レーヴァティン
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第二百四十四話 青森入りその十一
「そうしてだ」
「幕府も豊かになるぜよ」
「税収にばかり頼ってもな」
「税が重いと活力がなくなるぜよ」
「それを効果的に使ってもな」
「だからじゃのう」
「税は軽くだ」
その様にしているというのだ。
「アイヌ達も然りだ」
「そうじゃのう」
「だが採算を無視した軽さにはな」
「せんのう」
「かえって国が動かなくなる」
「実際江戸幕府はぜよ」
「諸藩の手本になろうとな」
「年貢は軽かったぜよ」
幕府の領地即ち天領はそうであったのだ。
「それもかなり」
「そうだったな」
「軽過ぎてぜよ」
「幕府の財政は常に危機的状況だった」
「そうだったぜよ」
「生かさぬ様殺さぬ様にと言われたが」
その実はというのだ。
「軽くし過ぎてだ」
「幕府は常に財政赤字だったぜよ」
「幕府の財政は年貢に重点があったが」
「それがあまりに軽くてぜよ」
五公五民どころか二公八民だったという。
「しかも米の年貢以外は取らんかった」
「副産品の利益はな」
茶や綿、菜種、その他の野菜である。
「それではな」
「財政危機も当然ぜよ」
「幾ら軽くともな」
「それで国が動かないならぜよ」
「論外だ」
まさにというのだ。
「そうであるならな」
「そうじゃのう」
「だからだ」
それでというのだ。
「俺は税は軽くしてもな」
「あくまで国の財政を考えてだな」
「そのうえでだ」
「そうじゃのう」
「国が動かないとな」
そうでないと、というのだ。
「よくはない」
「それが現実じゃのう」
「そこは考える、国が動かなくなるまで安いとな」
「論外ぜよ」
「税や年貢もな」
「幕府はギリギリだったぜよ」
「本当にな」
「すぐに財政赤字になっちょった」
その二百六十四年の歴史の中で百五十年程はそうであった。
「ずっとお米だけというのも問題じゃったしのう」
「幕府の面子を大事にしてな」
「そのお米、年貢も安かった」
「それで民は豊かだったが」
「国はぎりぎりだったぜよ」
「動かなくなる寸前になることもな」
そうなることもというのだ。
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