おっちょこちょいのかよちゃん
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210 結界に刺さる槍
前書き
《前回》
杖を奪いに来たシャルル・リゴーと交戦するかよ子達はリゴーの槍の攻撃を何とか防御する。そして雷の山ではすみ子達「義元」がアルバートという男と交戦する。山口や川村などの攻撃はアルバートが山の電力を利用して防御されてしまう。だが、エレーヌの術で山の力を使う能力が使えなくなり、事態は好転したかと思われた。だが、アリスにヘレナという女がアルバートに加勢し、すみ子達は劣勢に立たされてしまった!!
アルバートの攻撃、更にはアリスにヘレナの攻撃も来る。エレーヌの能力を止める舞が無効化されてしまい、すみ子の防御も山口達の迎撃も通用しない。これでは何もできずにやられ、殺されてしまう。
「形勢逆転だね!」
アルバートの剣の強風、アリスのティアラから白銀色の光線が、そしてヘレナの十字架によって皆が金縛りになる。
「う、うご、け、ねえ・・・!!」
アルバート達の総攻撃で全てが終わった。
「勝ったわ!」
アリスとヘレナが歓喜した。
「喜ぶのは早い!」
「・・・え?」
山口も、川村も、ヤス太郎も、すみ子も、エレーヌも、ジャンヌやその兵達も誰も倒されていなかった。
「これは、どういう事だ!」
アルバートは勝利を確信したのに気に食わない顔になった。ジャンヌが十字架を見せる。
「この聖マルグリットが私に授けた十字架で全てを防御した。この十字架の意味がお前らに解るか?」
「聖マルグリットの十字架・・・。そうか、苦難を乗り越える、という意味ね!そのマルグリットが龍に呑み込まれても腹の中から突き破って出られたように・・・!!」
ヘレナは思い出した。
「そうだ、貴様らの攻撃で誰も死する事なく耐える事ができた。今度は貴様らが我々に攻められる番だ!!」
ジャンヌの兵が牙を向く。
「俺達も行くぜ!」
山口がまた矢を放つ。川村も、ヤス太郎も、すみ子も攻撃に入った。
「な・・・!!」
「やられてたまるか!」
アルバート達も同じ攻撃をする。しかし、その時ジャンヌが秤をまた動かした。
「貴方達の勢力を極端に弱体化させた。もう効かん!」
「くう、反則級の技を使いやがって!アリス、ヘレナ!」
「はい!」
アルバートは娘二名に命じた。
かよ子達藤木救出班はシャルル・リゴーとの戦いを続けていた。のり子の人形・キャロラインがシャルル・リゴーの楯を念力で砕いた。
「のりちゃん、凄いよ~」
「天晴じゃ!」
まる子と友蔵が褒めた。しかし、のり子もキャロラインも気を緩めていなかった。
「褒めるのは後でいいからももこちゃんも攻撃して!」
「あ・・・、はいはい・・・」
まる子は炎の石で火炎放射を出してシャルル・リゴーに攻撃する。かよ子もまる子の炎を杖で複写し、炎を操る能力を得てシャルル・リゴーに火炎を浴びせる。
「やった・・・!?」
しかし、シャルル・リゴーはその場にはいなかった。
「え!?」
「全く、火傷させてくれたものだ」
シャルル・リゴーは後ろにいた。
「な、瞬間移動!?」
さらにその後ろには結界に金属の槍が刺さっている。
「その槍が結界を破るのは時間の問題だぞ!」
「・・・この野郎!」
大野が草の石を使う。草や蔓を出して槍に巻き付け、外そうとする。
「だが、この結界も脆くはない。大五郎、お前の法力を使え!」
「了解!」
次郎長の子分の一人、法印大五郎が数珠を出した。
「喰らえ!」
「そんな東洋の魔術など敵ではないわ!ぶははは!!」
シャルル・リゴーはまた別方向へ移動し、今度は銃を出して発砲した。
「全員突撃!」
リゴーの従兵も銃撃する。
「まずい、結界が脆くなってきておる!鳥橋のり子、某を瞬間移動させよ!そしてお主ら総攻撃するのだ」
「了解!」
次郎長がのり子の人形で瞬間移動された。次郎長は討伐に来た兵士の銃弾を刀で旋風を起こして薙ぎ払った。
「この清水次郎長、纏めてやられるほどの弱者ではないわ!」
友蔵は祈っていた。というか、今の彼にはそれしかできなかった。
「次郎長様、どうか、無事でいてください・・・!!」
「俺達はあの槍を何とかしねえと!」
「うん!」
かよ子はどうしようか考えた。
「・・・石松、刀の力を貸して!」
「おうよ!」
かよ子は石松の刀に杖を向けて杖を剣に変化させた。
「いけえ!」
かよ子は結界に近づき、そこに刺さる槍を斬ろうとした。
「ええい!」
しかし、かよ子だけの力では槍が外れも斬れもしない。大野の草の石の能力、椎名やブー太郎も水を出して槍を押し流そうと試みる。大五郎の法力で槍に念力を掛けるがそれでも槍は抜けない。石松や綱五郎も刀で加勢する。
「仁吉、お主の力も貸してくれ!」
「あいよ!」
吉良の仁吉が結界の反対側に回り、槍を素手で引き抜こうとする。
「す、素手で大丈夫なの!?」
かよ子は驚いた。
「ああ、これでも腕と相撲は強えんでな!」
仁吉の助力に皆で一斉に槍を引き抜こうとする。そして槍が結界から外れた。
「やった!」
「おお、凄いぞ、感動じゃあ~!」
友蔵が喜んだ。その一方、次郎長は銃弾をあっけなく撥ね返し、さらに刀で大地を爆発させて兵を吹き飛ばす。
「この下衆共が!」
次郎長は刀で瞬時に兵を切り捨てていった。
「ほう、なかなかだな。こっちはどうかな?」
シャルル・リゴーは余裕のありそうな表情だった。
「どういう事だ?」
次郎長は振り向いた。かよ子達槍を結界から引き抜いた所だったが、何か違和感を感じていた。
「槍は抜いたんだよね?」
「ああ、だが、何だこれは?」
羽根の結界が消えた。
「その槍を抜けば結界が一時的に消えるのだ!」
「ええ!?」
シャルル・リゴーが飛び込んでくる。かよ子が襲われると感じた。だが杖はまだ剣の能力が解除されていない。シャルル・リゴーの剣がかよ子を刺そうとする。かよ子は何とか剣で弾き返した。
「かよちゃん!」
「山田!」
「山田かよ子!」
皆が加勢に入ろうとする。
(やられたくない・・・、こんな所で、おっちょこちょいしたくない・・・!!)
本部の一室。杯が奪われた事、そして娘が囚われたという報告を聞いたりえの母は涙していた。
「りえ、りえ・・・!!」
「申し訳ございません。私がいながら・・・」
フローレンスは謝罪してもしきれなかった。
「安藤さん、きっと無事ですよ。ウチの娘達が取り返して来てくれますよ」
先代の護符の持ち主が先代の杯の持ち主を慰めようとする。そして通信が来る。
『こちら祝津ゆり。剣奪還班を分割させました。私達で杯を取り返しに行きます。そして一部は私の妹について行って杯の持ち主の子を救出に、そしてまた一部は剣をそちらに運びに向かわせています』
「ありがとうございます。お気を付けください」
「ゆり!気を付けるんよ」
『お母さん。うん・・・!!』
ゆりからの連絡が終わった。
「ゆりちゃん、頑張って・・・!!」
先代の杖の所有者も友人の娘を応援するのだった。
雷の山。アルバート達の姿が見えなくなる。
「あの者共、ここから立ち退くぞ!」
ジャンヌが伝えた。
「待て、逃げるな!卑怯者!」
山口が吐いた。そして矢を放つが、彼らの姿は消えてしまい、当てる事ができなかった。
「逃がしちまったか・・・」
「ここは、どうなるの・・・?私達は、この山を取り返せたって、事・・・?」
「しかし、あの者達が撤退したという事は正式とは言い切れませんがそうと言っても過言ではないと思います。本部守備班にここまで来て貰いましょう」
エレーヌが進言した。
「そうだな」
川村が通信機を取り出し、本部守備班に連絡を入れる。
「こちら川村承太!本部守備班に連絡する!今西側にある『雷の山』で何とか戦った所だ!近くにいる人に誰かここまで来て貰いたい!」
そして連絡が来た。
『こちら羽井玲衣子!私達が向かうばい!』
博多弁で喋る女子が応答した。
「ありがとう。合流するまで俺達はここに待機している!」
『了解!』
連絡を終了させた。
「では、合流するまでここで休憩しましょう」
「ああ」
すみ子達は待機する事になった。
かよ子はシャルル・リゴーとしのぎを削り合う。しかし、子供の腕力であるかよ子では彼の剣圧への耐久は脆かった。
「はは、子供にそんな玩具は扱えん!」
あっけなくかよ子の剣が弾かれてしまった。剣が杖に戻り、下に落ちる。
「ああ!」
「これで私の物だ!」
シャルル・リゴーが降下した。このままでは杖が奪われる。
(杖が取られちゃう・・・!!)
後書き
次回は・・・
「杖と剣の争奪戦」
杖を弾かれ落としてしまったかよ子はシャルル・リゴーに杖を取られそうになる。取られまいとかよ子は慌てて無茶な行動に出てしまう。そして剣を本部へ運び続ける三河口、冬田、湘木はある人物の襲撃を受ける・・・!!
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