イベリス
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第四十七話 思わせぶりな態度その一
第四十七話 思わせぶりな態度
咲はアルバイトに出た時に速水に学校で東京の結界のことを話したことを彼にも話した、するとだった。
速水は咲に静かにこう答えた。
「それは私も事実だとです」
「お考えですか」
「確信しています」
返答はこれだった。
「まさに」
「店長さんもですか」
「それを実感もしています」
「実感ですか」
「私も東京で生まれ」
そうしてというのだ。
「東京で育ち」
「今もですね」
「基本東京で働いています」
「時々出張されてますからね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「こう言わせて頂きました」
「基本ですか」
「左様です、そしてです」
「東京におられるとですか」
「実感します、この街は結界で守られています」
そうなっているというのだ。
「それも幾重にも」
「お寺や神社にですか」
「偉人達の像にです」
「それと高層ビル等もですか」
「はい、あとスカイツリーも言われていますが」
ここで速水はこうも言った。
「スカイツリーは既に江戸時代に描かれていたとか」
「江戸時代に!?」
「はい、浮世絵に」
「それ本当ですか!?」
「何故か当時の江戸にです」
言うまでもなく江戸時代である。
「その街の中にです」
「スカイツリーがあったんですか」
「はい」
まさにというのだ。
「不思議なことに」
「本当に不思議ですね」
咲もその話を聞いて目を丸くさせて述べた。
「そんな絵があるなんて」
「偶然かも知れないですが」
「怪しいですね」
「そのスカイツリーもです」
「言われてるんですね」
「東京タワーと共に」
咲に余裕はあるが真剣な面持ちで話した。
「結界なのではと」
「やっぱりそうですか」
「逆に禍とも言われていますが」
「結界とは逆に」
「そうした説もあります、ですが私はです」
速水はさらに話した。
「スカイツリーもです」
「結界ですか」
「そう考えています」
「そうですか」
「あくまで私の私見ですが」
それでもというのだ。
「その様にです」
「店長さんはお考えですね」
「そうなのです、兎角東京はです」
「結界に囲まれた街なんですね」
「はい、そして」
「そして?」
「小山さんの言われる通り東京には怪異も多いです」
咲は速水にこのことも話していて速水も応えたのだ。
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