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イベリス

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第四十九話 自分しかない人間その七

「普段からそんなことはしない、それで人の失恋もね」
「言わないことね」
「怨まれるしね、まして自分達が唆して」
 愛はここでは嫌悪を込めて眉を曇らせて話した。
「自分達だけ逃げて昨日まで友達って言ってて縁切りなんて」
「最低よね」
「そんなことする奴は近寄らない関わらない」
 そうすべきだというのだ。
「最初からね」
「自分にもそうするから」
「そんなことする奴は自分しかないからね」
「そうするのね」
「また言うけれどね、私もそう思うから」
「付き合わないことね」
「友達は多くて人と交わるべきでも」 
 それでもというのだ。
「こうした連中はその人間性がわかったら」
「その時点で付き合わないことね」
「離れてね、そんな奴からは」
「自分の都合で裏切って」
「その後で攻撃することもね」
 手の平を返してだ。
「してくるわよ、川上さんなんて戦争終わったらすぐに謝ったでしょ」
「日本が負けて」
「こうした人は逆もするから」
「親しい顔をして急にきつく当たったり」
「実際に言い掛かりみたいに自分の監督の座脅かす人追い出したらしいから」
 別所哲也の退団の時がそうだったらしい、投手コーチであった彼を選手時代の実績を見て自分の次に監督になると思い彼が選手を厳しく叱ったことを暴力だの過剰だの言ってそうしたという。
「謝った時の逆のこともね」
「本当にしたのね」
「自分の都合でね」
 自分が巨人の監督であり続ける為にだ。
「そうしたらしいわ」
「本当に酷い人ね」
「だから若し咲も川上さんが前にいたら」
「付き合わないことね」
「もう亡くなったけれどね」
 それでもというのだ。
「川上さんみたいな人とはってことよ」
「そういうことね」
「絶対によ」
「付き合わない」
「性別国籍宗教民族問わずね」
「誰でもなのね」
「何処てもいい人と悪い人はいるから」
 母はこうも言った。
「そうしたつながりは別よ」
「それ八条学園だとね」
 かな恵は自分の通っている学園のことから話した。世界中それこそ北朝鮮以外の国から人が来ている学園だからだ。
「わかるわ」
「そうでしょ、善人も悪人もね」
「何処でもいるのね」
「そして根っからの悪人はね」
「何処でもいるのね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「そうしたね」
「自分しか考えない人も」
「いるわよ、どんな世界にいても悪人になる輩はね」
「輩っていう言葉でわかるわ」
「そうでしょ、輩って言うにはね」
 愛はさらに話した。
「それなりのものがあるのよ」
「そう言っていい相手?」
「そう、悪人より下がいて」 
 それでというのだ。
「その下は屑って言うの」
「屑なの」
「悪人っていうのは自分が悪人だってわかってるのよ」 
 そうだというのだ。
「けれどね」
「悪人でないっていうのは」
「自分をそう考えているのはね」
 そうした人間はというのだ。 
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