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仮面ライダーAP

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番外編 クリスマス・ライダーキック

 
前書き
 今回はちょっとしたおまけエピソードをお届け致しますぞ! 読者応募ライダー達が海外のノバシェードを追い掛けていた頃のお話になりますー(*´ω`*)
 

 
 ――2020年、12月25日。世界各地のノバシェードが司令塔を失い、迷走を始めていた頃。少しずつ「平和」に近付きつつあった世界は、ささやかなクリスマスムードに包まれていた。

 艶やかなイルミネーションやクリスマスツリーに彩られた、真冬のニューヨーク。その雪景色を一望できるヴェラザノ=ナローズ橋を疾走する1台のマシンGドロンは、煌々と輝く大都市の夜景を背に、この街に潜む「怪人」を追い続けていた。

『そこの改造人間、大人しく止まれッ! 今からでも遅くはないんだ! こちらも手荒な真似は本意ではないッ!』
「そんな話、誰が信じるものかッ! 貴様ら『仮面(マスクド)ライダー』はそうやって……ボス達を誑かして、死刑に追い込んだのだろうがッ!」
『彼らが死刑になったのは、お前達全員を扇動した責任を負わねばならなかったからだ! 末端のお前達まで抹殺する理由なんてこちらにはない! 諦めるんだ、もう戦いは終わっているのだからッ!』
「その手には乗らんぞ、日本の仮面ライダー! 俺はボス達の分まで戦う! それがノバシェードの誇りだッ!」

 Gドロンの拡声器から発せられている説得の言葉にも耳を貸さず、中途半端(・・・・)な蜘蛛の能力を得ている怪人は、橋の上を爆走し続けている。彼は強靭な糸を飛ばす能力はあるものの、それを使って自在に飛び回ることまでは出来ないのだ。
 それ故に、前方の柱に絡ませた糸を引っ張ることで助走を付け、高速で走ることしか出来ないのである。そんな「半端者の怪人」である彼にとっては、ノバシェードだけが心の拠り所となっていた。

 しかしその組織も、リーダー格を失った今では壊滅状態に陥っている。このニューヨークに隠されていたアジトも暴かれ、彼以外の同胞は全員逮捕されてしまっている状況だ。
 今まさにGドロンで彼を追っている、「仮面ライダーケージ」こと鳥海穹哉。彼の活躍によって、ノバシェードのニューヨーク支部は崩壊を迎えようとしているのである。

「なぁーにが『ボス達の分まで戦う』だ、この駄々っ子野郎が! だったらチョロチョロ逃げ回ってないで、真正面から掛かって来いよ! あいつら(・・・・)みたいになァッ!」
「な、何ィッ!? 仮面ライダーがもう1人……しかも挟み撃ちだとォッ!?」
『忠義ッ!』

 そして。日本から出向してきた仮面ライダーは、彼だけではなかったのだ。
 アメリカ出身という経歴を活かして、この街に派遣されていた「仮面ライダーオルバス」こと忠義・ウェルフリット。彼も相棒のマシンGチェイサーに跨り、進行方向を塞ぐように怪人を追い詰めている。

「ぬっ、ぬぅう……! ならばッ!」
『そうは……!』
「させるかよッ!」

 最高速度に達したGドロンとGチェイサーによる挟撃。それを間一髪でかわして「同士討ち」を狙うべく、怪人は対向車線の方へと飛び移ろうとする。
 だが、その魂胆を見抜いていたケージとオルバスは、それよりも速く「必殺技」の体勢に入っていた。

「はぁあぁああーッ!」
「でぇえぇえーいッ!」

 超人的なジャンプが出来ない彼がこの窮地を脱するために選ぶ手段と言えば、対向車線への退避しかない。そう看破していた2人は同時に愛車から飛び出すと、マシンの速さを得た飛び蹴りの姿勢を取っていく。
 濃紺のボディを持つケージと、深紅の鎧を纏うオルバス。彼らが放つ「青」と「赤」のライダーキックが、交錯する。

「ぐわぁあぁあーッ!?」

 やがて、怪人を挟み込むように炸裂した「ジャッジメントストライク」と「FIFTYΦブレイク」の一撃により、ニューヨーク支部最後の1人は呆気なく御用となるのだった。

 ◆

 その後、慌ただしくナローズ橋に駆け付けてきたニューヨーク市警の警官隊により、蜘蛛型怪人は力無く連行されていた。今回の逮捕を以て、ノバシェードのニューヨーク支部は完全に崩壊したと言っていい。
 無抵抗のままパトカーに詰め込まれて行く怪人の様子を一瞥していた穹哉は、警官達を率いていた壮年の警部と固い握手を交わしている。そんな2人の様子を、忠義は笑みを浮かべて見守っていた。

「いやはや、正直言って最初は半信半疑だったのだが……我々が手も足も出なかったあの怪人を、こうもあっさりと仕留められてしまっては認めざるを得ないな。君達の協力に、心から感謝したい。ありがとう、仮面ライダー」
「あなた方の情報提供があったからこその成果ですよ、警部殿。こちらこそ、ご協力に感謝致します」

 力強い笑顔で握手を交わした後、穹哉は怪人を乗せたパトカーを見送り、Gドロンに乗り込んでいく。彼に続くように、忠義もGチェイサーに跨りエンジンを掛け始めていた。

「君達は……もう、行ってしまうのかね。せめて今夜くらいは、署内のクリスマスパーティーに招待したかったのだが」
「そのお気持ちだけで、私達には十分過ぎるプレゼントですよ」

 ニューヨーク支部のノバシェードは壊滅したが、全世界に潜むその勢力はまだ、人類に牙を剥き続けている。全てのノバシェードを撃滅して世界の平和を取り戻すまで、彼らに真の休息は訪れないのだ。

 「仮面ライダーティガー」道導迅虎。「仮面ライダーパンツァー」翆玲紗月。「仮面ライダーG-verⅥ」水見鳥清音。「仮面ライダーΛ−ⅴ」明日凪風香。
 彼らは武田禍継との死闘で培った経験を活かし、南米を中心に活動の幅を広げている。

 「仮面ライダーアルビオン」東方百合香。「仮面ライダーイグザード」熱海竜胆。「仮面ライダーオルタ」静間悠輔。「仮面ライダーUSA」ジャック・ハルパニア。
 上杉蛮児にも打ち勝った彼らはヨーロッパ各地を転戦し、西洋の地に潜む悪の影を追い続けている。
 「仮面ライダーGNドライブ」上福沢幸路もその中の1人であり、「仮面ライダーターボ」本田正信は今も彼の奔放さに手を焼いているらしい。

 「仮面ライダーEX」久我峰美里と「仮面ライダーヴェノーラ」薬師寺沙耶の美女2人組は、インドや中国をはじめとするアジアの各地に潜伏しているノバシェードの残党を追跡している。
 「仮面ライダーボクサー」南義男。「ライダーシステムtype-α」一二五六三四。「パトライダー型式2010番type-000」日高栄治。
 明智天峯にも敢然と立ち向かっていた3人の男達も、人間の自由と平和を守護する「仮面ライダー」として、極寒のロシアを駆け巡っていた。

 「仮面ライダー炎」天塚春幸と「マス・ライダー」山口梶の若手コンビも、ノバシェードを撃滅するべくオーストラリア中を旅しているらしい。
 「仮面ライダーZEGUN」芦屋隷。「仮面ライダータキオン」森里駿。「仮面ライダーN/G-1」ズ・ガルバ・ジ。
 仮面ライダーマティーニの脅威とも渡り合っていたその男達も、アフリカ大陸を影から支配していたノバシェードに、正義の鉄槌を下しているのだという。

 穹哉と忠義がこうしている間にも、彼らはそれぞれの地でノバシェードの残党を追い、改造人間を巡る因縁を断ち切らんとしている。警察官として、仮面ライダーとして、2人は彼らに続かねばならないと己を律しているのだ。

「私達は全世界のノバシェードを壊滅させるまで、立ち止まるわけには行かないのです」
「いつか本当の平和が戻って来たら、その時こそパーティーに混ぜて貰いますよっ!」

 穹哉と忠義はその旨を言い残して、警部の前から走り去って行く。橋の向こうに広がる雪景色の中へと消えてしまった2人の仮面ライダーを、壮年の警部はただ見送ることしか出来ずにいた。

「……ならばこのニューヨークから、私も祈るとしよう。仮面ライダーの勝利と……人類の平和を」

 彼はその場で背筋を伸ばすと、穹哉達が走り去った方向へと敬礼する。今この瞬間も、悪を追って走り続けているのであろう、「仮面ライダー」の背に向けて――。

 ◆

「……あの警部さん、思ったより良い人でしたねぇ」
「だな。忠義、次の配属先はどこになる?」
「明日凪警部が居るブラジリアですよ。清音さんと紗月さん……それから、昨日までブエノスアイレスにいた迅虎さんも、そこに向かってるって話です」
「ブラジリアか……随分遠いな。ヨーロッパ中を駆け回ってる本田達や、真冬のロシアに行かされてる南さん達に比べれば、まだマシな方かも知れんが」
「ま、どんな国のどんな場所だろうと、さっさと駆け付けてブチのめしてやるだけですよ。……とりあえず今夜は、ニューヨークの街に平和をプレゼント出来たことですし。なかなか悪くないクリスマスだったんじゃないですか? ねぇ、穹哉さん」
「ふっ……あぁ、そうかもな」
 
 

 
後書き
 今回はたつのこブラスター先生原案のキャラ「仮面ライダーケージ」と、X2愛好家先生原案のキャラ「仮面ライダーオルバス」を主役とするクリスマス回となりました! 海外で活躍する仮面ライダー、という構図はいつか書いてみたいなーと前々から思っておりましたので、作者も大変楽しみながら書かせて頂きましたぞー(о´∀`о)
 ではではっ、この度も読了ありがとうございました! またどこかで皆様とお会い出来る日を楽しみにしておりまするー!٩( 'ω' )و



Ps
 歴代ライダーが世界各地で活躍してるライスピ第1部ほんとすこ!(*≧∀≦*) 
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