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イベリス

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第四十九話 自分しかない人間その五

「どんな人からも」
「しかも人間一緒怨む様な相手には何だってするわよ」
「容赦しないのね」
「そうよ、背中から思いきり撃つ様なこともね」
 そうしたこともというのだ。
「普通にね」
「するのね」
「怨み、憎しみはルールや倫理を超えるのよ」 
 そうしたモラルと言うべきものをというのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「そう、どんな残酷にもなれるから」
 その一生怨んでいる相手に対してだ。
「だからね」
「注意することね」
「何されるかわからないからね」
「何気なく軽い気持ちで言っても」
「自分はそう思っていても」
 それでもというのだ。
「相手はそうは思っていないから」
「だからなのね」
「仕返しされることもね」
 このこともというのだ。
「あるわよ」
「あの、そうした人って謝って許した顔しても」
「許してないわよ」
 そうした顔をしていてもというのだ。
「言葉で言ってもね」
「心は違うのね」
「憎しみの前には人を騙すこともね」 
 このことすらというのだ。
「躊躇なく行わせるから」
「それでなのね」
「そうしたこともね」
「やるのね」
「憎い相手には何をしてもいいってなってるなら」
 怨み、憎しみが心を支配してだ。
「騙して背中から撃つなんてね」
「何でもないのね」
「そうよ、だから気をつけないといけないの」
「怨まれないことね」
「その為には人の失恋はからかわないことよ」
「軽い気持ちでやってもそ の人を傷付けるから」
「だからね」
 その為にというのだ。
「気をつけてね」
「絶対に言わないわ」
 咲も強い顔と声で頷いて答えた。
「私も」
「そこは気をつけることよ」
「そうするわ」
「特撮のダークヒーローみたいになったのに怨まれたら」
「振られてそうなるの」
「それでさらに傷付けられたらね」
 そうなってしまえばというのだ。
「もうね」
「そうなるのね」
「心に暗いものが出来て」
「ダークヒーローみたいになるの」
「そうよ」
 その時はというのだ。
「そしてね」
「怨んでくるのね」
「一生ね、冗談抜きにこうした人がもういいからって言っても」 
 それでもとだ、愛は咲に忠告する様に話した。
「信じないことよ、絶対に顔は笑顔で言っても」
「あっ、目がね」
「わかるでしょ」
「笑ってないわね」
「そう、よく見たらね」
 表情はそうであってもというのだ。
「その実はね」
「目は笑ってなくて」
「その目の光はね」
 それはというのだ。 
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