「こっちの世界で言うとね」
「俺達が起きた世界では十八世紀から十九世紀の戦に対応したな」 
 即ち砲撃戦に対してだ、西洋の城壁は大砲の登場により直角に高いものは姿を消し土手を放射状に配するものになったのだ。
「そうしたものでな」
「また別ね」
「そうだ、しかしだ」
「函館だから築いたのね」
「そうした、やはりな」 
 英雄は桜子に話した。 
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