イベリス
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第四十七話 思わせぶりな態度その五
「常にです」
「塔ばかりが出ますか」
「死神ならまだ再生ですが」
そうしたある意味いいカードが出るというのだ。
「ですが」
「塔は最悪ですよね」
「これ以上はないまでに」
「そうしたカードですよね」
「しかも確かに感じます」
「怨霊を」
「これまでの数多くの卑劣で醜悪な悪事の報いと」
それにというのだ。
「貶められた英霊が怒り」
「怨霊となってですか」
「祟っています」
そうなっているというのだ。
「これは」
「そうなんですね」
「全ては悪事の報いです」
それによるものだというのだ。
「これは」
「その中で怨霊も来たんですね」
「実は平清盛は悪人ではありませんでした」
速水はこの人物の名前も出した。
「平家物語では極悪人とされていますが」
「実は家族と家臣を大切にして穏やかな人でしたね」
「はい、源頼朝よりもです」
「いい人だったんですよね」
「頼朝公は少しでも邪魔に感じますと消していました」
「弟さんでもですね」
「根絶やしにしました」
源義経だけでなく木曽義仲も平家もそうであったし他の者達もだ、少しでも何かあると片っ端から根絶やしにしていたのだ。
「源氏はまず身内で争っていましたし」
「それで誰もいなくなりましたよね」
「血生臭い一族で」
「頼朝さんはその中心にいた人ですね」
「その頼朝公と比べれば」
それこそというのだ。
「清盛公は」
「悪人じゃないですか」
「到底無間地獄に送られるまでは」
平家物語にある通りにだ。
「そこまではです」
「悪人じゃなかったんですね」
「はい」
まさにというのだ。
「断言出来ます」
「そうした人だったんですね」
「少なくともあの新聞社の様な悪事は犯しておらず」
それにと言うのだった。
「平家物語の振る舞いもあの新聞社に比べれば」
「ましですか」
「あれでは怨霊に祟られるのも当然です」
「そうなんですね」
「そして怨霊に祟られると」
その時はというと。
「恐ろしいことになります」
「国がどうにかなる位ですよね」
「そうです、我が国では鬼や悪魔よりもです」
「怨霊の方が怖いですね」
「実は悪魔は怖くはありません」
速水は俗に恐ろしいと言われるこの存在はこう言い切った。
「契約で動きますし彼等も正義なのです」
「神に対するもう一つの正義ですね」
「彼等が神を倒せば」
その時はというのだ。
「彼等が神になり」
「正義になるんですね」
「悪魔とは何ぞやと聞かれ」
そうしてというのだ。
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