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おっちょこちょいのかよちゃん

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204 機械の無力化

 
前書き
《前回》
 剣奪還班と赤軍および東アジア反日武装戦線の剣争奪戦は続く。マリエルは剣を保管してある場所に辿り着き、「ジャックと豆の木」に出てくる豆の木の豆を出し、三河口と豆の木の巨人を召喚させる。三河口は偽物の護符、杯、杖と共に置かれている剣を偽物に置き換える。その四つの道具が揃った時、道具が置いてある台から黒い光が放たれた!!そして藤木の救出に動くかよ子達はりえを発見し・・・!?
 

 
 かよ子は馬に乗っている女と共に杯の所有者が乗っている事に衝撃的だった。
「ちょっと、あっちへ寄っていい!?」
「ああ、杯の所有者がいるとなると何か一大事であるのかもしれぬからな!」
 次郎長は承諾した。かよ子は羽根を女の所へ急ぐ。
「待って!?」
「ん?」
 女はかよ子の方を振り向いた。
「貴女は誰?何でりえちゃんを抱えてるの?」
 女は機械からの見聞の能力(ちから)でかよ子が仕込んでいる杖を見た。
(この小娘・・・、杖の所持者、か)
「私はこの小娘をある少年の嫁として迎え入れようとして連れて行っているだけだ。何か悪いかな?」
「貴様、惚けるな!その者は確か杯を持つ娘の筈だぞ!つまり貴様はその小娘を殺めて杯を奪ったな!?」
 石松が激高した。
「杯?何の事やら」
 女は惚けた顔をし続けた。
(りえちゃんを・・・、杯を取るなんて・・・、許さない!!)
 かよ子は一旦羽根から降りて杖を取り出した。
「今すぐりえちゃんと杯を返して!出ないと今ここであんたをやっつけるよ!!」
「私とやろうってのか。面白い。ついでにその杖も我々の世界の物としよう!そうすれば後は護符を狙うのみになるからな!」
 女は笑みを浮かべた。同時に威圧感がかよ子を襲う。
「な!?」
「山田かよ子!羽根の上へ戻れ!」
 次郎長が呼んだ。
「うん!」
 かよ子は羽根から戻る。
「この妲己様を舐めるでないぞ!」
 妲己と名乗った女は変化した。狐の姿になった。しかし、尻尾が九本もある。
「これは九尾の狐か!」
 椎名は驚いた。妲己の威圧の能力(ちから)は羽根の結界で防がれた。
「そんな結界、消してやる」
 妲己が尻尾から光を放つ。そしてかよ子達の目の前に一人の少年が現れた。
「よう、お前ら」
「お前は、杉山!?」
 大野が嘗ての親友の登場に驚いた。
「す、杉山君!?」
「ワリいな、今まで」
「す、杉山君!」
 かよ子は好きな男子ゆえにやっと会えたと思い近づこうとした。羽根から降りようとする。
「待て、山田かよ子!!それはあの女が出した幻だ!行くな!」
 次郎長が制止した。
「・・・え!?」
「全く、紛らわしいね!」
 関根が忠治の刀を振るう。杉山の姿が両断される。
「す、杉山君!」
 かよ子は叫び声を挙げた。
「全く、あっさり見破られるとは・・・」
「お前、それで俺達を惑わして杖を取ろうとしたな!」
「そ、そんな・・・!」
 かよ子は絶望した。
「私、あんたを許さない!」
 かよ子は杖を向けた。
「ふん!」
 妲己は尻尾を振るう。大量の岩が落ちて来た。
「これで消えな!」
「かよちゃん!」
「山田かよ子!」
「山田!」
 かよ子を大量の岩が襲う。しかし、かよ子はその岩に杖を向け、石を操る能力を得た。かよ子は妲己が出した岩よりも更に巨大な岩を出現させた。その岩は多くの岩を弾く。
「そんな岩、私に効かないよ!」
 他の皆も怠けている場合ではなかった。ブー太郎は水の石で、椎名は水の玉で大水を出して岩を押し流し、大野は草の石で巨大な蔓を出して岩を捉えて遠くへ投げた。のり子の人形も岩を念力で粉砕した。

 レーニンは赤軍の総長・重信房子と共に本部へ急ぐ。既に本部の建物は見えていた。
「よし、もう見えてきたぞ!」
 その本部から黒煙が見え、爆音が響く。
「な、もう攻められている!?」
「ヴィクトリア女帝の艦隊が守護に当たっている道がやられたようだな!」
(あいつが、来てるのか・・・!)
 レーニンの体の核となって取り込まれている少年・杉山さとしはそう思った。その時、レーニンが苦しがった。
「あ、あああ・・・!!」
「レーニン様!?」
「私の能力(ちから)が奪われていくようだ・・・」
 レーニンは車から降りた。
「今のお前じゃ苦しそうだな。俺が代わるよ」
 レーニンの身体の核としている少年が現れた。
「杉山さとし、貴様・・・」
「俺が見に行くよ。それまで待ってな」
 レーニンが杉山の姿に変わった。
「西側の海路はクイーン・ベスの艦隊が邪魔をしておる。先程の道を進め」
「おう」

 三河口とマリエルは偽物の道具四種が揃った時に放たれた黒い光を見ていた。
「何が起きてるんだ?!」
「本部に連絡した方がいいんじゃないかしら?」
「ああ」
 マリエルの提言で三河口は通信機を出した。繋いだ相手は本部である。
「こちら剣奪還班・三河口。今、敵地の本部に侵攻し、異世界の剣の置いてあった場所を偽の剣に置き換えた!クイーン・ベスから貰った剣だ!そうしたら偽物の道具を置いている台から黒い光が放たれた。これは一体何なんだ!?」
『こちら本部イマヌエル。偽物の道具を四つ揃えたのか。それは偽物の道具が揃った時、赤軍が開発した機械を全て無力化させると共に、戦争を正義とする世界の長の能力(ちから)を低下させる、二つの効果が発動されるのだよ』
「機械が無力化・・・!?」
 三河口は自分の能力が複製された苦しみから逃れたと感じた。
「そうか・・・、了解、すぐそちらに剣を持って行く」
 三河口は通信を終えた。
「よし、今度は全ての皆に連絡だ!」
 三河口は今度は他の剣奪還班、そして領土攻撃班、本部守備班、そして藤木救出班に連絡を繋ぐ。マリエルはその間、小人達やシルヴィー、ブルーノや豆の木の巨人を使役して足立と吉村の動きを封じていた。
「こちら剣奪還班、三河口!今、異世界の剣を手にした!それからこれによって敵の本部では杯、剣、杖、そして護符の四つの偽物の道具が集まった事で奴等が持ってる異能の能力(ちから)を出す機械も無力化される!」
『こちら祝津ゆり。頑張ったわね。戻る支度をするわ。待ってて』
「了解!」
 だが、その時、瞬間移動で別の人物が現れた。
「お前は・・・!!」
 三河口は知っていた。自分が居候している家の隣に住む少女の想い人だった。

 レバノンにある赤軍の本部へと通じる通路に戻って来た北勢田、奏子、鯉沢は三河口の報告を受けていた。
「ミカワ、やったのか・・・!!」
「私達も合流しましょう!」

 三河口の姿のままで丸岡と交戦する政美は丸岡を殴った後、ゆりから連絡が来た。
『こちら祝津ゆり。政美ちゃん、健ちゃんが剣を取ったわ。クイーン・ベスの艦隊がいる海辺へ皆を瞬間移動させて』
「了解」
 政美は返答した。
「んじゃ、あんたとはここまでだよ」
 政美は丸岡に告げた。
「おい、待て、逃げるのか?」
「いいや、逃げるんじゃないさ。もう剣は貰ったからね」
「は?」
「それから私は三河口健じゃないよ」
 政美は変身能力を解いた。丸岡は全く別人の女子に姿が変わった事に驚いた。
「お前、偽物か!」
「本物の三河口はもう剣を取り返したってさ。それじゃ」
「待て!」
 姿を消していく政美に対して丸岡は矛盾術で政美を移動できないようにした。しかし、何かが丸岡を包んだ。丸岡の矛盾術は防がれた。政美は姿を消した。
「何だ!?」
「お前はいつかの野郎じゃねえか」
 機械の工房の破壊から戻って来た北勢田、奏子、鯉沢だった。
「てめえは、いつかの・・・!!」
 丸岡は北勢田の顔も覚えていた。嘗て杖と長山治という少年を奪いに清水を訪れた時、三河口と共に自分をコケにした男子高生だった。
「おめえもいたのか」
「あ~ん、こいつの胸騒ぎ、どこかで覚えがあるけんのう」
 鯉沢も思い出すように言う。
「そうか、おんどれやな。剣を取って持ち主もぶっ殺したってクズは!」
 北勢田は矛を、鯉沢は銃を丸岡に向ける。その時、テレパシーが聞こえた。
『こちら青葉政美。全員撤退するよ!』
「あ、了解!」
「おんどれとはここまでや!次()うたらギタギタのメタメタにしたるけんのう!」
 三人の高校生は姿を消した。

 かよ子達にも通信機を通して三河口の言葉が聞こえていた。
(三河口のお兄ちゃん、やったんだ・・・!)
「今だ!」
 次郎長や石松、大政、小政ら子分達も総攻撃に掛かった。妲己が出した岩を粉砕する。
「くう〜」
 九尾の狐は再び姿を現した。
「もう機械は使えないよ!」
 かよ子は留めのチャンスが来たと感じた。杖はまだ石を操る能力を持っている。
「いけえ!!」
 かよ子は杖で妲己に巨大な岩石を放った。 
 

 
後書き
次回は・・・
「杉山の真意」
 妲己と交戦するかよ子は妲己に悪あがきの嫌味を言われて取り乱す。その一方、戦争主義の世界の本部にて杉山と対面した三河口は撤退する前に彼が戦争主義の世界の人間および赤軍の側に着いた理由を問うのだが・・・!?
 
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