星河の覇皇
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八十部第五章 秘密兵器その十三
「そうなっている」
「左様ですね」
「このままではだ」
「我が軍は敗れますね」
「即座に態勢を立て直す」
フラームは決断を下した。
「全軍方陣を組みなおす」
「まずは」
「そうしつつだ」
「戦闘もですね」
「防御システム及び要塞の援護を受けつつだ」
戦闘も行ってというのだ。
「方陣を組みなおす」
「そしてそのうえで」
「まだ戦う」
これがフラームの決断だった。
「いいな」
「そうですね、まだです」
「諦めるにはな」
「速いです、ここで敗れれば」
どうなるかとだ、アブーは次兄に危惧の顔で述べた。
「ティムール自体がです」
「この敗戦からな」
「大きく崩れかねません」
「そうだ、ここでの敗戦がだ」
国境での会戦、今行われているそれにというのだ。
「大きな損害と共にだ」
「戦線全体に響き」
「兄上が戻られる前に」
「オムダーマン軍はここから我がティムール軍の後方に回り込み」
「戦線全体を破壊する」
「そうしてきかねませんね」
二人はこう考えた、新型艦艇の存在には気付いていない。そしてアッディ―ンが迅速な機動戦を得意とすることからの読みだ。
そしてその読みのままだ、彼は言うのだった。
「ですから」
「そうだ、ここはだ」
「何とかですね」
「踏み止まる、何があろうともだ」
「戦場に残っていればいいですね」
「最後まで残っていればな」
それでとだ、フラームはアブーに話した。
「例え満身創痍でもな」
「我が軍はですね」
「負けたことにはならない」
そうなるというのだ。
「だからな」
「何があろうとも」
「ここは守るぞ」
「それでは」
アブーはフラームの言葉に強い返事と敬礼で応えた、そしてだった。
二人は懸命に戦った、自分達が率いる軍の布陣を立て直させつつだ。そうして移動要塞や残っている防御システムと連携しようとするが。
オムダーマン軍はティムール軍を尚も激しく攻め続ける、それで彼等の艦艇を次々と沈め損害を与えつつだった。
アッディ―ンは強い声でこうも命じた。
「移動要塞及び防御システムにだ」
「あの艦艇の攻撃をですね」
「浴びせますね」
「そうしますね」
「そうだ、あの艦艇の攻撃はだ」
それはというのだ。
「今はだ」
「移動要塞や防御システムに集中させる」
「敵の後方や側方から」
「そうしますね」
「次々と破壊してだ」
防御システムはそうせよというのだ。
ページ上へ戻る