おっちょこちょいのかよちゃん
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202 機械の工房へ
前書き
《前回》
戦争主義の世界の本部に到着した剣奪還班は剣を取り返す為の本格的な戦いを開始する。マリエルが三河口を連れて剣が置かれている部屋を探し、奏子・北勢田・鯉沢が異能の能力を発動させる機械を製造する工房の襲撃を、ゆり・濃藤・光江・政美・湘木の五人で本部の建物の周囲の敵の交戦に取り掛かる。マリエルは本から妖精や小人を出して捜索や襲撃に当たらせる。そして北勢田・奏子・鯉沢は追撃する赤軍の山田義昭を振り切ってレバノンにある赤軍本部へと通じる穴を通り抜けた!!!
鯉沢、北勢田、奏子はレバノンの赤軍本部に到着した。
「ここが赤軍の本部か」
「気持ちわりいとこじゃけんのお」
「兎に角三河口君の能力を複製した機械ってのを探しましょう」
三人は本部周囲を巡回する。そして工場のような場所を発見した。
「これをぶち壊しゃ、あの厄介な機械を作れへんけんな」
「やるぞ!」
三人は作戦を開始した。
ゆりはブランデー・ナンと行動を共にしていた。
「向こうのクイーン・ベスの艦隊は順調に戦えてるのかしら?」
「ああ、先ほど青葉政美の水中移動能力で船を次々と沈めたからね」
「それじゃあ、帰りは同じ道を通った方がいいわね・・・」
爆音や喧騒が聞こえてくる。
(やってるわね・・・。私ものんびりしてられないわね・・・!!)
「ブランデー・ナン、私達も行きましょう」
「ああ」
ゆりはブランデー・ナンと共に赤軍や東アジア反日武装戦線との戦いへ向かう。
山田義昭が去った後、その場に一人の少年が現れた。しかし、それは一人の少年の姿に擬態した青葉政美だった。政美はゆりの命令で変身能力で彼女の従弟・三河口健に成りすましているのである。そして先ほどまで変身能力で自身を透明化しながら飛行能力で飛んでいたのだった。
(北勢田が出した三河口の機械・・・)
そして政美は探知能力を利用する。湘木の戦闘現場でも、もう一体三河口に似せた機械が破壊された事を確認した。
(北勢田が出した機械は合計7体・・・。うち2体が壊されたって事か・・・)
そして、自身の所にも敵が近づいている様子も察知した。
和光は本部へと急いでいた。何しろ剣を取り返そうとする者が本部に侵入するという連絡を聞いたからである。
(ったく・・・。しょうがねえ、この車で本部に戻るまであと30分程だぜ・・・!)
その時、またトランシーバーから通信が聞こえる。
『こちら重信房子、晴生、聞こえる?』
「総長?はい、こちら和光晴生、聞こえます!」
「貴方の能力で本部の方へ救援できるかしら?」
「しかし、今ここからだと本部到着までまだ少し時間が掛かります!」
『分かったわ、私達もできるだけ急ぐわ!』
通信が切れた。
(なら、あれを出してやるか・・・!!)
光江は赤軍の一人、戸平和夫と遭遇していた。
「お前も剣を取りに来た奴だな?返り討ちに、いや、生きて帰れると思うなよ!」
「そっちこそ私を甘くみんなや!」
光江が御守の効力を発する。自身の持つ威圧の能力を御守に流し込み、それを戸平への攻撃に使用する。しかし、異能の能力を持つ機械が作動したのか、あっさりと防がれた。
「そんなんで俺を倒せるか!」
戸平がその機械を利用して威圧の能力を発動させた。しかし、光江も威圧の能力を所持する者でもある。お互いの威圧の能力がぶつかり合った。どちらも動かない状態となる。
(よし、今やね!)
光江は再び御守を使用した。戸平を昏倒させようとする。
「無駄だ!」
しかし、再び武装の能力が発動され、防御された。
(同じ事、か・・・)
「今度はこっちから行かせてもらうぜ!」
戸平が武装の能力で攻めにかかる。光江自身には武装の能力はない。正面でやりあえはしないと判断した。
(御守の別の能力を利用すれば・・・!)
戸平がナイフを出して光江を刺そうとする。その時、光江の周りに白い衣が現れた。戸平のナイフが弾かれ、更には戸平本人も吹き飛ばされた。さらに後ろには本部の壁があった為に戸平は体を打ち付けられた。
(マリエルと健君が戻りやすいようにせんと、か・・・)
光江は戸平が動かないうちにその場を離れ、他の敵を片付けに行った。
「お前は、清水のガキか!久しぶりだな」
(この男・・・、確か、赤軍の仲間で丸岡修とか言った・・・)
政美は三河口に変身しているために自身が三河口と思われていた。
「お前か、何の用だ?」
政美は三河口の口真似をした。
「勿論、お前を片付けに来たに決まってんだろ。剣を返しに来たんだろ?」
「ああ、そうだ」
「だが、てめえもここ迄だ!サッサと死にな!」
丸岡は包丁を取り出した。そして切っ先を向けただけで相手を殺傷できるという認識術を己に掛けた。
「それはどうかな?」
政美は加速能力を使用する。高速で移動するので丸岡は狙いを定められなかった。そして後ろを捕まれた。政美は今度は怪力能力を行使する。強引に丸岡の手からナイフを分捕った。そして丸岡も投げ飛ばした。
(な、こいつ・・・、道具を手にしたのか!?)
丸岡はそう錯覚した。兎に角地に落ちても痛みも怪我も一切なしという矛盾術をかける。丸岡は地面に落下しても痛みを一切感じる事なく立ち上がった。
「いつどんな道具を手にしたか知らんが、ここで消す!」
(長期戦になるか・・・)
政美はそう思いながら三河口の姿のまま戦い続ける。
「二人とも、まずうちがやったる。下がっとれ!」
鯉沢が羽衣から降りて銃を発砲した。山田の時に出した光線と異なり今度は弾丸だった。地面を揺るがす程の爆音、そしてきのこの形をした雲が現れた。そして工房の瓦や壁が次々と吹き飛ばされていき、炎上した。三人には幸い、奏子の羽衣や彼女の防御特化の武装の能力が働いていた為、無傷だった。
「よし、次は俺が使えなくさせてやる!」
北勢田が矛を向けた。矛から放電され、周囲に散らばっていた機械が破壊された。
「これで奴らは新しい機械を作れへんのう!」
鯉沢は馬鹿笑いした。
「ああ!お前ら!よくも俺の工房を!」
三人は振り返った。山田義昭が後から追いついて来た。
「許さねえ!てめえらも戦争犯罪者だ!」
「はあ、戦争犯罪者はどっちだよ!」
「そうよ!世界中で色んなテロ起こしてるのに!」
「うるせえ!お前らここで皆殺しにしてやる!」
山田が金属の一部を地面に突きつけた。地面が爆発を起こし、三人を襲う。奏子は羽衣で自分らを防御した。
「北勢田君、鯉沢さん、乗って!」
「おう!」
北勢田、鯉沢は羽衣に戻った。
「逃げられると思うな!」
山田は別の金属を羽衣に向けた。奏子は迎撃を試みたが今度は羽衣ごと吹き飛ばされた。
「ああー!」
三人は羽衣から落ちる。そして尖った金属の一部が矢のように大量に飛んできた。
「くそ!」
北勢田は電脳の矛で塊のような物を出して金属を磁石のように吸い付けた。鯉沢も銃の光線で金属を溶かし、羽衣から離れてしまった奏子は武装の能力で己を防御した。
(羽衣・・・、来て!)
奏子はそう願った。羽衣が奏子の元へ来る。
「今度こそ行きましょう!」
「ああ!」
三人は奏子の羽衣に乗って元の場所へ戻る。
「待ちやがれ!」
後ろから襲う山田に対して鯉沢が銃で応戦する。本部の建物を狙い、破壊された壁が山田を襲った。
「うおっと!」
山田は辛うじて壁の瓦礫を避けた。
「へん、待てと言われて待つバカいるか!」
鯉沢は捨て台詞を吐いた。三人は黒い穴へ戻る。
「こちら北勢田、赤軍の工房は木っ端微塵にした。これで暫く奴らは機械を量産する事はできねえはずだ!今、そっちに戻る!」
北勢田は通信機で他の剣奪還班に連絡した。
『了解、気を付けて戻って来て!』
ゆりが応答した。
「了解!」
三人は黒い穴へと戻って行く。
マリエルはマザー・グースの鵞鳥と共に剣の置いてある場所を探す。そして、ある感知をした。更に自分達を襲撃すると言う予知もした。
(こっちに攻めてきた訳ね・・・!!)
「マザー・グース、邪魔者が近づいて来てるわ!返り討ちの準備よ!」
「了解!」
その時、妖精のシルヴィーが現れた。
「マリエル、剣は4階の部屋にあるわ。偽物の杯、杖、護符と一緒よ!それでそこにまた赤軍の人が二人、警護しているわ!」
「警護を?まあ、厳重にしてるってのは読んでたけどね!」
「いたぞ!あの女だ!」
追手が現れた。しかし、銃声が聞こえるが、襲って来ない。
「進め!主人に指一本触れさせるなー!」
先程マリエルが本から出したリリパット王国の小人兵士が足止めして戦い始めた。
「その必要がなくなったみたいだね」
「4階へ行きましょう。シルヴィー、案内!」
「うん!」
マリエル達は目的地へと向かう。
後書き
次回は・・・
「異世界の剣」
剣奪還班と赤軍達の剣を掛けた争奪戦は続く。赤軍の政治委員・足立正生と吉村和江は剣を奪われないように警護を続けていた。だが彼らの元にマリエルが突入する。そしてマリエルは豆を本から出して三河口を召喚し・・・!!
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