イベリス
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第四十七話 思わせぶりな態度その十
「もうやたらとです」
「神罰が下ります」
「それで大変なことになりますね」
「これがコーランになりますと」
「基本同じ神様でしたね」
「ユダヤ教とキリスト教、イスラム教の神は」
名は違えどだ、だからイスラム教では先の二つの宗教の信者を啓典の民と定めている程であるのだ。
「同じです、ですが」
「それでもですか」
「コーランで神罰はです」
それはというのだ。
「ほぼ下りません」
「そうなんですね」
「アッラーは滅多に怒らず」
そうしてというのだ。
「登場人物達は常に前向きで」
「前向きですか」
「苦難を前にして燃え上がり」
そうなってというのだ。
「そしてです」
「苦難を乗り越えるんですね」
「最後はハッピーエンドです」
「そうなるんですね」
「同じ神でもそこまで違います」
「本当に違いますね」
「ですから旧約聖書では」
こちらではというのだ。
「神罰の多さがどうしても気になります」
「店長さんとしては」
「私はユダヤ教徒ではなく」
そしてとだ、速水はさらに話した。
「キリスト教徒でもありませんが」
「聖書は読まれたんですね」
「旧約も新約も」
その両方をというのだ。
「そしてコーランも」
「そうなんですね」
「こうした仕事をしていますと」
「読まれるんですか」
「勉強の一環として」
その中でというのだ。
「読みます」
「そうですか」
「オカルトそして宗教のことをです」
「勉強しないといけないからですか」
「ですから」
「聖書も読まれて」
「コーラン、そして各国の神話の書も読んでいますし」
速水はさらに話した。
「仏教や道教も学び神道についても」
「物凄く勉強されてるんですね」
「さもないとです」
それこそと言うのだった。
「確かに占えず出張の際も」
「お仕事が出来ないですか」
「そうなのです」
速水は頷いた、だがここで咲は仕事は占いのことだと思って言った。それで速水のもう一つの仕事には気付かずにいたのだ。
その気付かない咲にだ、速水はそのことをよしと思いつつさらに話した。もっともまずい言葉が咲の口から出ても嘘を言わず誤魔化す自信はあった。それも絶対に。
「だからこそ宗教もです」
「学ばれてるんですね」
「左様です」
こう咲に答えた。
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