マスクをいつもしていているのは
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第二章
「最早ね」
「そこまでなのね」
「けれどそれだけにね」
「空気が奇麗なのね」
「ここよりずっとね」
山即ち緑が傍に多いだけにというのだ。
「私花粉症じゃないし」
「余計にいいのね」
「そうよ、本当に川崎の空気はね」
「駄目なのね」
「東京にいる時はまだマスクしなかったのに」
それがというのだ。
「川崎はね」
「工業地帯だしね」
「私には辛いわ」
こう円に話した、こうしてだった。
由衣は何時でもマスクをしていった、それは騒動が収まってからもで行き交う人達にはまだしているのかという目で見られた。
だが彼女はあくまでマスクを続け。
千葉の方に転勤となってだ、円にほっとして言った。
「千葉の柏の方でね」
「あそこも結構賑やかだけれどね」
「それでも山結構あるしね」
「緑が豊かで」
「ここよりずっと空気奇麗だからね」
工業地帯であるこの街よりもというのだ。
「だからね」
「あっちじゃもうマスクしないのね」
「それで済みそうよ」
「よかったわね、それじゃあね」
「ええ、これからはね」
柏に移ってからというのだ。
「マスクしないわ」
「騒動終わって結構経ったけれど」
「私もね」
今も円と共に居酒屋の個室で飲んでいる、そうしながら話した。
「マスク卒業よ」
「よかったわね」
「ええ、やっとね」
「これで本当に川崎昭和に比べたらずっと空気奇麗になったけれど」
「私には辛かったわ」
一日マスクを着けないと軽くても喉にきた、それでマスクをしていたのだ。
「けれどそれもね」
「終わって」
「ほっと出来るわ」
笑顔で言ってだった。
由衣は今は焼き鳥を食べた、そのうえで焼酎を飲んで笑顔で話した。
暫くして転勤してだった、休日柏の方に遊びに来た円に柏の駅前の繁華街に行く方で待ち合わせをした。
そして自分からだ、円に話した。
「この通りね」
「マスクしてないわね」
「そうよ、そのうえでここで楽しく暮らしてるわ」
「それは何よりね、じゃあ今からね」
「ええ、ここの街案内するわね」
円に笑顔で言ってだった。
彼女を街の繁華街に案内した、マスクをしていない彼女が誰もがはっきりとわかるまでの美人だった。
マスクをいつもしているのは 完
2022・5・24
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