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立場逆転

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第二章

「まずは打ち合わせをね」
「わかりました」
 淳一が頷いてだった。
 まずはミーティングを行い。最初の視察とその案内を行った。その後は一緒に工場の食堂で昼食を食べてだった。
 休憩となったがここでだった。 
 二人はどちらが先にというより同時に話を切り出して工場の喫茶店に入ってそこで共に紅茶を頼んでだった。
 向かい合って座ってだ、まずはあすかが言った。
「まさかね」
「こんなところで再会するなんてね」
「思わなかったわ、私タイに行ってね」
 そしてというのだ。
「お父さんとお母さん今もタイにいるし」
「あっちで暮らしてるんだ」
「それでタイの大学出てあっちの会社に就職したけれど」
 それでもというのだ。
「今回は通訳だけれど」
「そうだったんだ」
「まさか視察に同行してその先の企業に貴方がいるなんて」
「僕も思わなかったよ」
「そうよね、ええとね」
 あすかはここで俯いた、そうして。
 非常にバツの悪い顔になってだ、彼にこう言った。
「小一の時だけれど」
「ああ、チビってだね」
「いつも言っていじめてたけれど」 
 そのバツの悪い顔で言うのだった。
「御免なさい」
「子供の頃のことだしいいよ」
 淳一はあすかに微笑んで応えた。
「気にしないで」
「そうなの」
「それに今は僕の方が大きいしね」
「そうね、私はこうでね」
 あすかは自分の今の背のことから話した。
「貴方そんなに大きくなったから」
「いいよ」
「天罰ね。人をチビっていじめてたらその相手の人は大きくなって」
「自分はっていうんだ」
「チビになったんだから。小六で成長止まって」
 そうしてというのだ。
「ずっと言われてたわ」
「そうだったんだ」
「ええ、けれどお互い元気そうね」
「そうだね、それは何よりよ」
「日本でどうしてたの?」
「実はね」
 淳一はあすかの言葉に笑顔で頷いて再会までの時のことをおおまかに話した、その後であすかも再会までのことを話した。そうして。
 二人は視察の間ずっと仲良く仕事をした、そして終わってあすかがタイに戻る時に笑顔で挨拶を交えさせた。
「また会いましょう」
「うん、またね」
 笑顔で手を振り合った、もうお互いの背のことは言わなかった。そうしてまた会う時までと言い合って別れたのだった。


立場逆転   完


                 2022・2・20 
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