イベリス
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第四十八話 東京という街その三
「それだけでいいじゃないか」
「そうして楽しめばいいのね」
「何が悲しくて」
咲に首を傾げさせつつ話した。
「そんなところに行って飲むのか」
「それも貢いで」
「ドンペリなら」
「滅茶苦茶高いのよね」
「あんなのそうそう飲めるか」
こう娘に返した。
「上等のシャンパンにしても」
「そんなの飲むの」
「それもグラスタワーにしてな」
「よくドラマとかでやってるわね」
「ホストクラブの場面とかでな、そのシャンパンもな」
これもというのだ。
「上等で」
「それをホストの人に奢ったりするの」
「そうなんだ」
「自分で飲むか」
咲は心底わからないという顔で述べた。
「親しい人とね」
「飲むな」
「ホストクラブって遊ぶ場所でしょ」
「ああ、ホステスの人がいるクラブもな」
「つまり遊ぶ相手で」
「別に何でもないな」
「そんな一時遊ぶ相手の人に」
心からわからないといった顔で言うのだった。
「何でそこまでして」
「遊ぶのかだな」
「それで貢ぐのよ」
「咲もわからないな」
「理解不能よ、折角稼いだお金をね」
「そんなことにだな」
「使ってどうするのよ」
こう父に返した。
「理解不能だししようともね」
「思わないな」
「そんなとこ絶対行かないわ」
何があってもと言い切った。
「下らないわ」
「そう思うならいい、本当にな」
「そうしたところには行かないことね」
「変にお金を無駄にするだけだ」
「そうよね」
「試しに入る位ならいいが」
それでもというのだ。
「遊びは遊びだ」
「はまるものじゃないわね」
「こうした遊びとギャンブルはな」
「はまったら終わりね」
「論外で麻薬もだ」
こちらもというのだ。
「もうこの三つのどれかにはまるとな」
「馬鹿なことよね」
「こんな馬鹿なことはない」
「そうよね」
「そして全部にはまる人もな」
「いるのね」
「ホストというかホステスもっと言えば異性にな」
それにというのだ。
「ギャンブル、麻薬でな」
「お金幾つあっても足りないわね」
「それで破滅するんだ」
「もう無茶苦茶ね」
「咲はそうはならないな」
「だからどれも理解出来ないから。ギャンブルにしても」
こちらにもどうかという顔で話した。
「何がいいのかね」
「わからないな」」
「負けるのが普通よね」
「ギャンブルは儲けたいなら親になるんだ」
「親て仕切る側よね」
「そうだ、そっちだ」
「やる方じゃないわね」
咲もそのことはわかった。
「やっぱり」
「やったらもう負けてな」
「儲けるどころじゃないわね」
「お金を巻き上げられてな」
そうなってというのだ。
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