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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第75話

 
前書き
悟空達のモロ戦は何にも変わらないので省略。 

 
ジャコに通信機の使い方を聞いて早速悟林が通信を繋げるとやはりと言うか出てきたのはブルマであった。

「はいはーい、こちら銀河パトロールの特別隊員の孫悟林…」

『ちょっと悟林ちゃん!あんた達何やってんのよ!!』

「相変わらず何てうるさい声だ…」

通信機から漏れ出す声にジャコは顔を引き攣らせる。

「ブルマさん、少し声のボリュームを抑えて。うるさい」

『うるさいですって!?あんた達銀河パトロールで何してんのよ!?特別隊員って何!?』

悟林がうるさいと言ってもブルマのでかい怒声は止まることを知らない。

「今、宇宙にとんでもない凶悪犯が悪さをしていてね。私達はその支援を頼まれたんだ。銀河王様の決定でもあるから、ブルマさんに止める権限はないよ。お父さんとベジータさんが向かっていったけど…」

『…何よ…』

「気が感じられないから殺されたかもしれない可能性があるとだけ覚えておいて」

『こ、殺されたかもしれないですってー!?』

「ストレートに言い過ぎだぞ…」

悟空とベジータの死亡の可能性をストレートに言い放った悟林にジャコが流石にストレートに言い過ぎだと咎める。

「本当のこと言わなきゃ聞きまくるに決まってんだからストレートに言った方が良いよ」

『ちょっと悟林ちゃん!あんた2人が殺されそうになってるって言うのに何でそんな平然としてるの!?早く助けに行きなさいよ!!』

「無理だよ、今の私は本部だし…モロには今までのやり方が通用しない相手だからね。あいつを生かしておけば宇宙は滅んでしまうから今は大人しく銀河パトロールの指示に従って動くしかないんだよ。お父さんとベジータさんは………仕方ないね。モロに殺されてたら、それはそれで諦めるしかない」

『仕方ないですって!?あんた自分のお父さんが死んでるかもしれないのに良くそんなことを!』

「おい、ブルマ!これは遊びではなくて全宇宙の運命が懸かっているのだ!個人での勝手な行動が許されるはずがないだろ!!悟空もベジータも説明も聞かずに行動してやられたんだ!悟林を責めるのはお門違いだぞ!」

珍しくジャコがまともなことを言う。

実際にモロのヤバさは話で聞く限りでも恐ろしく、ジャコが臆病であることを考えても、そんな怪物を相手に個人での勝手な行動など許されるはずがない。

ある意味、2人がやられたのは自業自得に近かった。

『ジャコ…あんた珍しくまともなことを…分かったわよ、だったら地球のドラゴンボールで復活を…』

「駄目だよ、ドラゴンボールはモロを倒すまで使わない。今使ってもモロのエネルギーになるだけだよ。悪いけどお父さん達とナメック星人の人達は最悪見殺しにする。」

『…悟林ちゃん、あんた自分が何言ってるか分かってるの!?』

「それくらい分かってるよ。モロを始末したら連絡をよこすからブルマさんはドラゴンボールを集めてて、良い?勝手にドラゴンボールは使わないように!!モロを倒す前に勝手に使ったらいくらブルマさんでも許さないからね!!」

『で、でも…』

「でもじゃない!!今は多少の犠牲に目を瞑ってでもモロを倒さなきゃいけない時なの!!………私だって悔しいんだよ…ブルマさんだけじゃないんだ……!」

『わ、分かったわよ…』

「よろしい、じゃあ私は切るから、これから忙しくなるから余計な連絡はしないように……ああ、そうそう…サタンさんに伝えておいて…ブウは無事だから心配しないでってさ」

ブウの無事を伝えて通信機をOFFにしようとした時、ブルマが悟林とジャコが何となく予測していたことを言う。

『そうだ、ジャコがいるんでしょ?こっちに寄越してよ、あたしもそっちに行くわ。どうせ宇宙を滅ぼされるのかも知れないなら死ぬ前にそのモロって奴を一目見ておきたいじゃない』

「こいつ…銀河パトロールをタクシーか何かだと勘違いしてやがる…」

「ブルマさん、別に私はブルマさんをモロに送り出すのは構わないけど一切助けないよ。ブルマさんが生きたままモロにズタズタに引き裂かれても止めないし、ドラゴンボールでも生き返らせない。それでも良いなら見に行く?」

『ちょっと!ピンチになったら助けてくれても良いじゃない!昔から孫君に似て変なとこでケチね!!』

悟空も生まれたばかりのトランクスを連れて人造人間との闘いの場にやってきたブルマを止めようとしたが、ブルマはそれを無視して追い掛けてきた挙げ句ドクター・ゲロに殺されかけたと言うのにまるで反省していないらしい。

「この人、闘いの場を観光名所か何かと勘違いしてない…?」

「こいつ相手に何を言っても無駄だろ…」

疲れ果てたように呟くジャコ。

悟林は深い溜め息を吐いた。

「ブルマさん、いい加減実年齢を考えれば?何時まで若い気分でいるの…私達サイヤ人と違ってもうおばさんなんだから大人しくしてなよ全く」

「ぶふぉっ!!」

『誰がおばさんですってえっ!?』

「酷い目に遭いたいなら迷惑をかけない所でどうぞ。じゃあね、もうかけてこないで」

吹き出すジャコを無視して通信を強引にOFFにすると、タイツの通信機からの連絡をブロックする。

「何でたかが通信でこんなに疲れなきゃいけないの…」

「俺なんて結構な頻度で使われてるんだぞ全く…」

深ーい溜め息を吐く2人。

「ジャコ隊員!孫悟林さん!」

「ん?何だイリコ」

急いで駆け付けたようなイリコに念のためにちゃんとブロックされてるかを確認していた2人が振り返る。

「先程ナメック星付近を航行中のクサヤ部隊からまた連絡が来まして…孫悟空さんとベジータさんの生命反応をキャッチしたようです!」

「おっ、あいつら生きてたか」

「良かった…」

「取り敢えず最悪の事態は免れました」

最悪の事態は免れたことに悟林は安堵の息を吐き、ジャコは通信機を見遣る。

「少ししたら一応ブルマに連絡しといてやるか…」

強制的に切ってブロックまでしたのだから少し間を置かないとまた喚かれることが確定しているので即座の連絡はしないことにした。

それからブウは大量の食事を摂ってまた寝ようとしていたので悟林が強制的に宇宙船に乗せた。

「これからモロと闘うけど、私は出ない方が良いのかな…今のモロなら私のフルパワーで倒せるけど…」

ナメック星に向かう途中でモロの能力を思い出した悟林は宇宙船待機かと思っていたが、メルスが悟林に触れると一見では分からないバリヤーのような物が張られた。

「…秘密ですよ、モロのエネルギー吸収を防ぐバリヤーです。気が外に出るのを防ぐことが出来ます」

「メルスさん…あなたは…」

普通の人間では出せない神のような力を感じ取った悟林はメルスの正体に何となく気付き始めていた。

「ただの銀河パトロール隊員です。この宇宙を守るためにあなたの力を貸して下さい」

「……勿論!!」

「…では行きますよ!!」

「お父さんとベジータさんもまた無茶しちゃって!!」

ナメック星に降下すると弱々しい気の悟空とベジータが無謀にもモロの乗る宇宙船に突撃しようとしていた。

「悟林さん、宇宙船を墜としますよ」 

「了解」

宇宙船の外に出て狙いを定めると、メルスが右翼、悟林が左翼を破壊して撃墜する。

そして出てきた山羊のような男が…。

「あれがモロだね!?」

「はい!」

「よーし!ぶっ潰してやるよ!!今度は加減なんか要らないよね!?」

「勿論」

「行くぞモローーーっ!!」

モロに突撃する悟林。

悟林の気にモロが上等な餌が現れたと思ったのか笑みを浮かべていた。

闘いながら悟林のエネルギーを吸収しようとして違和感に気付く。

悟林のエネルギーが吸収されないことに。

「究極界王拳!!」

最初から全力で向かい、モロの顔面に拳を叩き込んでダメージを与える。

「ぐっ…!?」

「良いねえ、調子に乗ってる馬鹿の余裕を粉々に打ち砕くのはさ」

仰け反っているモロの腹に拳をめり込ませ、蹲っているモロに数千発も拳を叩き込んで滅多打ちにし、地面に叩き付ける。

「うおりゃあああああっ!!」

闘えなかったことなどの鬱憤を含めてモロに拳を叩き込むと骨が砕ける音と共に地面が大きく陥没した。

「悟林さん!」

「はいよっ!!」

メルスの声に悟林は急いでモロから離れてメルスは腕の装置から捕獲用のネットを出してモロを捕獲する。

「ぐっ…何だこれは…ぐうっ!!」

モロが脱出しようともがくが、悟林から貰ったダメージが重くメルスが思っていたよりも抵抗がないことに安堵する。

「お前を捕らえるために我が隊が開発した捕獲器だ。悟林さんから受けたダメージもあって簡単には破れないだろう」

「己…銀河パトロール…!」

「メルス!悟林!!」

「お父さん!ベジータさん!無事で良かったよ」

「間に合って良かったですよ」

無事な2人の姿に悟林とメルスが笑みを浮かべる。

「ところであれはどこまで保つの?」

「ずっと拘束しておくほどの力はありませんから、一時的に動きを抑えられるだけです。」

「そっか!おーい!ジャコさん!早くブウを外に…おーい!!?」

宇宙船からブウが出る気配がなく思わず叫ぶが、全く出ないどころか反応がない。

「ま、まさかまた寝てるんじゃないだろうね!?」

「ジャコ隊員、急いで下さい!早くしないと拘束が解けてしまいます!」

「お…おいっ、早くしろっ、お前の出番だぞ…!くそ…腹がつかえて…フン!」

どうやらブウが出るには狭すぎるのか、ジャコが押して外に押し出すと同時にジャコが落下した。

「大丈夫なの?ジャコさん、ブウはまだ寝てるの?」

「おお、すまん…いや、さっきまで起きてたんだが、今の運転で酔ってしまったらしいな」

悟林がブウを動かしてジャコを救出するとブウが動かない理由を説明してくれた。

「もう、何で肝心な時に動けなくなるかなぁ…」

前の大会の時と言い、何故こういう肝心な時に動けなくなるのかこの魔人は。

「おいイリコ!お前運転荒すぎるぞ…!」

『ご…ごめんなさい…』

宇宙船に乗り慣れているジャコでさえ荒いと言うのだから先程の一連の宇宙船の動きは相当に荒い操縦だったようだ。

「うえっぷ…」

乗り物酔いのせいか何時もより覇気がないブウ。

「ねえ、本当に大丈夫なの?」

「た、多分な…さっさとあいつの魔力を封印してくれ!そうすれば後は悟林が何とかしてくれる!!」

不意打ち込みとは言えモロを一方的に叩きのめした悟林がいるので、後は魔力さえ封じ込めればモロは終わりだ。

「ブウの奴はその大界王神とやらの記憶が蘇ったのか?」

「ああ、我が部隊には銀河ライセンスを持った霊媒師、催眠術師、アロマセラピストまでいるからな!記憶を蘇らせるなんてのはお手のもんだ!」

「ちょっとブウ!モロはあっちだよあっち!!」

フラフラしているブウを強引にモロの方を向けさせると、ブウが反応した。

「……モロ…?」

モロの姿を見たブウの様子が変わっていく。

「え?どうしたの?ブウ…」

「あいつ…思い出したぞ」

モロを見ながら呟くブウに対して、ブウとは初対面のモロは訝しげな表情を浮かべる。

「俺が昔捕まえた悪い奴!」

それを聞いたモロはある人物を思い出す。

「…!お前まさか…大…界王神…か?待て…何でお前が生きているんだ…?」

どうやら大界王神がブウに吸収されたことは知らずともいなくなっていたことは知っていたようだ。

「お前…昔、俺の友達いっぱい殺した」

「…!己、大界王神…!がああ…があああ…があああああ!!」

「気が…!」

「な…何だっ、まずい…抑えられない!!」

悟林がモロの気が急激に膨れ上がったことに驚き、メルスもモロの変化に動揺すると、拘束が吹き飛ばされてしまう。

「気の力で拘束を吹き飛ばした…!」

「し…しまった…!」

「大界王神…お前への恨みは忘れんぞ…!!」

「俺もお前がやったこと忘れない…これ以上もう、みんなを苛めるのは…許さないぞーーーっ!!」

気を解放するブウだが、ブウとの対戦経験が多い悟林は気付いた。

かつてブウの中で最強の姿であった悟飯を吸収したブウよりも遥かに強くなっていることを。

「この気…もしかして、ブウ…悟飯を吸収してパワーアップした悪いブウより遥かに強くなってない!?」

「ほ、本当ですか悟林さん!?」

「うん、少なくても私の知るブウの中でぶっちぎりのパワーだよ」

「もしかして、記憶を取り戻したことで潜在能力が解放されたのかもしれませんね…」

大界王神の記憶と同時にブウのパワーアップまでしてしまったのは嬉しい誤算だ。

ブウはモロに突撃し、モロは炎の壁を出すが、そのままブウが突っ込んでモロを殴り飛ばす。

「炎に突っ込んだぞ!ブウには効かねえのか!!」

「ぐっ」

体勢を立て直したモロが突っ込んでくるブウの腹を腕で貫くが、完全に消滅させられない限り死なないブウには大したことはなく、体を振ってモロを投げ飛ばした。

「ブウには再生能力があるから普通の攻撃は効かないんだよね」

以前悟林達がブウと闘った時に苦労したのはこの再生能力が大きかった。

そして投げ飛ばしたモロに口から放った気弾を放って直撃させた。

「こ…これは驚いた…ブウさんがこんな力を持っていたとは」

「ひえぇ…あいつのこと怒らせなくて良かった…」

メルスもジャコもブウの力に驚いており、その後もブウはモロを相手に優勢に闘っていた。

星のエネルギーを集めた玉を投げつけるモロに対してブウはそれを蹴飛ばし、その隙を突いてモロを殴って地面に叩き落とした。

「流石魔人ブウ」

「良いぞブウ!」

「…気がついたかカカロット、悟林。ブウの奴、体力を落としていない。奴にはモロのエネルギー吸収が通用しないんだ」

悟空と悟林も改めてブウを見るとまるで消耗していないことに気付く。

「ほ…本当だ。凄え…凄えぞブウ!」

「それにあいつの動きが鈍い。手負いの状態なのも影響があるんだろうけどさ」

モロは悟林の攻撃でダメージを受けており、動きが少々鈍っているのもモロがブウに圧倒されている理由だろう。

「貴様…いつの間にそんな力を身につけた…」

「へへん、ほいっ!!」

モロの呟きにブウは笑みを浮かべて物質変化光線を頭部の触手から発射した。

「くっ!!」

悪寒を感じたモロはそれをかわし、その隙を突いたブウがのし掛かる。

「がっ!!」

「いひひっ」

ブウはのし掛かった状態でモロを殴り付け始める。

「なるほど、エネルギーを吸収して強くなるモロにエネルギー吸収を無効にして無限の体力と強力な再生能力を持つブウは天敵ってわけだね」

「良いぞ!やれブウ!」

「す…凄い…」

悟林が冷静にブウとモロの闘いを見つめ、悟空も優勢を感じ取り、メルスもモロを圧倒するブウに驚いている。

モロが反撃して口からの気功波でブウの頭を吹き飛ばす。

「い"っ、お…おい!顔が吹き飛んだぞ!!」

「あー、ブウは消滅しない限り死なないから大丈夫だよ」

「へ!?」

悟林の言葉通り、ブウの右手が顔に変化して左拳で殴り飛ばした。

「流石、ビルス様が現れるまで最強の敵だったブウだね」

「何と言う出鱈目な闘い方をするんだあいつは…」

「こういう時にあいつの訳の分からん能力は頼りになるな…」

「やっぱ悟林の言ってた通り、前よりずっとずっと強くなってんな」

悟林とジャコ、ベジータと悟空がブウの力に思わず呟く。

そしてブウはモロを回転しながら勢いをつけて岩に投げ飛ばして叩き付けた。

「己……こんなダメージさえなければ…完全に魔力が戻れば…星を丸ごと喰うことが出来れば出来れば…貴様に力で負けることなど有り得ない!!」

気を解放して岩を吹き飛ばしながら叫ぶとブウの表情はムッとした物となる。

「かちーん、お前今、俺より全然弱虫の癖に、言い訳なんかして格好悪いぞ!」

ブウは腕を6本に増やすと手数の多さを利用してモロを殴り続ける。

「ごおおおおおおお!!!」

「パワーじゃ圧倒してるけどモロには厄介な魔力があるから動きを封じている今のうちに…」

「確かに…ブウさん!モロが反撃出来ないうちにあの技を…!」

「あ、そっか。おっけー」

腕を切り離したブウはその腕に攻撃させたまま了承した。

「え"っ、腕が切り離されてるじゃないか…!そ、そんなことも出来るのか…!」

「基本的にブウは何でも有りなんだよジャコさん。再生とか腕を増やしたりも出来るし…正直まだまだ使ってない物もあると思うよ」

「…モロも化け物だが、あいつも大概だな」

切り離した腕を操作して動きを封じ込める。

「じゃあ行くよ!」

「…!?」

「フンッ!!」

「ま…まさか!」

モロの魔力を封印しようと早速例の技を使おうとした時であった。

夜が存在しないはずのナメック星が真っ暗になったのは。 
 

 
後書き
ブルマって復活のFやモロ編もそうだけど、ゲロに殺されかけたのに良く行こうなんて思えるよな…。 
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