母の再婚相手は年下

　　　　　　　　　　　　　　　　母の再婚相手は年下
　この日母の円冬美に夫の慎一と共に彼女の家に呼ばれてだった。
　小柳夏子一六八程の背ですらりとしたモデルの様な体型とはっきりした大きなきらきらした目と白い顎の先がすっきりした顔と紅の赤い唇セットした黒髪を後ろで束ねている彼女は驚いていた、それは夫細面出で細長い目と黒く長い眉と大きめの薄い唇に広めの額のやや癖のある黒髪と一七五程の痩せた身体の夫もだった。
　夏子が少し歳を取った位のスタイルのいい彼女が横にどう見ても高校を卒業したばかりの小柄な少年を横に置いているのを見て驚いていた、それで夫婦で母に問い返した。
「お母さん今何て言ったの？」
「嘘じゃないですよね」
「ええと、その人と結婚するって」
「そう言われました？」
「言ったわよ」
　冬美は娘夫婦に平然と答えた。
「この人とね」
「はじめまして」　
　一六二位の背の茶色の短い髪の毛で童顔のおどおどした感じの冬美の隣で正座して顔を真っ赤にしている彼が言ってきた。
「池田弘平といいます、今八条大学一回生です」
「大学一回生って」
「今大学に入ったばかりだよね」
　夫婦はその弘平にも言った。
「十八かな」
「それ位よね」
「はい、十八です」
　弘平もその通りだと答えた。
「冬美さんとは去年からお付き合いしていまして」
「学校で知り合ったのよ。私学校の先生してるでしょ」
　今度は冬美が言ってきた。
「それで学校は違うけれどバレー部の部活の練習試合でこの子がいて知り合ってね」
「流石に同じ学校じゃないけれど」
「あの、教師と生徒ですか」
「お母さん、ちょっとそれって」
「まずいんじゃないですか？」
「だから秘密のお付き合いでよ、高校卒業までは待ってね」
　娘夫婦に笑って話した。
「あちらのご実家にもお話してるしお父さんが亡くなって三年経ったしいいでしょ」
「あの、私二十五でね」
「僕二十七ですよ」
「それでお母さん四十八でしょ」
「僕達より何歳も年下で」
「自分より三十歳年下の人と結婚って」
「それは」
　夫婦で冬美に話した。
「何て言えばいいか」
「わからないんですが」
「じゃあ反対なの？」
　冬美は戸惑いを隠せない娘夫婦に問うた、スタイルは四十八とはとても思えない。顔立ちもそうで皺もなく三十と言っても通用する。
「二人は」
「そう言われても」
「何と言えばいいのか」
「大丈夫よ、この子はちゃんと卒業させて就職もしてもらっていい家庭を築いていくから」
　冬美は何と言っていいかわからない二人に笑顔で話した。