イベリス
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第四十八話 東京という街その十一
「もうね」
「平気で人を裏切ってね」
「無責任ならね」
「一緒に出来ないでしょ」
「もう何するかわからないし」
それにというのだ。
「何かしてもね」
「逃げるならね」
「一緒にいたくないわ」
「だからよ」
「お父さんもそう言うのね」
「絶対に信用出来ない人と一緒に何か出来ないわよ」
「そういうことね、部活でも一緒にいたくないし」
咲は自分が所属している漫画研究会にそうした人間がいた場合のことを考えて嫌になった、そのうえで話した。
「アルバイトでもね」
「嫌でしょ」
「自分はやろうとかやれって言って」
「失敗したら自分が決めたんだとか言い出して逃げる人なんて信用出来ないわね」
「成功したら恩着せがましく言いそうだし」
逆にというのだ。
「都合がよくなったら擦り寄ったり」
「そうしたことするわよ」
「そうした人って」
「自分しかないから」
「自分の都合で動くのね」
「それでそうしたことするのよ」
こう咲に話した。
「だから咲も自分で言ったのよ」
「信用出来なくて一緒にいられない」
「そうね」
「そういうことね」
「信用出来ない奴にも色々あるけれどな」
父がまた難しい顔で言ってきた。
「そうしたタイプもだ」
「信用したら駄目ね」
「そのうちの一つだ」
「他にもそうしたタイプいるわよね」
「勿論だ、いる」
実際にというのだ。
「平気で自分の為だけに嘘を吐いたり騙したりする奴もだ」
「確かに信用出来ないわね」
「そうした奴もだな」
「詐欺師よね」
「そうだ、自分しかない奴は兎に角信用しないことだ」
父は鉄則の様に話した。
「そうした奴は自分の為にどんなこともする」
「裏切ったり嘘吐いたり」
「騙したり責任転嫁したりな」
「平気でそんなことするから」
「だからだ、お金を貸してもな」
そうしてもというのだ。
「返さないぞ」
「そうもするのね」
「そうしていって生きていくんだ、図々しい奴もいる」
「平気で擦り寄ってくるのね」
「自分の都合でな」
そのうえでというのだ。
「それで利用してな」
「後はポイ、ね」
「そうするんだ、だからな」
「自分しかない人は信用するな」
「色々なタイプがあるが」
信用出来ないタイプにはというのだ。
「柱はそれだ」
「自分しかない人ね」
「ナチスはソ連は嘘ばかり吐いたな」
国家の話もしてきた、どちらの国も全体主義国家であり虐殺の限りを尽くし世界を血で覆ったことで知られている。
「そうだったな」
「嘘ばかりだったわよね」
「他人を騙しても全く平気だったがな」
「自分しかなかったのね」
「ナチスやソ連もな、他の国は利用してな」
「騙すものだったのね」
「他にはなかったんだ」
まさに何もというのだ。
「どっちもそういう国家だったんだ」
「ヒトラーやスターリンもそうだったのね」
「そうだ、だから若しヒトラーやスターリンみたいな人間に会ってもな」
その時もというのだ。
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