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イベリス

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第四十三話 麦わら帽子その十一

「狙い目だしね」
「工業科の子と合コンするの」
「そうしてもいいし同じ普通科の中でもね」
「やってもいいの」
「そう、八条学園の中なら」
 それならというのだ。
「気軽に会えるしお互い知ってるでしょ」
「学校の中のこととかね」
「勉強のこととかも」
 こうしたこともというのだ。
「知ってるから」
「色々とお話も合うし」
「だからね」
「同じ学校の中でするのね」
「そう、そしてね」
「恋愛の経験もなの」
「積めばいいのよ、いきなりね」 
 このクラスメイトはこうも言った。
「恋愛博士になれとかね」
「それはないのね」
「絶対に言わないわよ」
 咲に笑って話した。
「流石に」
「そうなの」
「そう、けれどね」
「経験は積むべきね」
「誰でも最初はどんなことでもゼロからスタートでしょ」
「それはね」
 咲もその通りだと答えた。
「誰だって」
「そう、だからね」
「私もなのね」
「経験を積めばいいから」
「その経験を積む為にも」
「合コン行こう、変な子呼ばないし」
 クラスメイトはこのことは保証した。
「だからね」
「尚更なのね」
「安心して参加して」 
 そうしてというのだ。
「経験積んでね」
「それじゃあ今度の合コンに」
「参加するのね、咲ちゃんも」
「そうさせてもらうわ、ただこれで彼氏出来るかしら」
 咲はここでまた真顔で首を傾げさせた。
「私にも」
「そこは出来なくてもいいのよ」
「別にね」
「楽しめばいいから」
「合コン自体をね」
 クラスメイト達はその咲に口々に話した。
「そうしていいから」
「私達もそうするし」
「彼氏出来たらベストだけれど」
「出来なくてもいいのよ」
「そうしたら次の機会よ」
「次に出来たらいいから」
 咲に言うのだった。
「だから咲ちゃんもね」
「出来なくてもいいのよ」
「経験積んでそれで場を楽しむ」
「そうしたらいいの」
「カラオケボックスでやるし」
 場所の話もした。
「歌って飲んで食べて」
「そうしたらいいのよ」
「賑やかにね」
「だからね」
「一緒に楽しもう」
「それで経験積もう」
「それじゃあね」
 咲もここで頷いた、こうして人生はじめての合コンに参加することになった。まずは経験だということを自分に言い聞かせつつ合コンについて必死に考えはじめた。


第四十三話   完


                    2021・12・15 
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