反面教師は嫌われる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章
百田家の前を通った時にだった、ふわりや自分達が育児放棄をした子供のことを批判する落書きやその行いを批判するポスターがある壁の向こうの家を見てだった。子供達は口々にこう言うのであった。
「ここに悪い奴等がいるんだぞ」
「生きものを捨てた悪い奴等がいるんだぞ」
「悪いことしたら駄目だぞ」
「悪い奴になったら駄目だな」
「悪い奴等を許すな」
「悪い奴等を放っておくな」
こう言ってだった。
彼等は家の中にいる百田家の夫婦に聞こえる様に言った。
「悪いことはするな!」
「生きものを捨てるな!」
「五月蠅いとかいらないとか言うな!」
「悪い奴等は許すな!」
「悪い奴等はいなくなれ!」
こう言った、そして。
それを見た上級生達も言う様になった、中には悪戯で言う生徒もいた。
「悪い奴等は出て行け!」
「犬の命何だと思ってるんだ!」
「落書きもしてやれ!」
「ついでにゴミも捨ててやれ!」
「悪い奴等だから何でもしてやれ!」
こう言ってだった。
実行にも移していった、そうして。
百田家はどんどん荒れていった、子供達は家の前を通る度に言っていたので夫婦も学校に抗議をしたが。
夫婦は禁治産者に認定されてたので彼等の後見人となっている本家の当主が学校に対して話をした。
「放っておいて下さい」
「いいのですか?」
「あの連中が何を言っても」
後見人として言うのだった。
「放っておいて下さい」
「別にいいですか」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「もう電話を通じない様にしておいて下さい」
「わかりました」
学校側も後見人が言うならと頷いてだった。
そうして実際にそうした、こうして百田家の抗議は届かなくなり。
生徒達は家の前で言い続け悪戯も続けていってだった。
「悪人は許すな!」
「生きものは大事にしろ!」
「悪人はいなくなれ!」
「保健所に送るな!」
「いらないとか言うな!」
家の前で学校のない時間は常に言われる様になった、誰もが夫婦の様になりたくはないと思いながらそうしていった。
反面教師は嫌われる 完
2022・4・25
ページ上へ戻る