星河の覇皇
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第八十一部第一章 全戦線でその二
「潜水艦です」
「かつて海軍が使用していたあの艦艇か」
「はい、あの艦艇をです」
こうローズに答えた。
「使用してです」
「オムダーマン軍は勝利を収めたか」
「そうかと」
「潜水艦か」
この艦艇についてだ、ローズは考える顔で述べた。
「かつて。二十世紀からな」
「二十一世紀にかけてでしたね」
「大きな役割を果たした艦艇だ」
「水上艦艇への攻撃、特に通商路の破壊に」
「我が国はだ」
ローズは祖国であるイギリスの話からした、尚彼の国は今はスコットランドだ。イギリスとはこの場合イングランではなく連合王国のことだ。
「それで苦しめられた」
「二度の世界大戦で」
「イギリスへの輸送船を沈められてな」
「苦労しましたね」
「潜水艦への対策はな」
「イギリス海軍の最大の課題でしたね」
「二つの大戦のな」
そうだったとだ、ローズはタンホイザーに答えた。
「そして水上艦艇もな」
「潜水艦にはですね」
「随分と沈められた」
「待ち伏せ等によって」
「ソナーがないとな」
「発見出来ないので」
「目ではだ」
これではというのだ。
「海中にいるからな」
「発見は容易ではなかったですね」
「特に一次大戦ではな」
「その為に」
「対策に苦労したが」
「その潜水艦をです」
まさにとだ、タンホイザーはローズに話した。
「オムダーマン軍はです」
「使用してか」
「そのうえで」
「ティムール軍に勝ったか」
「私もです」
ここでタンホイザーはこうも言った。
「まさかです」
「オムダーマン軍が潜水艦をか」
「復活させるなぞ」
とてもというのだ。
「考えつきませんでしたが」
「しかしだな」
「アッディーン大統領はです」
「潜水艦を復活させてか」
「そして実用化し」
そのうえでというのだ。
「あの会戦に投入し」
「そうしてか」
「勝利を収めました」
そうしたというのだ。
「あの戦いを見ますと」
「潜水艦か。そういえば」
どうかとだ、ここでモンサルヴァートは言った。
「これまでな」
「宇宙に出てですね」
「なかった艦艇だ」
「はい、ですが」
「隠密性の高い艦艇はな」
「存在しますと」
「非常に強いな」
「はい」
まさにと言うのだった。
「オムダーマン軍だけでなく」
「我々にしてもだな」
「私はあの戦いを観てです」
エウロパからそうしてというのだ。
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