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イベリス

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第五十話 たい焼きとカラオケその九

「いいわよ」
「そうなのね」
「そう、好きな曲歌ってね」
「それじゃあね」
 咲は愛の言葉に頷いた、そうしてだった。
 次はアニメの主題歌を歌った、それは出演している主な女性声優四人で歌うOPのものだったが一人で歌った。
 それからまた愛が歌い飲みもしてだった。
 二人は楽しい時間を過ごした、そして。
 店を出て原宿駅に着いた頃には六時前だった、咲はその時間を見て言った。
「もうここからね」
「すぐに帰るわね」
「地下鉄に乗ったらすぐにね」
「お家に帰られるわね」
「お姉ちゃんもですよ」
「地下鉄便利よね」
 愛は咲に東京の地下鉄についてこう返した。
「凄くね」
「そうよね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「楽よね、山手線もね」
「どっちも電車の本数多いしね」
「こんな便利なのないわよ」
「流石東京よね」
「電車の便利のよさもね」
 これもというのだ。
「いいところよ」
「大都会って言われるだけあって」
「ええ、ただ地下鉄はね」
 愛は笑ってこうも言った。
「東京に慣れてないとね」
「あっ、ややこしいって言うわね」
「それも凄くね」
「そうよね」
「もう迷路みたいだって」
 そこまでというのだ。
「言う人もね」
「いるわね」
「実際色々線があってね」
「それがあちこちで交差してるわね」
「だから慣れてないとね」 
 どうしてもというのだ。
「何が何かわからなくて」
「迷路みたいよね」
「そう思えるわね」
「実際線も駅も多いしね」
「ちょっとした私鉄の路線並にね」
「それだとね」
「混乱するわね」
 愛もこう言った。
「当然ながら」
「本当にややこしいっていうのがね」
 それがというのだ。
「他から来た人が言う地下鉄よね」
「慣れたらそうじゃないけれど」
「けれどね」
 それがというのだ。
「東京に生まれ育っていないとね」
「最初は戸惑うのね」
「複雑過ぎて迷路だってね」
「便利なものでもそうなるのね」
「そうよ、ただ慣れてるとね」
 それならというのだ。 
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