麗しのヴァンパイア
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四百三十四話
第四百三十四話 白ワインと豆腐
今田先生はその日の仕事を終えると使い魔達が作ってくれた夕食を前にした、既に鍋が用意されていて。
豆腐が中にあった、その豆腐とだった。
野菜を食べて白ワインを飲む、先生はその中で言った。
「お野菜を入れない湯豆腐が多いけれど」
「この度は違いますね」
「お野菜も入れていますね」
「そうして召し上がられていますね」
「時にはこうした湯豆腐もいいわね」
今田先生は微笑んで述べた。
「こちらも」
「左様ですか」
「それでは楽しまれて下さい」
「お酒も出させて頂きます」
「そして最後は、ですね」
「お茶漬けね、お茶漬けは梅をお願いするわ」
梅茶漬けをというのだ。
「宜しくね」
「わかりました」
「それではお出しします」
「湯豆腐を召し上がられた後で」
「お願いするわ、それとね」
先生はさらに言った。
「白ワインは二本にするわ」
「はい、それでは」
「そちらもお出ししますので」
「お待ち下さい」
「一本目の後でお出しします」
「同じものをお願いするわ」
一本目のというのだ、見れば上等のモーゼルである。
「それをね」
「はい、それでは」
「お豆腐も入れていきます」
「お野菜もお食べ下さい」
「どんどん煮えてきますので」
「そうするわ。このおろし生姜とぽん酢で食べるのが」
これがというのだ。
「実にいいわね」
「左様ですか」
「ではお楽しみ下さい」
「そして温まって下さい」
「今宵は確かに冷えますので」
「そうするわ、日本のお料理を食べつつドイツのワインを飲む」
モーゼルワイン、それをというのだ。
「いいものよ」
「日本とドイツを共に口にする」
「それもまた、ですね」
「いいものよ」
笑顔で言ってだった、先生は飲んで食べた。そして鍋が空になる頃にはすっかり温まっていたのだった。
第四百三十四話 完
2022・1・3
ページ上へ戻る