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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十七話 社、三姉妹と競うのことその三

「私達も陣の各所で歌って」
「とにかく歌える人間は総動員ね」
 曹操も言った。
「私も一応歌えるし」
「それなら私も」
「私もね」
 劉備に孫権も続くのだった。とにかくだ。
 歌える面々が次々と挙げられる。別の世界の面々もだ。
 アテナもだった。ケンスウに推挙される。
「それで私も?」
「そや。気合入れていくんや」
 ケンスウは力瘤を入れてアテナに告げる。
「ええな。派手にいけや」
「じゃあまたするのね。バンドオブファイターズ」
「そや、まさにあれや」
 こう言ってだ。ケンスウはアテナの背中を押したのだった。そしてだ。
 彼女も出ることになった。その他にもだった。
 テリーにナコルル、草薙もだ。出るのだった。
 この四人ならばだった。草薙は八神を見て尋ねた。
「御前はどうするんだ?」
「俺か」
「ああ。ベースは持っているよな」
「無論だ」
 この世界においてもだ。八神はベースを持っていた。
 そしてだ。そのベースを実際に出して言うのだった。
「こいつは俺の身体の一部だ」
「そう言うんだな」
「それでどうするんだ?」
「オロチは俺を利用しようとした」
 八神は表情を崩さず述べた。
「そのことは何があろうと忘れない」
「それならか」
「そうだ。奴等が動くのなら俺も動く」
 そうするというのである。
「必ずだ」
「わかった。それならな」
 こうして八神も加わった。これでいつもの五人になった。
 その五人に加えてだった。劉備が笑顔で言った。
「張三姉妹も欠かせないわよね」
「あっ、やっぱり出してくれるんだ」
「今自分から言おうって思ってたけれどね」
「劉備さんから言ってくれるなんて」
「だって歌なのよ」
 劉備は天真爛漫そのものの口調で話す。
「歌だったら張三姉妹が出ないとね」
「有り難う。やっぱり劉備さんよね」
「あたし達のこといつも応援してくれてるし」
「こうして推挙もしてくれるのは嬉しいわ」
 こうしてだった。三人も出ることになった。こうしてオロチ達の音楽に総員で対抗することになった。しかしだ。
 ここでだ。出て欲しくない連中が出て来たのだった。
「じゃあ出番ね」
「あたし達の出番なのね」
 出た瞬間でまたしても爆発が起こった。天幕が瞬く間に焦土になる。
 だがその中でだ。妖怪達だけは言うのだった。
「あたし達の歌なら誰もが悩殺されるわ」
「さあ、聴いて頂戴」
「はっきり言わせてもらうわ」
 曹操は何とか起き上がりながらだ。怪物達に返す。
「あんた達はいいから」
「あら、どうしてなの?」
「絶世の美女二人の歌を聴きたくないの?」
「どう言えばいいのかしら」
 曹操はこっそりと荀彧に囁く。
「あの二人に納得してもらう言い方は」
「ええと、ここはですね」
 荀彧もだ。あちこち煤だらけになりながらも何とか起き上がりつつ応える。
「あの二人には敵陣にでも行ってもらってですね」
「そこで歌ってもらうのね」
「あの二人の歌が若し陣中で歌われると」
 それならどうなるか。想像に難くなかった。
「軍はそれだけで全滅します」
「そうね。確実にね」
「全滅で済めばいいです」
 こう言うのだった。
「戦力の九割は失われます」
「そうね。それだけは防がないと」
「はい。ですから」
 こうした話をしてだった。曹操はだ。
 怪物達にだ。レトリックの限りを尽くして話した。
「是非お願いしたいところだけれどね」
「そうよね。だからね」
「今から歌わせてもらうわ」
「何かね。敵も聴きたいらしいのよ」
 こう言い繕うのだった。
 
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