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レーヴァティン

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第二百四十話 運河の街でその八

「体毛もな」
「濃くなりますね」
「そうなるよな」
「ですからバイキングのあの厚い服の下はです」
「毛皮のな」
「濃い体毛があります」
「それは女もでな」
 男だけでなくというのだ。
「体毛濃いんだよな」
「髭すらです」
「生えるよな」
「うっすらとですが」 
 それでもというのだ。
「生えます」
「さもないと過ごせないな」
「そうなのです」
「ここでも女に髭生えるな」
「はい、そして体毛もです」
「南に比べて濃いな」
「陛下は体毛が濃いのは苦手ですか」 
 料理人は久志の好みについて尋ねた。
「左様ですか」
「ああ、どうもな」 
 久志もそれはと答えた。
「俺もあまり濃くないしな」
「他の方々もですね」
「ああ、あいつ等もな」
 十二人の仲間達もというのだ。
「女の方は確かめてないけれどな」
「人種としては東の浮島の人間と同じで」
「髭だって薄いしな」
 こちらもというのだ。
「それで体毛全体がな」
「薄いですね」
「胸毛もな」
 こちらの毛もというのだ。
「あってもな」
「それでもですか」
「あまりな」
 自分の身体のことなのではっきりと言えた。
「ないんだよ」
「そうですか」
「というか本当に黄色人はな」
「体毛が薄いのですね」
「ここもな」 
 自分の顎を右の人差し指で指示した、そのうえで料理人に対してその青くなっている部分を見せて話した。
「この通りな」
「お髭ですか」
「薄いだろ」
「我々と比べますと」
 料理人もその青い部分を見て答えた。
「左様ですね」
「これが黄色人でな」
「陛下もですね」
「ああ、どうしてもな」
「体毛が薄くですね」
「髭もな」
 こちらもというのだ。
「ないんだよ」
「そうですか」
「だからな」 
 その為にというのだ。
「髭がなくて宦官殺されてる時にな」
「この浮島でも昔はです」
「宦官いたんだな」
「その様です、ナイル川の方に」
「そうだったんだな」
「そして宦官はです」
「髭ないだろ」
「去勢されますと」
 そうして男性ホルモンの分泌がなくなるとだ。 
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