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レーヴァティン

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第二百四十五話 函館入りその八

「憂いを取り除いてだ」
「幕府に入ってもらうのう」
「元々山賊や多過ぎる獣や魔物はだ」
 その彼等はというのだ。
「征伐するつもりだった」
「それならのう」
「是非その頼みを受けてな」
 そうしてというのだ。
「倒す」
「そうするのう」
「是非な」
「近頃蝦夷では獣や魔物が多いそうです」
 紅葉はこのことを話した。
「それも異常に」
「それでアイヌの諸部族もだな」
「困っているのでしょう」
「幾ら狩猟や漁業で暮らしてな」
「彼等と戦うことが多くとも」
「戦わないに越したことはない」
「そして多過ぎるとです」
 どうしてもというのだ。
「戦うという危険が多過ぎて」
「困るな」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「アイヌの諸部族もです」
「幕府に降るならと言ってきているな」
「そうかと」
「それではだ」
 英雄はそれならと話した。
「ここは是非だ」
「兵を送り」
「その数を減らそう、そして倒した敵はな」
 その彼等はというと。
「出来るだけだ」
「その身体を利用しますね」
「肉は食い」
 そうしてというのだ。
「皮や骨もな」
「用いますね」
「そうする、命を奪うのだからな」 
 退治するということはというのだ。
「それならだ」
「その命を大事にする為にも」
「身体は全て用いる」 
 用いられるものは全てというのだ。
「そうする」
「そうして供養にもしますね」
「屍をそのまま放っておき腐るに任せるなぞだ」
 そうしたことはというのだ。
「これ程粗末なことはない」
「命を粗末にしています」
「だからだ」
 そう考えるからだというのだ。
「ここはな」
「必ずですね」
「身体を全てな」
「用いて」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「大事にする」
「左様ですね」
「そうする」 
 こう言うのだった。
「毒でもないとだ」
「そしてまずくないなら」
「どう料理してもな」
「そうでないならですね」
「食うことだ」
 そうすべきだというのだ。 
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