イベリス
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第四十八話 東京という街その七
「世の中はな」
「それで咲にもよ」
「いい人と付き合って欲しいな」
「そしていい人とね」
「結婚もよね、結婚はね」
そのことについてはだった、咲は考える顔になって述べた。
「ちょっとね」
「まだ想像がつかないな」
「そうよね」
「どうもね」
こう答えたのだった。
「今は」
「まあそうだな」
「高校生だとそうよね」
「結婚なんて先の先だな」
「考えもつかないことよね」
両親は咲に優しい笑顔で述べた。
「それは当然よ」
「お父さん達だってそうだったしな」
「本当に結婚なんてね」
「高校の時はまだまだ先のことだからな」
「彼氏もいないし」
そもそもというのだ。
「それじゃあね」
「そうよね、それは当然だから」
母はこう娘に話した。
「そう言うのも当然よ」
「そうなのね」
「ええ、ただ高校を卒業してね」
「大学も出て」
「そして就職したらね」
そうなればというのだ。
「落ち着いてきたら」
「考えることね」
「そうよ」
そうなるというのだ。
「先のことになるけれど」
「考えていけばいいのね」
「就職してからね、だからまずはね」
「高校と大学を卒業して」
「大学は咲が行きたいならね」
それならというのだ。
「それで裏のお仕事でもない限りね」
「お仕事は何でもいいのね」
「そう、それでも就職して」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「落ち着いたら」
「結婚をね」
まさにそれをというのだ。
「考えてね」
「そうした手順ね」
「普通はね、ただ咲も十六歳になったら」
その時はともだ、母は話した。
「結婚出来るからね」
「法律としてはね」
「そう、それは出来るから」
だからだというのだ。
「そのこともね」
「覚えておくことね」
「まあ高校生で結婚はね」
「そうはないわね」
「だからね」
それでというのだ。
「そこはね」
「考えなくていいのね」
「特にね」
そうだというのだ。
「高校生での結婚はね」
「そうなのね」
「やっぱりね」
「就職してからよね」
「結婚することになるわ」
「そうよね、まあ今はとてもね」
咲は自分の現状から話した。
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