IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニット・ストラトス
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閑話 ヒロイン達の想い
前書き
この話は代表決定戦の時のヒロイン達の想いを描いています。
箒side
「この程度の障害、男子たるもの軽く乗り越えて見せろ。一夏」
その言葉を口にしたとき、私の中で何かが跳ねた。
この感じはそうだ、一夏と拓夢に助けられたときに似ている。
小学校低学年のとき、私は言動が女の子らしくない事から苛めの様なものを受けていた。
その時言われた言葉が、男女。
今考えてみると、そんな言葉に動じていた自分が恥ずかしい。
だがその時は、心のそこから嫌だった。
女の子らしくない。それはいけない事なのだろうか?皆と違うことは駄目な事なのだろうか?
せめて外見は女の子らしく有ろうと、リボンを付けて行くと。今度はそのことで馬鹿にされた。
おとこ女のくせに、なにリボンなんか付けてんだよ。
その言葉は私を深く傷つけた。
そして、私は自分という者が分からなくなっていた。
そんな時、手を差し伸べてくれたのが一夏と拓夢だ。
掃除時だった。一夏は手にモップを持っていたな。拓夢は椅子を下ろしていた。
まずは一夏が苛めてきた三人に向かって、そんな事している暇があるなら掃除しろ、そう言った。
それを聞いた三人はこう言う。コイツいつも庇うよな。知ってるぜ俺、こいつ等できてんだ。夫婦だ夫婦!
なんて下らないことだろうか。庇っただけで夫婦とは。
調子付いた三人は更に私と一夏を囃し立てようとしたが、ここで拓夢が出てくる。
じゃあいつも一緒にいるお前等三人も夫婦だな?誰が女役だ?そいつの事をおんな男って呼んでやるから出て来いと。
顔を真っ赤にした三人は、拓夢に向かって手を出した。
避けなかった。それを真っ向から顔に受けた拓夢は、ちょっと涙目になりながらもこう言ったんだ。
お前等、先に手を出したな?じゃあ今度はこっちからだ。
そこから大立ち回りが始まる。その乱戦の中、一夏が飛び込んで拓夢を庇うようにして殴られ。そこから一夏も参戦。
二人に勝てないと踏んだ一人が、私の事を殴った。咄嗟の事で判断が遅れた私は、その一撃を頭に受けてしまったのだ。
明らかに怒る一夏。
追撃を、なんと体を張ることで私を守ってくれた。
その光景は今でも鮮明に思い出せる。
その時からだろう、私が一夏にこ、恋をしたのは。
不思議な気持ちだ。
一夏を見ていると心が軽くなり、褒められると嬉しい。
だが私はいつも、気持ちとは反対な行動をとってしまう。
それを何度拓夢に止められたか。まだ引っ越す前の話だ。
引っ越して、離れていても、一夏への恋心は消えなかった。
むしろ、近くに居た男と比較してどんどん上がっていったほどだ。
そしてIS学園で再会したとき、一夏は私を覚えていてくれた。
それがどれほど嬉しいことだったか、一夏はきっと知らないだろう。
アイツは鈍感だから。
拓夢は言っていた。鈍感には積極的なアピールがなにより欠かせない、と。
だが、私にそれが出来るのだろうか?
恥ずかしい。その気持ちが先行して、素直になりきれない。それが、もどかしい。
だけど拓夢の試合を見て思った。
アイツは努力することであんなにも輝いている。私もあんな風になれば、一夏に好意をもってもらえるんじゃないだろうか。
だから、こからは努力しよう。一夏に想いを伝えられるその日まで。
でも、まだ恥ずかしい。
せめて今は、これくらいで・・・。
「あ、・・・ああ。勝ってこい、一夏!」
飛び出していくその後ろ姿を見つめ、私はそう思った・・・・・・。
セシリアside
シャワーノズルから落ちる雫が、雨のようにわたくしの胸を流れる。
その温かさとは別な何か、それが心の中にくすぶっている。
「相川、拓夢・・・」
それは我がライバルの名前。
見下し続けてきた男の印象を、たった十分程で覆してくれた男。
強いその心に、なにより負けない力を持っている。
初心者には思えないほどの卓越した操縦技術。ボクサーとしての勘。
それだけじゃない、彼の力はそれだけじゃ・・・。
そんな強い彼に惹かれた。でも、これは恋ではない。
この、胸を燃やすワクワクする感覚。
わたくしはこれをライバル心だと思う。
「織斑、一夏・・・」
拓夢の次に戦った男。
彼は拓夢と同じようで、でも全く異なる目をしていた。
力強い目だ。でも、それだけじゃない。
とても、温かくて優しい、それでいて大きな力を秘めている瞳。
その澄んだ輝きの鳶色に、対戦中だというのに心が動いた。
素敵な瞳。
いくら負けそうでも、ボロボロになっても諦めない。
その姿勢にも強く心を打たれた。
そして、私の気持ちの正体を教えてくれたのは。
一夏さんが家族を守ると言ったときの表情だ。
とても言葉じゃ言い表せない。強いだけじゃない、優しいだけじゃない、もっと大きな何かが、その表情には隠れていた。
それを見て、確信した。
わたくしは、セシリア・オルコットは、織斑一夏という男性に恋をしてしまったのだと。
「ふふ・・・、楽しいですわ」
思わず笑みがこぼれる。
男の事を考えて楽しいなんて、初めて感じた感情が心地よい。
まずはどう攻めようか。
そのことを考えながら、夜は更けていった・・・・・・。
清香side
はじめは珍しいだけだと思っていた。
世界で二人だけの男性操縦者。
その存在はニュースで知っていた。
どんな人だろう?会って、話がしてみたい。
そんな気持ちで迎えた朝。彼と出会った。
「相川くーん、こっちこっち!席、ここだよ~!」
話す理由も簡単に出来た。苗字が同じだし、何より席が前後。
これはチャンスだって思った。
テレビで見ると、ちょっと冷たいというかクール?の様な印象だった。
でも実際は違う。
気さくで面白い、遠慮しなくていい空気を作ってくれて、質問してもちゃんと答えてくれる。
何より、彼の目を見て話してくれるところが良い。
真っ直ぐ前から、私の目をちゃんと見て一言一言。それだけで、心が軽く弾んだ。
それから彼と話す機会は沢山あった。
授業中に話して二人で怒られたこともあった。
余りの痛さに授業中は喋るのをやめようと思ったけど、それ以外では沢山話した。
妹さんの事、家の事、IS学園にくるまでの事、好きなものや嫌いなもの、先生についての愚痴、一夏君のこと、箒ちゃんのこと、とにかく沢山話した。
だから何時からだなんて分からない。
でも、気が付いたら彼のことを目で追っていた。
私と話していないときは何しているのか気になった。
一人になったとき、彼は私の事を考えてくれているのか気になった。
メールが来たとき、嬉しくて長く続けてしまった。私はメールが得意なほうじゃなかったのに。
彼がほかの女の子と話しているとちょっと嫌な気分になった。
セシリアさんが彼の部屋に行ったと聞いたときには焦った。そして心が痛んだ。
そして、クラス代表決定戦で彼はとてもとても格好良くて。
その時ようやく分かった、この気持ちが間違いなく恋なんだって。
その後、彼の機体が壊れちゃったから、一夏君と戦えなくなって謝っていた姿も素敵だった。
彼が観客席に来たと分かったとき、自然と体が動いて飛び込んでいた。
抱きしめると良い匂いがした。男の人の匂いだ。
頭を撫でられると凄くあったかい気持ちになる。ずっとそうして欲しかったけど、すぐ止めてしまったのは残念。
でも、その代わりに一日付き合ってくれる事を約束してくれた。
土曜日の私は本当、どうかしていたと思う。
彼の家に押しかけて、妹さんと喧嘩して、彼の家に泊まった。
夜、布団から抜け出して彼の部屋に行ったのも、どうしてだか分からない。近くにいるのに会えないもどかしさが嫌だったのかもしれない。
胸を揉まれた時はすっごく恥ずかしかった。でも、不思議と嫌な気持ちは無かった。恥ずかしかったけど。
学園に帰るモノレールの中、二人だけの空間は少し恥ずかしくて、とても嬉しかった。
寮の前で別れるときは、ズキっと心が痛んだ。
いつか、この気持ちを彼に伝えたい。
相川拓夢。私と同じ苗字の人。私の大好きな人。
「あー、眠れないよ~!!」
そんなことを考えながら、ベッドの上で転がる。
ルームメートは早々に寝てしまった。話し相手もいない。
拓夢君も今頃は寝ている。朝がとっても早いから、夜寝るのも早いって言ってた。
布団を抱き枕にして転がる。
どうやら今日も寝不足のようだ・・・・・・。
後書き
初のヒロイン視点。
どうだったでしょうか?
書いているときは色んな事を想像しましたが、一番参考になったのは友達からのメールですかね。
やはり、女の子の気持ちは女の子に聞くのが一番なんだと思います。
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