とある3年4組の卑怯者
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63 確執
前書き
丸尾の交渉でグラウンドおよび体育館がクラスで日替わりで使用できるようになった。この日は4組はグラウンドを使用する日ではないので公園で、女子は体育館で練習することになった!!
「まず何の練習からするの?」
城ヶ崎が聞いた。
「そうだね、まずはレシーブからやるよ!」
「また~?!他の練習もやろうよ~。サーブやアタックとかさあ、あと紅白戦もやりたいな」
「いいわね、それ!」
まる子の意見にリリィが賛成したが、前田は「ダメだね!」と即却下した。
「アンタ達、上手く出来ないくせに他の練習なんてできるわけないでしょ!?昨日だってそれでボールなくす羽目になってんじゃないのよ!!」
「でもそれは狭いところでやってたし、始めたばかりだったんだから・・・」
「うるさい!!」
前田は問答無用でリリィの言い分を打ち切らせた。
「でもレシーブばかりって、バランスよく練習しないと意味ないじゃない?」
みぎわが前田に意義を唱えた。
「みぎわさん、アンタ昨日の練習サボった癖に文句言うわけ!?これじゃあ、勝てないね!」
前田がみぎわを挑発した。
「何ですって!?私はサボったんじゃなくて用事があるから出られなかったって言ってるでしょ!!」
「休んだことに変わりはないでしょうが!!」
みぎわと前田が口論した。
「ねえ、二人共・・・!!」
リリィが二人を止めに入った。
「何よ!?」
前田が邪魔するなと言うような顔でリリィを睨み付た。
「5組の練習を見て・・・」
皆は5組の練習の様子を見た。一人順番に籠からボールを取って片方のコートからサーブを行い、反対側のコートでは別の6名の女子がレシーブ、トス、アタックを連携で行い、アタックを終えたボールをサーブの順番を待つ女子が球拾いをしてボールを集めている籠に片付ける。そして、時々無作為に橿田がサーブ係とレシーブ・トス・アタック係の交代を呼び掛けていた。
「私達も受理ばかりじゃなくてあのような練習をしないとダメよ、きっと」
「そうよね、私もああいう練習の方が効果あると思うわ」
笹山もリリィの意見に賛成した。
「前田さん、どう思う?」
リリィが前田に確認を取った。
「じゃあ、半分ずつコートの反対側に集まって片方はサーブ、もう片方はそれをレシーブ・トス・スパイクして返して!」
前田が命令した。こうして半々に別れた。片方からサーブの嵐が来てもう片方のコートにいる者がそれをレシーブしようとするが、トスとスパイクをやるのに手間がかかって全ての球を処理しきれない。
「遅い!何グズグズしてんのよ!」
前田がアタックまでにもたついているコートを見て怒鳴ってサーブを続けた。その時、かよ子がスパイクをしようとした所、たまえのサーブした球が左頬にぶつかり、ぶつかった所を手で抑えてその場で倒れてしまった。
「かよちゃん!」
「山田さん!」
皆が倒れたかよ子の周りを取り囲むように集まった。かよ子は幸い口内を切る事には至らなかった。
「スパイクするのが遅いからこういう事になるのよ!ノロマ!!」
「ちょっと前田さん、そんな言い方ないよ!」
まる子が前田に異議を唱えた。
「そうよっ、あんなにサーブが沢山くるしっ、こっちは返すまで時間がかかるのよっ!」
「そうよね!」
城ヶ崎と小長谷も前田を非難した。
「うーん・・・なら、一人ずつ初弾して、打撃が終わったら次の初弾をやるってのはどうかな?」
リリィが提案した。
「そうね、それがいいわ!」
みぎわが賛成した。まる子がかよ子を心配した。
「かよちゃん、立てる?」
「う、うん、大丈夫だよ。ご、ごめんね、みんな」
「いいのよ。山田さんが謝る事じゃないわ」
笹山がかよ子を宥めた。
「ふん、今度からしっかりやってよ!」
前田が怒るようにかよ子に言った。練習は再開したが、同じ事をいつまでも続けていた。
「ねえ、前田さあん、これいつまでやるのお?私もう別の事をやりたあい」
冬田が同じ事を続けているので退屈になってしまった。
「他にって何があるのよ?!」
「そ、それは・・・」
その時、向かいの方からも苦情がとんだ。
「ねえ、こっちもそろそろサーブやっていい?」
「少し休憩したい!」
前田は対応に困った。みぎわが前田を呼んだ。
「前田さん、少し休憩しましょうよ!」
「何言ってんのよ!みっともないわね!5組は休んでないわよ!」
「見てなかったの?さっき休憩してたわよ!」
リリィに言われて前田は激怒する。
「リリィさん!アンタ昨日から私にケチつけて!アンタ何様よ!?」
前田はリリィに詰め寄った。
「べ、別に私はこうした方が皆のためだと思って・・・」
「いいや、アンタ絶対私をバカにしてるよ!!!」
前田は怒り狂っていた。
「ちょっと前田さんっ、あんたさっきからえばりすぎよっ!!」
城ヶ崎が前田の言動に痺れを切らして文句を言った。
「そうだよ!アンタ一々怒りゃいいってもんじゃないよ!!」
まる子も前田に苦言した。皆も前田に文句を言う。
「う、何よ・・・!うわああああ~ん!!」
前田は鼻を赤くして大泣きした。隣で練習をしている5組の女子達も前田の泣き声で何だと思い4組の方を向いた。
結局練習は破綻してしまい、皆は昨日と同じパターンで帰る事になってしまった。
4組の男子はある公園でサッカーの練習をしていた。この時は休み時間に続いて弱点補強の練習を行った後、紅白戦を行っていた。藤木は先ほどの大野のシュートを許してしまっていたが、他の2つのシュートはキャッチしていた。大野のシュートがもう一発来る。
(よし、今度こそ止めるぞ!)
藤木はボールに必死に飛び付いた。取れはしなかったものの、体を張って必死にボールを弾いた。
「やるじゃねえか、藤木!」
大野が藤木のプレーを賞賛した。
「あ、ありがとう・・・」
藤木は休み時間においてのケン太からアドバイスされたことを活用しようとしており、それが功を奏したのだと思った。
「よし、じゃあ今日はここまでにしよう!」
ケン太が終了を呼び掛けた。皆は帰っていった。
「藤木君、少し上手くなったね、僕も連携できるように頑張りたいな」
山根が藤木を賞賛していた。
「ありがとう、山根君・・・、僕、キーパーでやっていける気がするよ!」
「よし、全てのクラスに勝つつもりでいこう!」
「うん!」
一方、女子達は前田の口うるさい命令に反発して前田に大泣きされた後、練習を続行できる状態じゃなくなり、結局帰ることになってしまった。リリィはまる子、たまえ、そしてかよ子と帰っていた。
「どうしよう?これじゃあ練習が進まないわ・・・」
「全く前田さんが怒ってばかりいるのが悪いんだよ!」
「そうだよ、何で前田さんが仕切るのか私にもわかんないよ!」
まる子とたまえが揃って前田を批判していた。まる子がかよ子を気の毒に思った。
「かよちゃんも可愛そうだよ、昨日も今日も前田さんに怒られてさあ」
「う、うん・・・、で、でも私おっちょこちょいだから私も皆に迷惑かけちゃったよ・・・」
「かよ子ちゃん、落ち込まないでよ」
リリィがかよ子を宥めようとした。
「リ、リリィさん、ありがとう・・・」
「そうだよ、杉山君もかよちゃんを応援してるよ!」
まる子に自分の好きな男子の名前を言われてかよ子は赤面した。
「ま、まるちゃん・・・」
「でも仕切る人代えた方がいいわね。前田さんより学級委員のみぎわさんの方がいいと思うわ・・・」
「アタシはリリィがキャプテンに似合うと思うな。昨日は皆でボール探しを提案したし、 今日も5組の練習見て、練習方法変えた方がいいって意見が皆に通ったし・・・」
「え、私でいいのかな・・・?」
リリィはまる子に言われて、自分が仕切る係を担っていいのかと思った。一方たまえは5組という言葉で橿田の顔を思い浮かべた。
皆と別れ、リリィは家に入ると、母に出迎えられた。
「お帰り、そうだ、今日はリリィの為に買ってきた物があるの」
「私の為に・・・?」
後書き
次回:「日曜練習」
日曜になり、学校は休みとなっていた。それでも、男子も女子も自主練習を行い、藤木も練習の甲斐あってキーパーとして様になっていき・・・。
一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!!
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