レーヴァティン

「まだ人を殺すのはあるさ」
「それが普通でなくとも」
「罪としてありますね」
「左様ですね」
「ああ、けれど食うとなるとな」
　それこそというのだ。
「相当なキチガイでないとしないさ」
「余程餓えていて極限にあるか」
「若しくはそうした輩ですね」
「そうした輩でもないとですね」
「しないことですね」
「だから法に書かずともって思ったんだよ」
　久志は実際に仲間達とこのことを話した。
「けれど罪は罪だしな」
「法律に書かれましたか」
「そして禁じられましたか」
「そうされましたね」
「ああ、そしてな」
　そのうえでというのだ。
「人を食うとな」
「人殺し以上の罪ですね」
「そうなりますね」
「帝国では」
「東でも同じだって言うな」　
　英雄達がいるあちらの浮島でもというのだ。
「このことはな」
「人殺し以上の大罪であり」
「許されないことですね」
「それこそ」
「好んで食うとな、餓えてなら難しいけれどな」
　それを罪とするかどうかはというのだ。
「けれどな」
「好んで食うなら」
「それも殺してなら」
「もう許せませんね」
「それこそ」
「ああ、相当なキチガイだしな」
　そうしたことを行う輩はというのだ。
「放っておけないだろ」
「若し放置しますと」
「また人を食いますね」
「それも殺して」
「そうしますね」
「ああ、幸いまだ帝国でいないけれどな」　
　そこまでの輩はというのだ。
「けれどな」
「いればですね」
「その時はですね」
「そうしますね」
「それで生贄もだよ」
　こちらもというのだ。
「これからも禁じていくな」
「バイキング達の間にあろうとも」
「それでもですね」
「幸いこの浮島全体でかなり廃れてたな」　
　生贄のことはというのだ。
「既にな」
「実はこれで復活しています」
「そうなっています」
「かつては全面禁止でした」
「そうされました」
「それまでは行われていましたが」
「世界が統一される中で」
　この世界がというのだ。