恋姫伝説　ＭＡＲＫ　ＯＦ　ＴＨＥ　ＦＬＯＷＥＲＳ

「時々知恵も授けてくれます」
「っていうかよ」
　程昱はここで腹話術を使った。人形が話す様に見せる。
「俺がいつもこいつの策考えてるからな」
「それは言い過ぎです」
　彼女自身の声も出す。
「私も考えてますから」
「どれ位だ？」
「半分位です」
　そうだとやり取りをするのだった。
「努力もしていますよ」
「だったらいいんだけれどな」
「ううん、何か凄いですね」
　純粋な周泰は程昱のその悪戯を信じていた。そうしてだ。
　その純粋な笑顔でだ。こう言ったのである。
「私も何かそうしてですね」
「御友達をですか？」
「はい、欲しいです」
　そうだというのである。
「是非共」
「これは特別な友達でして」
　まだ言う程昱だった。
「そう簡単にはできません」
「お友達だからですか」
「そうですね。友達はできない時は中々できません」
「はい。縁のものですしね」
「縁はこの世で最も難しいものの一つです」
　程昱は真面目な顔で話す。
「どうなっているか非常にわかりにくいです」
「縁はですか」
「もっと言えば人間ですね」
「そうです。人間です」
「人間はわかりにくい」
「それも非常にです」
　そうしたものだというのだ。
「そして戦もです」
「人と人のですね」
「はい、だからこそ難しいのです」
「あれですか。人を攻めるという」
「孫子ですね。城を攻めることは誰にもできます」
　それは容易だというのだ。まだ。
「ですが人を攻めることはです」
「難しいと」
「今回もです。私達も彼等も互いに陣地を攻めているものではありません」
「お互いに人を」
「若し相手が陣を攻めれば」
　そうなればどうかというのだ。
「そこに付け込むことができます」
「陣をですか」
「そこで人を攻めればいいのです」
　程昱は感情の乏しい口調で淡々と話していく。
「そうすればこの戦いは勝てます」
「それなら私達も」
「陣を攻めてはいけません」
　逆に言えばだ。彼女達もそうだというのだ。
「人を攻めるのです」
「そうして勝利を収める」
「はい、そうあるべきです」
　これが程昱の考えだった。周泰に話していくのだった。その彼等のところにだ。
　ヘビィ＝Ｄ、ラッキー、ブライアンのアメリカチームが前から来た。ラッキーが陽気に手を振ってだ。二人に対してこう言ったのである。
「よお、見回りかい？」
「はい、そうです」　
　その通りだとだ。周泰がにこりと笑って答える。
「火計への備えはどうなっているか」
「今のところ万全です」
　程昱は微笑んでラッキー達に話した。
「水もあちこちにありますし」
「火には水だからな」
　このことはブライアンが言う。
「備えておいて問題はないぜ」
「そうですね。水があれば火は簡単に消せます」
　程昱はブライアンにも話す。
「蒼月さんもおられますし」
「水を使える方がおられるのも心強いです」
　周泰はにこりと笑って話した。
「対策は万全になりそうです」
「その時間ができたことが大きいです」
　また言う程昱だった。