少女は 見えない糸だけをたよりに
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今日は、くるみちゃんがお休みを取っていたので、代わりに燿さんがお店に入っていたが、5時頃、ゲンさんが来てくれて
「あっ そうか くるみちゃんはデートでお休みなんだ」
「えー くるみ デートなんですか?」
「言って無かったんだー 余計なこと言ってしまったかな 内緒な」
「そう ゲンさんのお友達の方でしょ?」
「うん トシロー 合コンしてから、付き合っているみたいだよ 昨日、トシローがデートなんだと報告してきた。えーと じゃぁ 今日はハムカツサンドにする」
「じゃぁって 何よ べつに クレープでもいいんですよ!」
「いや 香波ちゃんの ワッフルがいい 香波ちやん 今日も機嫌ななめ?」
「ごめんなさい ちょっと からかっただけ」
「なら いいんだけど このお店は美人ばっかり揃ってるんだね オーナーの好みなんかなー あの人も美人だねー」
「・・・オーナー 店長です」と、私は、小声で
「えっ そうなんか まだ、若いよね やり手なんだ」
「ゲンさんの先輩ですよ」
「えー あー そうだ! 校内で、すげぇ美人がいるってウワサの人になっていた人だ」
「うふふっ 私も 知ってますわよ 源さん レスリング部のホープ」と、燿さんが
「えー 光栄です いやー 知っててくれたんだ」
「ええ 有名人だからね 香波ちゃん 私が持ってきた焼き豚 入れて見て 試作段階なのよ 常連さんのご感想をお聞きしたいわ」
私が焼き上げて持っていくと、ゲンさんは珍しくじっくりと食べていた。
「うまいっす 自分には焼き豚 もう少し、甘く無い方が好みかなー でも、肉の感じがいいっす 脂もトロトロしていて」
「そう 参考にさせていただくわね」
その時、3人連れの女子大生が店内に賑やかに笑いながら入ってきた。食べ終わっているゲンさんのほうを見ると、電話をかける仕草を私に向かってしていた。私は、頷いて、返していた。
そして、仕事帰りに公衆電話から
「ありがとう 香波ちゃん お店では言えなくてな」と、私が話す前に言ってきた。
「いえ 私もゲンさんがなんか 言いたげだったから・・」
「あのー 今度 嵐山 いきませんか 紅葉がきれいですよ」
「誘ってくださるんですか うれしいです でも、水曜の午後からでよければ・・」
「もちろん こっちこそ 楽しみです」
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