イベリス
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第四十六話 夏服を着てその四
「本当に」
「そうなのよね」
「もう滅茶苦茶寒いわよ」
「只でさえ寒いのに」
「その風で余計に寒いのよ」
「それでお肌もガサガサになるし」
空気が乾燥する為にだ。
「本当にいいことないわね」
「全く以てね」
「からっ風についてはね」
「冷やすし乾燥させるししかも火事の元」
「いいものじゃないわ」
「けれどそれも仕方ないのよね」
気候のこと故にだ。
「もうね」
「そうなのよね」
「東京って色々便利だけれどね」
「色々なものがあって交通の便もいいし」
「そこはいいけれど」
「自然についてはね」
「結構難儀よね、そういえばね」
ここで咲はこうも言った。
「東京って本当に災害多いけれど」
「今お話した通りにね」
「東京ってガチで災害の街よ」
「もう災害にはこと欠かないわよ」
「そのことでも世界一じゃない?」
「世界一の大都市とか言われることもあるけれど」
「その火事に台風、地震に雷もあるし熱波も苦し大雪もあるからね」
そうした災害のことを話した。
「何でもあるわよね」
「大雪もあるわね、東京」
「しかも東京で大雪の時って何か起こるっていうしね」
「赤穂浪士の討ち入りとか桜田門外の変とか」
「二・二六事件とかね」
「そうした意味でも色々あるわね」
咲は実にと思った。
「東京って。それでそういうのから防ぐ為に結界張ってるのよね」
「あれでしょ?五つの不動尊とかね」
「日光東照宮もそうだっていうわね」
「あと神田明神もよね」
「靖国神社も」
「色々お寺や神社多いのそのせいらしいわね」
クラスメイト達も東京の結界の話に乗って話した。
「それで山の手線の路線とかね」
「高層ビルが多いのとか」
「東京タワーやスカイタワーもそうらしいわね」
「西郷隆盛さんや大村益次郎さんの像もでしょ」
「楠木正成さんもよね」
「東京って災害多いし何か色々あるらしいから」
このことはオカルトの分野でなくとも言われている、江戸時代初期の僧侶であり百二十歳まで生きたという南光房天海が最初に江戸の街の結界を築く様にしたという。彼は創作では百二十歳まで生きたことから何かと悪役で登場するが実は穏健派でありその教養を活かした江戸の街づくりにこそ貢献したという。
「そのことからね」
「結界築いて」
「それで東京を守ってるのね」
「そうらしいわね」
「私もそのお話聞いたことがあるわ」
「私もね」
「だから災害で何度も廃墟になったけれど」
それでもだというのだ、地震や火事に台風そして空襲で。
「その都度復興してるのはね」
「結界のお陰ってね」
「そう言われてるわね」
「確かに沢山の人が犠牲になってるけれど」
「その都度復興してるしね」
「助かってる人も多いしね」
「そう聞いたわ、東京はね」
咲はさらに話した。
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