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オズのホボ王子

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第五幕その八

「秀吉さんはそうした人です」
「ははは、だといいがのう」
 秀吉さんはビールを飲みながら笑いました。
「では今はな」
「こうしてですね」
「皆で食おうぞ、あとじゃ」
「あと?」
「オーソドックスにじゃ」
 あえて英語を使って言うのでした。
「肉の串カツも食わんとのう」
「ああ、串カツの標準の」
 王女はエリンギのそれを食べつつ言いました。
「ちゃんと」
「そうじゃ、そちらも美味いからのう」
「では次は」
「それじゃな、皆で食おうぞ」
 こう言ってでした。
 秀吉さんは自分からお肉の串カツも食べます、そうして皆もそうしてです。
 串カツを楽しみました、その後で一緒に通天閣を登りますが。
 秀吉さんはビリケンさんの像を観つつ王子達に言いました。
「一人紹介したい者がおる」
「それは誰ですか?」
「織田作じゃ」
 王子に笑って言いました。
「小説家のな」
「織田作さんですか」
「本名は織田作之助といってじゃ」
 それでというのです。
「お前さん達が行った店のカレーが大好物でな」
「あのカレーがですか」
「そしてじゃ」
 さらに言うのでした。
「善哉が好きでのう」
「夫婦善哉ですか」
「うむ、多分そこに行けばな」
 夫婦善哉というお店にというのです。
「会えるぞ、何ならわしがセッティングするぞ」
「僕達がその人と夫婦善哉でお会い出来る様に」
「そうするが」
「そうしてくれますか」
「それ位はお安い御用じゃ」
 こう言って自分のスマートフォンを袖から出します。見ればスマートフォンもキンキラキンで眩しい位です。
「そうするぞ」
「今からですか」
「遠慮はいらん、どうじゃ」
「ではお願いします」
 王子は秀吉さんの好意を受けることにしてこう答えました。
「今から」
「ではのう」
「お願いします」
「連絡するぞ」
 秀吉さんも応えてでした。
 すぐにスマートフォンで連絡しました、そしてです。
 それが終わってからです、秀吉さんは王子に言いました。
「今から夫婦善哉に行くとじゃ」
「織田作さんにお会い出来ますか」
「うむ、どうじゃ」
「はい、今すぐ行きます」
 王子は秀吉さんに答えました。
「そうさせてもらいます」
「ではのう、チンチン電車に乗ってな」
「街の中の路面電車ですね」
「あれに乗って行けばすぐじゃ」
「ではそうさせてもらいます」
「外の世界の大阪ではもうないそうじゃが」
 路面電車はというのです。
「よかったらな」
「はい、使ってですね」
「行くといい」
「そうさせてもらいます」
 王子も応えてでした。 
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