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イベリス

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第四十五話 考えは変わるものその九

「そうなの、だから自分でお料理作る時もね」
「オリーブオイルは沢山使うか」
「そうしてるわ、スパゲティを作る時もね」
 この時もというのだ。
「大蒜は欠かさないし」
「大蒜を入れるとスパゲティは凄く美味しくなるな」
「そう、それでね」
「オリーブオイルはか」
「かなり使って」
 そうしてというのだ。
「絡めて味もね」
「オリーブオイルもスパゲティの味をよくしてくれるな」
「だからね」
「抵抗ないんだな」
「私スパゲティも好きだしね」 
 それも大好きである。
「だからね」
「それは大丈夫か」
「ええ、ただラードとかはね」
「多いと駄目か」
「どうしてもね」
「オリーブオイルだけか」
「大丈夫なのはね、ただ最初は」
 咲はさらに話した。
「オリーブオイルもね」
「駄目だったか」
「子供の頃はね」
「そこも変わったか」
「ええ」
 その通りだというのだ。
「私もね」
「咲も変わるんだな」
 父はこの話からあらためて思った。
「誰もそうでな」
「私もそうね」
「誰もそうなるな、そしてそれはな」
「お父さんもってことね」
「そうだ、だからな」
 娘に微笑んで話した。
「今は普通にな」
「埼玉にも行くのね」
「所沢にな」
「そうしてくるのね」
「ここから通うしな」
 自宅からというのだ。
「それならいいしな」
「まあお家が東京ならね」
 それならとだ、咲も述べた。
「別にね」
「構わないな」
「私は最初からその考えよ」
 こう父に話した。
「だからね」
「あちらで頑張って来いか」
「ええ」
 その通りだとだ、父に笑顔で話した。
「そうしてきてね」
「ならそうするな、しかし最近な」
「今度はどうしたの?」
「咲じゃないがあっさりしたものが好きになったな」
「食べものが」
「前は脂身の多いお肉も好きだったが」
「霜降りとか」
 咲は脂身と聞いてこの肉を話に出した。
「そういうの?」
「ステーキの脂身も食べられたんだけれどな」
「豚肉のそれとかも」
「大丈夫だったけれどな」
「今は駄目なの」
「赤身は食べられても」
「脂身はなの」
 咲はまた言った。
「駄目になったの」
「どうもな」
「そうなのね」
「そこも変わったな」
「お父さんも色々変わるのね」
「そうだな」
 娘の言葉に笑って返した。 
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