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イベリス

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第四十二話 完成その九

「飲み放題だからね」
「それでお酒飲んでるのね」
「一五〇〇円でよ」
 それだけでというのだ。
「消費税抜きでね」
「それでも一五〇〇円でなの」
「それだけで飲み放題だから」
 だからだというのだ。
「かなりね」
「飲んでるのね」
「まあそろそろ落ち着いてきていても」
「まだ引き摺っているのね」
「埼玉への転勤のことをね」
「それで飲んでるのね」
「そうだと思うわ、お父さんお酒は飲むけれど」
 母は父のことをさらに話した。
「煙草吸わないしギャンブルもしないでしょ」
「あと浮気もしないわね」
「悪いって言われる趣味はお酒だけだから」
「お酒って悪いの」
「身体壊してお金かかるからね」
 だからだというのだ。
「よくないって言えばね」
「よくないのね」
「それでも煙草よりは身体にいいし」
「煙草は物凄く悪いのよね」
 咲もこのことは知っていた。
「私もそれで吸わないし」
「未成年でしょ、大体」
「それ以前によ」
「あんたは煙草吸わないのね」
「身体に凄く悪くて寿命も縮むっていうから」
 だからだというのだ。
「それでね」
「吸わないのね」
「そうしているわ」
 実際にというのだ。
「私も」
「そうなのね」
「一生そうするつもりよ、それはお父さんもで」
「あとギャンブルもしないし浮気もね」
 そちらもというのだ。
「しないから。キャバクラとか絶対に行かないのよ」
「お酒を飲んでも」
「居酒屋とか焼き肉屋さんで飲んでね」
 そうした店でというのだ。
「そうしているのよ」
「そうなのね」
「そう、そしてね」
 それでというのだ。
「当然麻薬もね」
「それは絶対にアウトだし」
「だからね」
 咲に微笑んで話した。
「いいのよ」
「真面目だから」
「ええ、それでそろそろ帰って来るから」
 母はさらに話した。
「晩ご飯もね」
「用意するのね」
「それでお茶漬けもね」
 この料理もというのだ。
「用意するわ」
「お酒飲んだ後はよね」
「そう、お茶漬けが一番でしょ」
「あれは確かにいいわね」
 咲も飲んだ後のお茶漬けの味は知っている、それがどれだけ美味いのか。それで母の今の言葉に確かな顔で頷いた。 
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