おかしな作家
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第三章
「完全に」
「けれどな」
「それでもか」
「試しに検索してみろ」
「平野芳樹、徴用工だな」
「それでな」
「じゃあ今からな」
彼は今度は検索してみた、そして。
検索して出た平野のこの件についての主張を見て言った。
「徴用工の発言聞けって言ってるけれどな」
「聞いてわかっただろ」
「給料支払われていて他の待遇もな」
「当時のあっちの国の人達法的には完全に日本人だったしな」
「それじゃあな」
「待遇も同じだよ、それがはっきりわかるだろ」
「ああ」
その通りだと答えた。
「本当にな」
「だから徴用工はな」
「完全にあっちの言い掛かりだな」
「それが聞いたらわかるな」
正式には彼等の発言を書いた文章を読んだがだ。
「そうだな」
「ああ、本当にな」
「けれど平野はな」
「日本は謝罪しろ賠償しろとかか」
「そういうの言ってるんだよ」
「そんな必要一切ないだろ」
彼は言い切った。
「もうな」
「俺もそう思うけれどな」
「あいつはそう言ってるんだな」
「どういう奴か余計にわかっただろ」
「ああ、おかしな奴だな」
「そうだよ、おかしな奴なんだよ」
まさにというのだ。
「あいつはな」
「あいつか」
「そりゃな」
ここで平野についてこう言った。
「あいつはいい大学出てな」
「国立大学だったな」
「そこで一番難関とされる学部出てるよ」
「学校の成績はよかったんだな」
「それで若くして賞取ってな」
純文学の権威あるそれをだ。
「華々しいデビュー飾って」
「そこからもだよな」
「色々な賞を取ってな」
そうしてというのだ。
「純文学じゃ権威になってるよ」
「あいつ自身がか」
「そうだよ、けれどな」
それでもというのだ。
「その権威はな」
「そんなものか」
「作品はそういうものばかりでな」
「政治的な主張はか」
「粕以下だろ」
「それ聞いていたらあれだよ」
まさにとだ、彼も忌々し気に言った。
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