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イベリス

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第五十話 たい焼きとカラオケその七

 咲は愛の演歌を聴いた、それは昔のヒット曲であった。咲はその曲が終わってから愛に笑顔で言った。
「よかったわ」
「問題なかった?」
「ええ、いい感じよ」
「そうだといいけれどね」
「はじめてって言ったけれど」 
 それでもというのだ。
「全然そんな風に思えなかったわ」
「上手だったってことね」
「それならいいと思うわ」
「そうだといいけれど」
「やっぱり元々歌が上手いと」
 それならとだ、咲はさらに話した。
「どんなジャンルの歌でもね」
「いいっていうのね」
「問題ないわ」
「そうかしら」
「それで私はね」
 咲は曲のリストを目にしつつ話した。
「歌劇の曲歌ってみようかしら」
「クラシックね」
「そうしてみようかしら」
「いいんじゃない?私もチャレンジしたし」
 愛は自分のことから咲に話した。
「先ちゃんもね」
「チャレンジね」
「そうしたらいいわ」
「それじゃあね」
 咲は愛の言葉に頷いてだった。
 そうして実際に歌劇の歌を歌ってみた、そのうえで愛に尋ねるとこう返された。
「何か日本語で歌ってるみたいな」
「イタリア語で振り仮名見ながら歌ったけれど」
「そんな風だったわ」
「振り仮名見てるとそうなるのね」
「そうね、けれど上手だったわ」 
 出来不出来自体は問題なかったというのだ。
「よかったわ」
「上手だったの」
「音程は問題なかったから」
「それはよかったわ」
「ええ、ただ凄い冒険したわね」
 愛はこうも言った。
「歌劇、イタリア語の歌なんて」
「だから私もチャレンジしてね」
「それで歌ったのね」
「そうなの、イタリア語わからなくて」
「八条学園東京校もイタリアからの子いるでしょ」
「いや、高校からだしね」 
 咲の場合はだ。
「あそこ幼稚園から大学まであるけれど」
「ああ、それでなの」
「イタリアからの子も日本語が普通だし」
「日本にいるから」
「イタリア語話せるけれどね」
 それでもというのだ。
「そうだからね」
「イタリア語わからないのね」
「同じ学年にも何人かいるけれど」
「そうなのね」
「だからわからないのよ」
 イタリア語はというのだ。
「残念だけれど」
「けれどそれでもチャレンジしたのね」
「そうしたわ、勇気がいったわ」
「私もよ、けれど演歌以上にね」
「歌劇、イタリア語ではなのね」
「勇気がいるわね」
 こう咲に話した。
「先ちゃん凄いことしたわ」
「そんなに?」
「チャレンジってね」
 それはというのだ。
「勇気がいってね」
「凄いことなの」
「何でもね、しかも人前で歌ったじゃない」
「お姉ちゃんだからよ」
「私でもよ」
 こう咲に返した。 
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